投票まであと3週間となりましたが過熱気味(?) に燃えています。
以下この間の動きをレポートします。
日本の友人からのFAX通信によると赤旗紙の特派員浅田信彦氏が
3月7,8,9日と「総選挙前のイタリア・ベルルスコーニ政権の5年」を上中下の3回ローマ発の記事を掲載しているそうです。
ところが友人に言わせるとどうやらパリーで集めた記事ではないのか、と言うのです。理由は市民へのインタビューも無くイタリア国民の生の声が伝わって来ないそうです。
浅田氏とは1982年の夏を最後にその後、御会いしていませんがそれ以前は交流がありました。
さて、
前回の私のレポートで詳報したように、イタリア人が今一番問題にしている事は「経済」です。
ベルルスコーニ政権の評価は地に落ちているからです。
先頃、イタリア労働総同盟 (CGIL 組合員約500万)が組合設立100周年を記念する大会がリミニ市で開かれました。
中道右派政権の経済失政が強く糾弾されました。
1, 3月14日夜 RAI TV 国立放送 第一放送局は左派政権の候補に有るプローデイと右派政権候補ベルルスコーニの一騎打ち政見発表会が有りました。
聴視者が最大18.200.000に達したイタリア選挙史初めてのテレビ討論会はアメリカ大統領選挙方式でした。
司会者は国営第一テレビRAI unoの報道最高責任者、質問者はLa Stampa と Il Messaggero 私に言わせればいずれも2流日刊紙ですが政治記者が質問して候補者は
2分30秒で答える方式です。最大1820万人が見た場面はプローデイが「高物価を政府は何らコントロールしなかった」と厳しい批判をした事です。
一方、ベルルスコーニが最大1780万人に達した場面は「ユーロ導入が早過ぎた」でした。
時間帯は21時20分から始まったプロデイ発言「税金を引き上げる事なく累進課税制度を下げる」ベルルスコーニを経てプローデイが最高に達した21時33分の間だった。
一夜明けて15日、左派側の連盟・オリーブはプローデイ陣営は勝利を祝い、右派の「自由の家」陣営ははFI を除くAN, UDC, LEGA はベルルスコーニを非難しました。
AN国民同盟 は 5年間の成果は全部良かったは言い過ぎで正しくない。
UDC キリスト教党は 過去を語りすぎで将来を語っていなかった。
LEGA 北部同盟は改正した選挙法は「卑怯な選挙法」(自分たちも賛成しておきながら,,)
2. ベルルスコーニは自分の政権五年間に税金負担率は45から40.6% に引き下げた、と言っているがうそを付いた事が判明。
実際は2001年は41.3、2002年40.8,2003年41.4,2004年40.7、2005年は40.6% であった。
3. この間5人目の閣僚が政府を去る。
保健相 ストラーチェ(AN) がスキャンダルで辞職、昨年Lazio州知事選挙で落選したあとベルルスコーニに拾われて保健相に就任。
ところが州知事選挙で他の候補者の電話盗聴が有ったと検察から捜査を受ける事になり引責辞任。ベルルスコーニは彼を引き止める。またもや「検察は共産主義者だ」と決めつけ、連合与党内から「いい加減にせよ!, 検察攻撃は与しない」と言われる。
4. 実業家ベルルスコーニ自身のお膝元イタリア経団連との衝突イタリア経団連の主流でItalia経済の牽引産業は常に機械金属であった。それもFiat グループ出身者である。現在の経団連会長はFiatグループの会長であり、F1レースで有名な世界の名車中の名車フェラーリ社社長であったモンテゼモローです。
経団連の会長職は2年間、その会長が今の政府からはItalia経済の好転政策は何も期待出来ないと発言し、このままでは G8の先進工業国グループから脱落する危険に瀕してる、と指摘された。
これを聞いたベルルスコーニは怒りを表し、「会長は臆病者で悲観主義者で労組と同じ事を言っている、会長の発言とは思えない、、」と非難してる。
経団連の有力な指導者達は
* イタリアは停止した
* Italia中央銀行の現実的報告に耳を傾けよ
* 旧オリベッテイ会長だったベネデッテイは5年間の成果はただ借金負債の増加のみだった。
彼らの証言を裏書するように数字は危機感を表している。
* 経団連組織内の経営者意識の調査結果はプローデイ指示は44%、ベルルスコーニ指示は12%,50&50と答えた経営者は16%, 判らないが28%だった。
経済成長% は
* ユーロ通貨圏 2001/1.9%、2002/0.9、2003/0.7、2004/2.1、2005/1.3%
* イタリア /1,8%, /0,3, /0,0, /1,1, /0,0%
* 国際競争力の低下 /110 指数 /118 /122 /135 /132
(労働コストの上昇)
* 輸出の減少 /117 指数 /118 /117 /115 /107推定
イタリアが世界貿易に占める割合1995年は4.6%で有ったが、2004年は2.7%に低下した。
* 問題点
1. 2005年の国民負債額は国民総生産に対して106と11年振りに上昇に向う。
2. 2005年は前年に較べて赤字が3.4から4.1%に上昇(マスートリック協定では3%).
3, 経済成長率はゼロ%であった。
4. 雇用は2005年+0.2% であったが臨時雇用であり、常用は逆に0.4%減少している。
5. 家計経済は赤字の幅が増えてここ10年間の間に18から30%に上昇した。
このようにItalia経済を悪化させた原因は明らかに右派政権の失政に有る事は誰の目にも明らかになった。
経団連からも見放されたベルルスコーニであるが彼はただ一人で全ての敵を造り出している。
先日イタリア最大の日刊紙で450万部を発行するコリエ・デラ・セラー紙の編集長は中道左派を支持する社説を載せて物議を醸し出してる。
ベルルスコニーを指示する新聞はいずれも地方紙でIL Giorno, IL Giornale Il Tempoのみであとの大新聞はプローデイを支持している。
これを見たベルルスコーニは「イタリアの新聞のジャーナリストは左派の労組に加盟して昔のコムニストの影響下にあり、左の3労組、赤い生協、赤い司法権」にあるイタリアを救わなければ民主主義は死んでしまう」と息巻いている。
最後に3月15-16日に実施した世論調査では中道左派に投票する選挙民は52%, 対する右派は46.7% になっている。
これだけ悪政を続け庶民の生活が不安定になったにもかかわらず先月と比較して大きな開きがない。
その原因は何か?
私が考える要因が幾つかある。
1. 肝心な経済政策は何方が勝ってもイタリア独自の大きな政策変更が出来ない。
EU委員会の政策の枠組みからはみ出す事はないからである。
2. 勿論財政出動は出来ないから当然EUとの交渉結果になる。
3. 鳴り物入りで1990年から始まった国公営企業の民営化は遅々として進まず、90年は国民総生産の15%を占めていたが
2005年は11%である。いずれも基幹産業部門である。アリタリア航空のように赤字企業を多く抱えている。
4. 公共事業にタンジェントポリの復活による汚職、癒着構造の再構築によるモラルの低下を招き結果として政治不信
特にDS(旧共産党主流派)に拡がり「誰がやっても同じ、政治家にまじめな人はいない。」を蔓延させている。
少し長いレポートになりました。

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