以前から気になっていたCDをネットオークションで入手しました。
メキシコ系の人なのでこう書いてティッシュ・イノホサと読みます。
音楽性は、テキサスのチカーノ/ヒスパニックの人たちのスタイルということでTex-Mexと呼ばれるラテンっぽいものと、カントリーの両方のエッセンスを取り入れていますし、歌も曲によって英語とスペイン語を使いわけるというユニークなシンガー・ソングライターです。
でも、'95年リリースのこのアルバムはほとんど全編がスペイン語で歌われ、アレンジもTex-Mex/ラテン色が濃いものだ、ということは知っていたのですが、期待以上の素晴らしさ。
彼女はワーナーなどメジャーレーベルからも作品をリリースしています。しっかりした作りなのですが、彼女のナチュラルな歌声と、ほとんど素朴と言って良さそうな曲想にはポップでドラマティックなアレンジは、もうひとつ似合いません。大げさでチャラチャラした印象になってしまいもうひとつのめり込めないものがあるんですよ。
でも、このアルバムはアメリカのカントリーを始めとするルーツ系の作品を多くリリースしている独立系レーベルとしては最大手の Rounder からのリリースなので、さすがに地に足のついたサウンドが繰り広げられています。Flaco Jimenez、Santiago Jimenez Jr.兄弟、Brave Combo、Ray Benson、Peter Rowan らゲストもそうそうたる面子です。
ただひとつ注文をつけるとすればなんだかおどろおどろしいジャケットかな。なんだかドロドロした情念的な世界を想像しちゃいますが、中身はいたって爽やか。ブックレット裏の写真なんかのほうがイメージに合っててずっといいと思うんですが。
ライヴアルバムの『The Best of Tish Hinojosa...Live』『Aquella Noche』や同じくRouder からの『Culture Swing』とともに「座右のCD」になりそうです。
一度でいいからぜひ来日してもらって生で見たい人でもあります。

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