朝日新聞、大阪本社で大阪府知事候補座談会(上)があった。これについて簡単なコメントと独断的な評価を加えておく。
尚、★は評価点。星の数は相対評価とし、マイナス評価であっても星は1とした。( )内はその理由となるコメントである。
◆立候補理由について
・梅田氏 ★★★
弁護士として主に国の政策や怠慢によって被害が出た事件を手がけてきたが、政治を動かさないとどうしようもない。この4年間、構造改革路線が進み福祉が切り捨てられ、府民の暮らしがさらに大変になっている。
(全くこの通りだと考える。梅田氏も弁護士だが、金儲け一辺倒の弁護士ではないことが伝わってくる。)
・橋下氏 ★
財政再建が必要なのに効果が見えない事業を行い、無駄遣いしている実態を知った。いままでと同じやり方では大阪は何も変わらない。2人の立候補予定者と比べると人生経験が足りないかもしれないが、でたらめな府政を変えるために自分のエネルギーをぶつけていきたい。
(いままでのやり方=何も変わらないと主張して、他との違いをアピールしているが、行政のすべきことは多岐に亘っており、現状の全否定からは反発が強くなるばかりだろう。全否定は、裏を返せば、現状の問題点を指摘できないことを表明しているにすぎない。結局、彼の立候補理由はお茶の間評論家的発言に過ぎないことが知れる。若さが自分の売りだと考えているのだろう。)
・熊谷氏 ★★
ここを変えれば大阪は変わるといった話を昔から異業種の方々としていた。そのうち、リーダーとして府政を引っ張っていけたらいいなという思いを持ち始めていたところ、太田房江知事が立候補を断念したことで、『ほっとかれへん」という気持ちが強くなった。
(ストーリーとしてよく理解できる。事実、異業種交流会での交流の場でこうしたことが話題になることは多い。)
◆産業政策について
・梅田氏 ★★
大阪の持っている潜在的な人、物、金の力が引き出されていない。大阪の経済、産業の中心は中小企業だ。行政は人と予算を配置し、経営者のアイデアを橋渡しする。商店街活性化策では、中小企業が若者を正規雇用したら補助金を出す。
(中小企業重視の姿勢が見える。しかし具体策となるとどうか?補助金?基本的に人件費の削減はしない方針であることが伝わるが、そうなのか?それでよいのか?)
・橋下氏 ★
不妊治療や妊娠の手危機的検査補助、保育所の拡充、公営住宅などの家賃減額などで就業者層の可処分所得を増やす。企業でいう家族手当を行政がサポートすることで、他府県より大阪に拠点を構えた方が従業員コストがかからないと企業にアピールする。
(最初の最初に不妊治療をあげるところが彼らしいところなのかもしれないが、視野の狭さを感じてしまう。子育て真っ最中の橋下氏には、子育て層の視点しかないのかもしれない。)
・熊谷氏 ★★★
・大阪には最先端技術を持つ臨海部、バイオ企業集積地の北摂、ものづくりの集積地である東大阪と黄金のトライアングルがある。関西空港の利便性を高め、中国との架け橋になるべきだ。また中小企業の産学連携を進め、利益率を上げる必要がある。
(府政は大きな視点で考える必要がある。また中国との架け橋となるのは大きな政策の方向性だと考える。観光立国の観点からも重要。中小企業の産学連携を進めて利益率を上げるという方策については、ぴんとこないかもしれないが、要するに産学連携を推進して製品の付加価値を高め、利益率を上げるということであろう。敷居の高い大学との連携に熊谷氏ならでは施策の可能性を感じる。)
◆財政再建について
・梅田氏 ★★
大阪経済の中心である中小企業を活性化して税収を向上させて財政危機を突破する。また大型公共事業をやめ、職員配置をきっちりやって無駄を省くが、、府立病院や食品安全といった分野ではきちんと職員を配置していく。そして継続している同和事業を終結させる。
(同和事業の終結は共産党ならではの政策で、大賛成。しかし、他の部分では実現可能性は?である。★2個は同和対策の点数である。)
・橋下氏 ★
財政再建は府庁の抵抗と戦うエネルギーさえあれば中学生でもできる。46の指定出資法人への委託料や補助金は500億円。全部検討したが、何一つ府民に利益になるものはない。博物館やホールなども全部清算する。出資法人への5千億円もの貸付金を一割見直すだけで500億円。計1千億円を超える財源が確保できる。
(冒頭の『抵抗』というコイズミ流の表現はいけない。しかも『中学生』でもできるとはどういう意味なのか?数字を挙げて数字に強いことをアピールしているつもりだろうが、具体策は提示していない。全廃したらいいじゃん。切り捨てたらいいじゃん。では市井の評論家である。)
・熊谷氏 ★★★
行政の無駄を省くため、大きな比重を占めている人件費について組織を見直し、ぎりぎりまで削る。そして公営住宅にみられる府と市の二重行政を解消する。その一方で、堺市に1兆円規模の投資が行われているため、税収はかなりアップするはずだ。
(行政の支出の大半は人件費である。そこを指摘したのは熊谷氏だけ。1兆円規模の投資による税収アップというのは、これまでの太田府政の評価と継承を意味していると思われる。関西財界の評価が高いのはこうした面の正当な評価をしている点にある。)
次回に続く

0