境川村の蛇笏「山盧」訪問は、おおよそ半年ぶり。心あてにしていた桃の花は惜しくも散ってしまっていたが、蛇笏や龍太が好んだという家裏の「後山」(山というよりは丘である)ではさまざまな草花が目を楽しませてくれた。なかなか東京では見られないものもあって、記録のためにと写真をたくさん撮ってしまった。その一部を。
胡桃の花。ふだんの山歩きでは仰ぐ形になるが、橋の上からちかぢかと見ることができた。向うに流れている川は高名な「一月の川一月の谷の中 龍太」のモデルとなった狐川。いまは護岸工事もすすみ、句のイメージとはかけ離れたものとなっていることを、惜しむ仲間もいた。もちろん、龍太が書いたのはこの世のどこにもない谷と川なのだから、一向にかまわない。
たらの芽。ご存じ天ぷらにするおいしい野草。
こちらは山椒の花。先だって「NHK俳句」で宇多さんにいただいた木の芽和えを思い出す。案内をしてくださった飯田秀実さん(龍太のご子息)によれば、若い葉を天ぷらにしてもおいしいそうだ。
すみれ。平地のものよりも色が深い。
くぬぎの花。目立たないが、好きな花だ。
桷の花。桷は粗野な印象があるが、この桷の花はなんとも可憐で意外だった。
十二単。横にあるのは春蘭だが猪に踏み荒らされてしまったようだ。