やさしくわかる、ということへの誤解について  読書メモ(09.6〜)

涌井良幸・涌井貞美『多変量解析がわかる』技術評論社、2011年
ISBN 9784774146393

 多変量解析に関する本は何冊か読んだけれど、どこかしっくりこないところがあった。
 この「ファーストブック」の統計学シリーズは、生理的に自分に合っている気がする。
 とくにこの本は、おふたりとも高校の先生だからということもあろうが、ほんとうにすっと体内に吸収される気がするのだ。

・・・それにしても、これだけ世の中に統計に関する書物があって、ことごとく「よくわかる」とか標榜しているけれど、そもそもほんとうによくわかる確定版が出されれば、それで天下が統一されるはずである。
 このおふたりも、これまでにも同じようなものを何冊も書いていて、今度こそ決定版なんだろうか。それともまた来年、同じような本を他の出版社から出されるのだろうか。

 ところで、今日の毎日新聞に、「池上彰氏の解説がわかりやすいのは、記者が取材先や専門家の目を意識しているのに対し、つねに子どもたちならどう反応するだろうかということを考えているからだ」というコラムが載っていた(「編集局から」小泉敬太東京本社編集局次長)。
 そうなのだ。中学生にとって「なんで?」というものは、たいてい大人にとっても「なんで?」なのだ。
 ただし、コラムを書いた記者氏は、半分正しいが、半分はまだ正解にたどり着いていない。
 そういう視点を持つということと、やさしく書くということは別のことだからだ。子ども向け質問コーナーが、言葉尻だけ簡単にして、中身はぜんぜんわかりやすくないという、文字通り「子どもだまし」にもなっていないことがある。「難解な言葉を平易に置き換えるだけではすまない」というのは正解だが、それではどうするか、編集次長氏もいまひとつすっきりしていない。
 「おいしいコース料理」の普及版は、「簡単なコース料理」ではなく、「おいしい街の定食屋」なのである。
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