イギリスに代理店があるためワイナリーから発送してもらえず、6本入りの2箱をはるばるブルゴーニュから運んで来た。ロンドンのウォータールー駅では取っ手がとれるハプニング。反射神経の良さ(!?)とワインに対する執着心でセーフ。ほっ。
ムッシュー ミッシェル・プルニエはちっちゃい、ちょっと鋭そうな眼を持つワイナリーの主。親が所有していたブルゴーニュのAUXEY-DRESSES村の6ヘクタールのワイン畑を、6人兄弟の1人として1ヘクタール分引き継いだ。それが今や13ヘクタールのワイン畑を有する村一番の成功者(と思われる)。
今年のSaint Vincentの日には『ワインの騎士』の称号まで渡された。彼のセラーを訪れると、昨夜、向かいのレストランで彼と初めて会った時の歌の熱唱ぶりとはうって変わったビジネスマンぶり。昨日は『ワインの騎士』のお祝いのため、村中の人々を集めてワインを一日中飲んでいたはずなのにこんなに早起きして働いているとは、お見事、ムッシュー。
眼鏡を鼻にずらしかけて、セラーの奥隅の座り慣れた椅子にこしかけ、訪れた人々が買うワインのお勘定と帳簿をつけている。ちょこちょことセラーの中を歩き回り、また自分の定位置に戻る姿は働き者のネズミのようで、とてもかわいい。
看板娘の彼の若い娘さんが、このセラーで手に入るワインの説明をしてくれる。彼女も父親に負けず劣らず、自分の家のワインを愛しているということがひしひしと伝わってくるような説明ぶり。そういえば彼女、昨夜は向かいのレストランでソムリエとして働いていたっけ。私たちはそこでムッシュー M・プルニエのワインに感激し、それを買うためにここにやってきたのだった。
ワイン畑とワイン畑の丘の間に細長く伸びるこの小さな村、AUXEY-DRESSESで生まれ育って、ワイン作りに従事することを誇りに思っていると確信させる。都会や世界で何かが起こっていても、ワインのことをひたすら考えながら生きて行くなんて、なかなかできることじゃない。かっこいい。昨夜レストランでみんなで白いナプキンを振り回しながら、♪ブルゴーニュ人であることは誇りだ〜こんな素晴らしいワインを作って〜♪と歌っていたとおりに。
その彼女にセラーの奥深くまで案内してもらう。どうやら家の地下全体をセラーとして使っているよう。途中で「こういう乾いたカビホコリがボトルについてこないと本物のセラーとは言えないのよ」と、自慢げに黒い大きなホコリを手に取って説明してくれたりする。
そして、「この辺りは本当に古いビンテージを置いているの。」と見せてくれたのは、ムッシュー・プルニエの結婚した年のワイン等がカジュアルに並べられている一角。「これは父が結婚した1973年もの。家族にとっては特別だから置いているんだけど、ワインにとってはいい年ではなかったのよ(笑)」と彼女。「でもきっと結婚にはいい年だったはずよね(笑)」と返す私たち。マダム・プルニエの豊かな身体とスマイルを見る限り、この結婚は大成功を収めているとしか考えられないもの。
私たちはワインガイド本に書かれていた「ミッシェル・プルニエの白は素晴らしい」という言葉とともに、白1種6本、赤2種9本を購入した。しかし、購入できたのは一番古いものでも2001年。相棒と2人して、にんじんを鼻先にぶらさげられた馬のように「オアズケ」状態で、どうしたものかとワインボトルを睨んでいる。
こちらがプルニエ氏のコンタクト先。
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Domaine: Michel Prunier
Route de Beaune
21 190 AUXEY-DRESSES FRANCE
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日本で彼のワインが売られてないかと調べたが、
これしか見つけられず、残念。彼の兄弟の一人と思われるパスカル・プルニエ氏のワインは日本市場にもっと出回っているよう?