・明治書院から『新芭蕉俳句大成』が刊行される。以下は、明治書院のHPの「編者のことば」の引用。
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第二次大戦後の芭蕉研究は大きく変化した。芭蕉の作品の中で最も親しまれてきた発句(俳句)についても、そこに「詩」を読むことと共に、「俳諧」を読みとることが加わり、新しい解釈・鑑賞が展開してきた。たとえば「古池や」の句についていえば、これを日常詩としてみる白石悌三の説、『袋草子』の故事のパロディとみる深沢眞二の説、切字「や」のあとの空白を重視して蛙は実際には池に飛び込まなかったとみる長谷川櫂の説など、さまざまの説が提示されてきた。
芭蕉発句の注釈は、いくつかの古典文学全集類の芭蕉句集において、全句評釈が試みられてきたほか、各種の講座・辞典でもとり上げられ、さらに研究者の論文のなかでも、その一句一句について独自な解釈が展開されている。
本書は、そうした戦後約七〇年間に登場してきた諸説を可能な限り一つ一つ、その要点を紹介・整理して、それぞれの句の解釈の方向性を探ろうとするものである。
本書に先行するものとして、江戸期以降、昭和三〇年代頃までをあつかった、岩田九郎の『芭蕉俳句大成』(一九六七、明治書院)がある。この『大成』の意義はきわめて大きいものであった。本書はこれを発展的に継承し、戦後山本健吉以降、現在に至るまでの諸注集成として編纂されるものである。
研究者はいうに及ばず、一般読者、俳句愛好者にとっても座右の書としてきわめて便利であり、かつ有益なものとなると確信する。
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http://www.meijishoin.co.jp/news/n8960.html
・刊行は10月12日の芭蕉忌。その日までに予約した方には特別定価として22000円で購入できるそうだ。取り上げた芭蕉の全発句1004句のうち、私も20句を担当している。ふらんす堂から2009年に刊行した『芭蕉の一句』(
http://furansudo.ocnk.net/product/1348)も、諸註に加えてもらっている。
・岩田九郎氏の『芭蕉俳句大成』には、日ごろからお世話になっている。そのリニューアル版に携われたことは望外の幸いであった。