日本における原子力発電所立地受入れの政治過程 (3)関西電力大飯原子力発電所増設をめぐる政治過程 4  政治のはなし

(3)小括
 これまでに行われてきた原発立地政策についての研究の多くは、「中央のエネルギー政策としての原発」という視点から、国家のエネルギー戦略を中心に据えてその目標の達成という面に焦点がしぼられていた。そこに登場するのは国レベルのアクターであり、立地地域である町や県のレベルでのアクターは、その中央での決定の実施者としてのみ考察の対象となり得たのである。しかし、大飯のケースにおいて登場する知事や町長といった地方アクターの動きは、そのような地方アクターの理解では不十分であることを示している。地方アクターにとっての原発問題へのアプローチは、国家戦略に組み込まれるという受動的な形でではない。ケースからはむしろ、地方にとって「地域振興の必要性」が半ば自明のものとして存在しているという状況下にあって47)、地方アクターがその具体的な手段として原発を積極的に活用しようとしている様子をうかがい知ることができた。さらに、たとえば知事と県議会、あるいは県と町での意思決定に際しての態度のズレは、「地方アクター」の中でも、地方政府内、また地方政府間の政治過程に注目する必要性を示しているように思われる。これらをエネルギー政策としてのみ原発立地の問題をとらえることによって理解することは難しい。しかしながら、原発立地政策が国家のエネルギー戦略に深く組み込まれているということもまた、まぎれもない事実なのである。
 そこで次のような説明は可能であろうか。すなわち、原発問題に関係するアクターの原発に対する関わり方は同一ではなく複数設定することができ、そしてそれぞれに分類されたアクターは他のアクターと互いに関係を持ちながら、その総体として「原発立地政策」のアリーナが構成されている、と考えることとするのである。
 次章ではこのような視角を基軸として考察を進めていく。まずはじめに、それぞれのサブカテゴリーについてのより詳細な考察を行った後、それを横断してアクターどうしをつないでいる「ネットワーク」の存在について触れることになる。
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