年金生活者にも12月にボーナスが有る
イタリアの若い優秀な頭脳が外国に流出しています。
大卒者の約63%が外国に仕事探しを考えています。
理由は国内の就職難、臨時雇用の不安から逃れる為です。
一方、この国には年金生活者が1500万人います。別名テルツア・エタと呼ばれる彼らの受給年金月額は平均一人800ユーロ、12月には約40%のボーナスも出ます。医療費は65歳以上全額無料で一部負担金制度も免除されています。いろいろ問題点もありますが、政府統計局によれば約68%は健康体で、日本に次いで長寿で生活大国に相応しく概ね豊かな生活を送っています。高齢者の人生で一番大切な事は何?答えは「家族の為に役に立つ事」が80%、「交友関係を持つ」が83%、「自分が無報酬でも人の為に役立つボランテイア活動」74%、その理由は“病は気から“の例えのように社会から孤立を避けるため。映画や観劇等文化活動への参加は43%、スポーツ活動参加は33%、以後、子や孫達へのサポート、家事、経済援助と続く。一方、何にもしないは37%。
豊かな年金制度は労働運動の成果
イタリアの高齢者が相対的に豊かな生活を送れる根拠は退職後も労働組合に年金生活者として組織されていることです。3大労組連合に組織(約1300万人)されている組合員は現役勤労者より年金者が多いのです。何故なら、現役と退職との間に空白期間が無いことです。労働者が退職すると組合下の保護協会が年金取得の手続きを自動的にやってくれます。この制度は日本でも大いに参考になると思います。かっては年金ジャングルと言われ複雑怪奇な年金制度でしたが、労働運動の統一化と左派政権の下でINPS 全国社会保障保険公社に統一されました。公社は経営側、労働側から選ばれた評議会が運営しています。年金掛け金の負担割合は経営者が約80%、従業員は20%、自営工業、自作農民、商人は所得申告によって2段階に別れていますが概ね年間約4000ユーロです。年金制度に入れない人は15人以上の従業員を抱える工業経営者です。日本で言えば商工会や日本経団連に加盟する社長達です。観点を変えると経営者は経済的に豊かな階層なのだから社会が面倒見る必要がないと言えるでしょうか?

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