大学の図書館には、ほとんどの新聞が揃っている。
調べ物のあいまに、そこで新聞を読むのが好きだ。新聞読みはもう趣味。
先日、ふと目に付いた記事に、K教授の署名が。
とたんに、頭の中で椎名林檎の「本能」が流れ出した。
学部生の頃、この教授にロシア詩を習っていたのだが、
なぜか教室にCDプレイヤーを持ち込んで、椎名林檎の
アルバムばかり掛けていた。教授によれば、彼女の歌詞には
ロシア詩の伝統との共通点があるそうなのだが、結局そのことの
真意はわからずしまい。ただ、教授のそのリスペクトぶりは、
私にも少し感染してしまった。
K教授の記事は、ロシア文学をめぐる昨年一年の動向についての記事だった。
ドストエフスキーの新訳が異例の売り上げだったことを
告げる文章がかなり興奮気味だったのも、
「椎名林檎はいいよ!」と折にふれて言っていた教授の口ぶりを
思い出せてくれた。