去る3月6日(土)に、拳学継聖研究会、長谷真介先生による第2回福岡伝習会が開催された。
今回は形体運動のご指導が中心となった。
形体運動とは意拳の訓練方法の一つで、その時代、外見上は武術の訓練とわからない様にする必要が有ったことから体操の様に考案されたのではないかと考えられる。
一見すると武術の訓練とは思えない体操のような運動なのだが、単なる反復練習とは次元の異なる人間の骨格の特性を武術としての動きに変換させる内容がある。
今回は腕を左右に振り続ける独特の動きの形体運動についての詳細なご指導であった。
中国語による正式な名称を知らないので、私は勝手に「腕振り」と呼んでいる。
長谷先生のご指導を受ける長男
形体運動の目的は、立禅によって構築された構造能力を実際の動きの中でより損傷することなく発揮するための訓練法であると考えられる。
立禅によって構築された構造能力がどのくらいの段階にあるかにもよるが、それぞれの段階において、構造能力を使いこなしていく訓練となる。
私が一番最初に形体運動のことを知ったのはもう10年以上も前で、その段階での構造能力はそれほど高くはなく、それでも自身の動きに変化が生じていたのはよく憶えている。
その後、ここ数年は立禅による構造能力の強化を繰り返し、最近でも腕振りの内容に変化を感じていたが、実際の動きではパンチの威力に格段の変化が生じている。
私は2月で49歳を迎え、通常は下降していく実感しかない年代でありながら、パンチ力は20才台の頃よりも格段に上がったと感じている。
一部門下生も実際の攻防で相手を倒せるだけの打撃力を獲得している。
長谷先生のご指導を受ける私
立禅の強い構造体をキープしたままで全骨格を左右に回旋させ続ける動きはパンチを打ち込む際、骨盤ごと脊柱を大きくかつシャープに回転させる動力となる。
パンチの練習では打つという意識が先行するため、骨盤の回転よりも肩の動きの方が優位となってしまい、自分では出来ているつもりでも、実際には腰、つまり骨盤の回転運動が小さくなってしまっていることが多い。
目的はそれだけではないが、骨盤の回旋運動はより強化されるし、さらに骨盤の動きに脊柱も参加させる訓練にもなる。
通常の反復練習のみでは意識しにくい部分を強化させていくことができる。
私の年代では、体力やスピードに衰えを感じるのは致し方ないとしても、その一方で若い頃には得られなかった能力を獲得していけるという、こんな面白いことはない。
今回はこれまで知らなかった腕振りの際の注意点、意識すべき点を詳細にご指導いただいて、さらに高いレベルに近付くことができたのではないかと感じている。
立禅や形体運動はそれを行なうためのウォーミングアップを必要としないので、スーツや仕事着のままでもできるし、場所も自分が立って手足を楽に伸ばせる程度のスペースがあればできる。
日常生活の中でも手軽に取り組むことが出来るという特性がある。
しかし、一旦、開始したら厳格な要求は守らねばならず、存外、神経的に疲れる部分があるのも事実である。
長谷先生は「自分に都合のいいように変えてしまわないこと」と言われていたし、守るべき点は守り、実際の動きにどのように反映されるかで検証してみたい。
まずは可能な限り、先人の残された理論や方法を正しく理解していくことが必要と思われ、そこに口伝の重要性があり、今回の伝習会の内容もまさしくその通りであった。
長谷先生、拳学継聖研究会の皆様、有難うございました。
太氣拳成道会
http://www.joudou.jp/

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