イタリアの中小企業の研究については日本政府関係や民間特に左翼団体がもう既に20年以上続いています。
私が今までに通訳した諸団体は日本・イタリアの労組、自治体、平和運動、婦人団体、商工業者、経済社会学者、国会議員、県知事、地方議会、日本政府の省庁、審議委員、大学教員、生協連、生産共同組合等々、多分総数にすれば一万人近い日本人に通訳して来たと思います。こんなに日本の為にお手伝いをしてきたにも係わらず今ではむなしさを禁じえません。
1970年代、日本で始めて美濃部革新都政が誕生して一時は日本人口の三分の一が革新自治体下に組み入れられました。
そして、イタリアに学べ、とイタリア詣でが始まったのです。
しかし、日本社会はバブル経済におごり民主化を求めたイニシャチブもどうやら頓挫し、日本の民主主義は坂道をコロコロと転がり始めたのです。
日本政府も中小企業が左前になってあえいでいる時に元気なイタリア中小企業に学べと視察団や学者を送り込んできました。
イタリアへの訪問者は日本社会、国と言う大きな見地から睥睨すると、一貫性がなく何時も点に終わって線から面に拡がらないのです。
次から次へと訪問してくる日本人は同じ基礎的な質問しかなく論理を積み上げる発展性がないのです。
訪問者は異なっても受け入れるイタリア側は同一の団体です。
従って、訪問を申し入れても昔ならすぐ0Kに成ったのに今ではアポイントを取る事も大変難しく成っているのが現状です。
基本は日本人がイタリアの歴史と民主主義の土壌、イタリアの歴史哲学、思考方法を理解していないからです。
加えて通訳者が悪かったのでしょうか?
日本人通訳者の中で一体何人ぐらいの人がイタリア国内でイタリアの歴史と民主主義の土壌、哲学と思考方を習得しているでしょうか。
イタリア人の思考方法の一つの例として商品単価を決める場合、イタリアでは下からレンガの積み上げと同じ方式です。
最後に適性利益として製造業では30-35% を上積みして最終の売値単価を決めます。
それに対して、日本ではトヨタのかんばん方式に代表されるように先ず売値を決めて下代を押下げる方式です。
この単価設定の方式が日本とイタリアでは逆立ちしているのです。
しかし、何故なのか、と言う質問は日本から出ません。

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