タイムリーに(?)大学入試センター試験でのカンニング詐欺が登場するので、というわけでもないですが、年明けに読んだ騙し騙されのトリック・エンターテイメント小説。
センター試験っちゅうと英語のリスニングテストの話題で持ちきりだったけど、あんだけの数のICプレーヤーが一個も故障しないと確信できるなんてお目出度いとしか言いようがないですね。
まあそれ以前に、もったいなさ過ぎるからやめようということにならなかったのが不思議。プレーヤーは取っといて来年もまた使うのか?すべて廃棄という気がしながら、そのへん猛烈に知りたいんですけど。
あんなテストひとつで若者の英語力がアップするわけじゃなし。
「アイ・アム・パン」と言って恥かかないように望みの朝飯がオーダーできるレベルが国際化か?!費用対効果を考えてほしい。
と、文句はさておき、本の話しでした。
男気はあるけどハードボイルドを気取るには無理がある、もひとつさえない主人公が、やるときゃやるぞと奮闘するあたりや、軽快な会話に、道具立ても、アメリカの探偵小説ものっぽい小気味良さで楽しく読めます。パーネル・ホールとか思い出した。
ラストにどんでん返しがあるぞ、というのは見え見えなんだけど、仕掛けは読めなかった。最終トリックが明らかになる下りなどよくできてます
まあ粗はあるんで、細かいとこにやたらと突っ込みを入れずにはいられない人はダメかもしれないけど、その辺約束事として軽快さ重視で読むといいでしょう。
毛色が全然違うけどカードでの大勝負を描いた小説というと、P.オースターの『偶然の音楽』が真っ先に浮かぶ。転がり込んできた遺産で始めた、ロードムービーを地で行くような放浪生活を送る男が、尽きかけた資金を増やすべく、ひょんなことで知り合った若いギャンブラーに賭け金の提供を申し出て・・・っていうストーリー。ただ、そっから後のほうが佳境なんだけど、気が滅入ってるときとかは止めといたほうがいいです。

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