2月下旬の組み手で、左膝を怪我してから3か月が経った。
怪我をしてから1週間位は歩行や階段の昇り降りにも支障があり、稽古中でも膝の可動や体重の乗せ方で、膝が外れる様な感じで激痛が走っていたので、十字靱帯の損傷が考えられた。
そのため、この間、左膝に捻転様の動きが介入する練習科目や、ランニング等、継続的に膝に負荷のかかるトレーニングは一切自粛することにした。
立禅、這い、練りといった太気拳の諸訓練は膝に捻転様の負担はかからないので、比較的早期に再開することが出来た。
2ヶ月後には様子を見ながらであったが、組み手にも参加でき、3ヶ月後にはそれまで控えていたランニングを行ってみたが、特に問題なく、その後も走れている。
現在、どうかしたら膝がずれる感じはあるが、痛みは無くなっている。
今回は膝、それも十字靱帯の問題が考えられたので、今後、武術を継続していくことも私的には危ぶまれたのだが、その心配は無くなっている。
しかし、慎重に経過を見ながら稽古していこうと考えている。
太気拳に限らず、実践的な組み手を稽古に採用している格闘技、武術においては怪我や負傷は避けて通ることは出来ない問題である。
出来うる限り、安全面を配慮したとしても、それでもこのリスクはゼロにはならない。
社会人にとっては厳しいところであるが、皆、そのリスクを承知の上で、この実技検証に取り組んでいる。
そのため、怪我や負傷を肯定するわけではないが、それは、当然、予測されるという前提にて、怪我をした際の対処、その後の稽古を考えなくてはならない。
トーナメントを目指す格闘技の選手にとっては、全日本クラスの大会ともなると、1年間あらゆる犠牲を払って、それにむけて取り組んできた成果を試される場であり、多少の怪我や負傷は押してでも出場する場合が多い。そこには、鬼気迫る迫力すら感じられることがある。
しかし、その様に無理に無理を重ねた結果、その後、何年にも渡って身体に問題が残るケースもあり得る。
この様な事例を顧みるに、格闘技選手としてと、生涯武術としてでは、怪我や負傷に対する向き合い方が、異なる部分もあると言わざるを得ない。
岩間先生の下で稽古していた頃、この様に言われていたことがある。
当時、私も大会に出場していたこともあって、怪我にもしょっちゅう見舞われていたこともあったのだが。
「動物を見ていると、百獣の王と言われるライオン、密林の王者と言われる虎においてでさえも、手足にかすり傷を負っただけで、草陰や林の中の身をひそめ、傷を舐めながら癒えるのを待ち、それまでは絶対に行動を起こさない」
人間は本能に反し、意思の力で逆境を克服できるが、動物から学ぶに、それが自然にあるべき姿と呼べない場合もある。
成道会は生涯武道が前提にあり、大会で実績をあげることが最終目的ではない。
試合を目的に稽古に取り組んでいるのか、晩年になっても武術に取り組むことを目標にしているかで、怪我や負傷に際しての向き合い方は変わるだろう。
生涯、武術に取り組んでいこうとするなら、怪我や負傷は不本意ながらも受け入れなければならない現実である。
しかし、それが後々まで残らないように、稽古の内容や質を変化させながら、時にはブランクを余儀なくされても、回復を妨げることは避けなくてはならない。
怪我をかかえたまま武術に取り組むことで自己陶酔するなど、問題外である。
生涯武術の目標としては、生涯に渡って技や動きの追及を続けることであり、そのためには健康な身体は絶対に必要である。
空手拳法成道会
http://www.joudou.jp/
※今回の怪我について、私の治療家としてのコメントも下記ブログからご覧になれます。
ハンズオンセラピージョウ・ホームページ
http://www.handson-joe.jp/
院長ブログ(2010.06.15 外傷性疾患に対する一考察)
http://plaza.rakuten.co.jp/handsontherapy/diary/

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