国会解散・繰り上げ総選挙
厳冬の1月24日イタリア上院は中道左派連合政権のプロディ内閣に対する信任投票を賛成156、反対161で否決した。
プロディ首相はナポリターノ大統領に辞表を提出し、辞任した。
周知のようにプロディ首相は中道左派8会派連合を率いて06年4月の総選挙に勝利したが、
全322議席の上院で野党との議席差が事実上1議席しかなく、不安定な状態が続いていた。
今年に入って1月半ば、与党8党のうち上院に3議席を持つ中道派の欧州民主連合の党首が突然政権運営に不満を示して離脱を決めた。
引き金になった直接の理由は法務相マステッラの身内を含む一族郎党が汚職容疑で逮捕された事だ。
ベルルスコーニ前首相が率いる野党中道右派連合は解散・総選挙を求める。
だが小党乱立を招きやすい完全比例代表制の現行選挙制度では安定した政権ができる可能性が低く、大統領は議会解散には消極的だった。
ナポリターノ大統領は1月30日、マリーニ上院議長に対し、与野党から選挙制度改革に向けて合意を取りつけるよう組閣を要請した。
大統領は野党中道右派が求める総選挙の即時実施を回避し、まずは選挙法を改正するための暫定内閣発足を目指す考えだった。
記者団に大統領は「現行制度の選挙では安定政権はできない。全党に解決策を見つけるよう求めたい」とマリーニ上院議長に要請した。
しかし、今回の危機を政権返り咲きの絶好機と見る中道右派のベルルスコーニ前首相は「暫定内閣は時間の無駄」と反発。
大統領の要請を受けたマリーニ氏の合意作りは野党の必死の厚い抵抗壁に阻まれて交渉は難航し失敗した。
大統領はマリーニ上院議長の組閣失敗を受け、議会を解散し、暫定政府は上下両院の投票日を4月13/14日に決める。
今回のイタリア政治危機、国会解散・繰り上げ総選挙は奇怪である。
国内の社会諸勢力の右派を除く大半は
「現行制度の選挙では小党乱立を招きやすい完全比例代表制で安定政権はできない。」
と選挙法の改正と国の行政推進を望んでいた。
国会解散・総選挙が決まった為に予定された国民投票が来年に延期された。
この国民投票は現行完全比例代表制による統治不能弊害を除く為に実施される事になっていて、北部同盟を除くほとんどの政党は
制度内容を別にして現行選挙法を変える事に同意してた。
それが、何が何でも解散・総選挙に追い込んだのは何か? そして誰か?
1. 少なくとも中道左派の左派はプローデイ政権を継続したかった。10年前の轍を踏みたくなかった。
2. 与党上院に3議席を持つ欧州民主連合の党首が突然政権運営に不満を示して離脱。
法務相マステッラの身内を含む一族郎党が汚職容疑で逮捕だが、3月8日、カタンザーロの検察総長は汚職の事実はないと告訴しない事を決めた。
ここに政治疑惑を感じる。何故、告発、逮捕されたのか?
3. I.V.(価値あるイタリア)から選出された1上院議員が野党1党に70万ユーロで買収されて所属会派を変えた事。
つづく

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