親愛なる友人のみなさま
お変わりなくご活躍の事と想います。
日本は春の統一地方選挙の最中ですね。
我が女房殿が曰く
「地球の温暖化と環境汚染で悪化の数字が具体的に発表になったけど孫達の時代は生きて行けるのでしょうか、、、!?」
さて、イタリア通信をお届けします。
" しかし、奇跡的に蘇った不死身のイタリアは失望している" の大見出しに続いて
"、、、諸改革の彼方は霧の中、未来は不確か"
に始まる2007年4月10日付け一番売れている日刊有力紙 レプブリカ である。
一年前、4月12日イタリアの上下両院議員選挙は中道右派政権を中道左派政権に変えた。
周知にようにたった25000票の差は上院で議員数が155人対154人で左派が1票多いだけ。
中道左派政権は全ての重要法案を終身上院議員の投票で何とか成立させる議会運営を余儀なくされている。
正に薄氷の上を渡る行政執行である。
世論は一体どのように見ているのだろうか。
同日発表されたレプブリカ紙が定期的に実施している世論動向の調査結果である。
あなたは選挙公約を政権が実施したと思うか?
* プローデイ政権; した 19.8%, していない 62.7% (2007年3月)
* ベルルスコーニ政権; した 34.0%, していない 34,0% (2002年5月)
あなたは政権が任期満了(5年間)まで保持出来ると想うか?
* プローデイ政権; 出来る44.0%, 出来ない 43.0% (2006年7月)
* ベルルスコーニ政権; 51.0%、出来ない 17.0% (2002年5月)
今後のプロデーイ政権継続の見通しは(2007年3月現在) ?
* 任期満了まで続く 中道左派支持者 34.9%, 中道右派支持者 8.0 %
* " " " 続かない " " 38,3%, " " 84,1%
勝利から1年後の政府の"通信簿"
各界の12人の専門家は曲がりにも保たれている奇跡的プローデイ政権続投の "通信簿" と言われる政府行政の成績表を発表した。
* 評価された行政はベルサーニ経済改革相が主宰した一連の市場の自由化、治安の回復、一連のスポーツ行政改革、外国人移民者の緩和政策、
大学政策を除いた前政権で決められた教育行政の修正、つまり、義務教育が16歳までに延長。
* 評価されなかった分野は企業と労働界で失望感が強い。超高速鉄道建設を含めた運輸、映画・劇場等の催事行政の遅れ。
* 未だ評価を出すには早いとする行政は司法改革、教会関係、研究・調査特にイタリア学術会議所の改革が進んでいない。
以上の世論動向、特に中道左派政権支持者の不満はプローデイ政権が短命に終わる可能性を秘めている。
以下に事実関係を掘り起こしてみると:
* 経済は回復に向っていて税収の大幅な伸びが7.1% (今年1・2月が昨年同期に対して)あってGDP も1.7-1.8% (7・8年)
に上昇しEU の基準である3%以下に落ち着いた成果がUE連合国に評価されている。
* イタリアの公務員数は約349万人、その内、約50% が国家公務員で前労働協約が切れてからおよそ16ヶ月ぶりにこの程、
一人平均月収101ユーロの賃上げで新協定が妥結した。
* イラクからの完全撤兵が終了後、アフガニスタンとレバノンへの派兵を巡る外交政策は野党の中道派賛成を得て継続する事になった。
これより前、ナポリターノ大統領は3月の政変に対してプローデイ首相の身柄を上下両院に差し戻した祭に現行の選挙法を改正するよう条件付けた。
つまり、より安定した議会構成が出来るような選挙制度を制定するように指示した。
これを受けて、与野党が協議しているが幾つかのモデル案が考えられている。例えばスペイン型、ドイツ型、フランス型、イタリアの州知事選型
レフェレンドム型、しかし、調整は難航している。基本は小選挙区制の復活と小政党の存在をどのような形で吸収統合するかに掛かっている。
* 政界の再編成が水面下で進んでいる。右派は中道のキリスト教党が先の海外派兵の予算措置で与党側に与して右派を割ってしまった。
ベルルスコーニはかんかんに怒ったが彼の指導力は低下の一方で自分のFI党をまとめるに手いっぱい。
一方の中道左派は Partito Democratico 設立を目指して近く最大党の DS (最大主流のファッシーが75%)が全国大会を開こうと準備している。
党内野党のムッシー15%は新党設立に向ったが鉾を納めて分裂は無さそうである。
しかし、流動的な情勢だ。
このDSにマルゲリータの2大政党にみどりの党、SDI, ラヂカーレ、デイ ピエトロいずれも1-2%の小政党を吸収するか否かでもめてる。
再建共産党とイタリア共産主義者党が再び合併の動きがある。
* 左派政権を揺さぶっているのが先日上院に提出された I DICO と言う "新家族法律案" で
内縁関係の事実婚、同性間の結婚 を合法化し平等の権利を与える法律である。
これには教会が真っ向から反対している。
理由は正常結婚を通じてのみ正常な家庭が築ける、としている。
イタリア社会を法律面から大改革するもので思想ではない家族・家庭の価値観を変える危機感を募らせ、教会は
5月12日ローマで「ファミリー・デーイ」集会を予定して聖職者に動員を掛けている。
一方、聖職者の数はイタリア社会の合計は31474人(その内訳教区長・神父は25807人、高級聖職者は5667人)で住民2000人に対して聖職者は1人、老化が進み平均年齢は60歳で65歳以上の神父は42%にも達している。
さらに、外国人聖職者は1500人、4.5%である。
聖職者不在の教区は23%にも成ってる。
そこに湧いて出てきたのがトスカーナ州の聖職者によるセクハラ問題である。
1975年から始まる信者の一連の告発は当該神父を追放または左遷してきたが、信者は裁判をもとめている。
クーリアと呼ばれる枢機卿が信者からの訴えを握りつぶしてきた。
このように、政界再編成と新しい選挙制度法が完成すると総選挙に成るかもしれない。
早ければ2008年の春にも考えられる。
完

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