・曇天のある日、上野の東京都美術館へ。「鷹」同人の轍郁摩氏の作品が第49回現代工芸美術展で展示されていると聞いていたため。
・上野の桜はちょうど満開のころ。地面に一枚の花びらも落ちていない今を歩くことができるのは、ちょっとした奇跡のようだ。
・工芸というと陶器や真鍮による造形と思い込んでいたが、「現代工芸」と銘打っているだけあって、使われる素材も縄や布切れなど多種多様。テーマも自在で、フォルムの美しさを追求したものや、メッセージ性の強いものまで。轍氏の作品は「アルデバランの恋」と名づけられた一品。複数の色彩のコラージュといった風情だ。なかなか工芸作品を言葉で説明するのは難しいが、中央やや左寄りに筋肉のように盛り上がった金箔の部分に迫力があった。
・帰りも同じ通りを歩いて駅へ。ブルーシートと桜の色の不調和を思いながら。