前回に続き、今回は馬原浩・参段の仏子研修所の稽古体験レポート。
馬原参段は学生時代、日本空手協会に所属し五段の実力を持ち、30歳を過ぎてから始めた極真空手でも弐段を取得、すでに極真会館熊本支部では師範代クラスの実力を持つ。
成道会にて太気拳を志したのは48歳からで、その威力ある突き、多彩な足技は55歳の現在でも衰えることがない。
空手家としてはすでに高い水準にありながらも、太気拳修行に取り組んでいる馬原参段の仏子体験レポートを紹介する。
●太気拳仏子研修所・稽古体験レポート〜馬原浩・参段〜
「10月12日、埼玉県の仏子道場の稽古に本村先輩と共に参加させて頂き、岩間先生から直接ご指導を仰ぎましたので、その報告をさせて頂きます。
稽古は午後3時過ぎから7時半近くまでありましたが、移動の時間を除くと正味4時間近くとなりました。
山での立禅、武道館へ移動しての這いから歩法、打拳、練りと稽古内容は成道会の稽古の進行とほぼ同じでした。
城先生から仏子の稽古法を忠実に我々門下生に指導して頂いているということを知ることができました。
山での立禅は蚊が多いので蚊取り線香を足元に置いて行ないましたが、時間は告げられず、ずっと続けました。
その後、岩間先生に立ち木相手の蹴りを数種類ご指導頂きました。
先生が何万回も蹴り込んでいるという数本の木の幹は剥げてしまっていました。
武道館に移動してからの稽古内容は先に申し上げたとおりですが、先生ご自身が先頭に立って動かれるので、その背中を見ながら手足の動き、足運びを見逃さないように必死で付いていきました。
城先生からブログ用の写真を撮って来るようにとの指示も、この段階では全く頭にありませんでした。
そして、最後に組み手になりましたが、八田練士をはじめ門下生4人の方と組み手をさせて頂きました。
我々が疲れないようにとの岩間先生のご配慮もあり、本村先輩と交互に3分間ずつという時間設定でしたが、タイマーを計る者がいないので岩間先生の体内時計で進みました。
こうして現実に戦って基本に戻り研鑽していく、この当たり前のことがとても大事であるという先生の言葉に本当に納得させられました。
稽古の後、先生宅でご馳走になりましたが、澤井先生ご存命の明治神宮時代の貴重な組み手のビデオを見ることができました。
酒席での先生のお話は、自分たちの組み手の欠点から太気拳の本質にまで及びました。
具体的には「なぜ下段回し蹴りを出したのか」「後蹴りをなぜ出したのか」と聞かれ、答えに窮していると「隙を見つけて攻撃をしようとしているからだ」と指摘されしたました。
又、「山で教わった蹴りを使ったところ自分の足を痛めました」と申しましたところ、「俺は何万回も蹴り込んでいるんだぞ」と一笑に付されてしまいました。
実際に手と手が触れあった推手状態からの攻撃を指示されたり、投げ技を掛けてみろと言われ、はね返されたり、と本当に有意義な時間を過ごさせて頂きました。
更に、短い時間ですが、八田練士にも手取り足取りの指導をして頂きました
今回の仏子訪問で我々が得たものは、仏子に稽古に行ったという事実以上に大きなものがあったような気がします。
言葉に出来ないものを授かり、そして、託されたような気がしました。
それは、先生が「俺のこの手には澤井先生の手の感触が残っている。それを伝えたぞ」と仰ったからです。
こうした貴重な機会を作って頂きました城先生、お忙しい中を快く迎えて頂きました岩間先生、仏子道場の皆様、本当にお世話になりました。有難うございました。」
●岩間先生コメント
「二人とも組み手については気迫も経験もあり、その点は申し分なく、今回の練士推薦は合格とする。
しかし、今後の課題として気になることが何点かある。
組み手の際、打とうという意識が強すぎる。
相手の手が届く距離で打ちに行くと、自分も打てるが、相手も打てる。
相手を打ててもこちらも打たれて、少なからずダメージを被る。
蹴りは距離と間で外し、最終的に勝負を終結させるためには顔面に手が届く距離まで入り込まないとならなくなるのだが、そこで相手の手を先に制しておいて、こちらが充分に打つ、打てるといった、云わば体勢づくり、状況づくりがこれからは必要である。
年令的には決して若くはないのだし、組み手になると強いヤツもいれば弱いヤツもいるのだから、効率的な攻防が出来るようにならねばならない。
九州でホンモノの太気拳が広まってくれることを希望しているし、二人にはその担い手となってくれる様、期待するものである。」
八田健二・練士との組み手攻防
本村参段、岩間先生、馬原参段
空手拳法成道会
http://www.joudou.jp/

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