経済危機の嵐の中で
米国の金融資本主義・カジノ経済破綻によって惹き起こされた経済恐慌ドミノ現象に世界中の指導者が「100年に一度」と重要視してその対策に奔走しましたが、ベルルスコーニ政府はむしろ彼らを「悲観主義者、破局 主義者」と非難して「わが国はどこの国よりも早く危機から脱出する。誰一人取り残さない」と、大見得を張りました。しかし、実態はイタリア経済が40年も逆戻りした危機に市民生活を陥れました。直近の経済紙によれば事実、GDPは40年前に逆戻り、租税の負担割合も43%(対GDP)に上昇と、伝えています。
非正規労働者84万人が解雇の危機
イタリア人は“プレカリオ!短期契約労働”の正否を問うっています。
昨年の経済成長は国民総生産 −5%、失業 8.6%、財政赤字の増大(対GDP)、国の借金 125%(対GDP)どの数字をとっても対前年比は過去最悪です。特に青年短期契約労 働者260万人(全雇用の12,3%)を直撃し、その内、31万人が契約更新の保障がない社会的セフテイネット網からこぼれ陥る不安に慄いています。
更に商店の灯が消え 市街が衰退に!
この大不況にも拘らずたくましく生き続けるイタリア商人の小売店舗は住民が50人の割合で存在しますが、商工会議所の調査に拠れば今年に入ってから2万の小売り店舗が廃業、5年先には62000店舗が廃業、15万人が職を失うそうです。
2009年の公共料金の上昇が追い討ちを掛けています。
家賃 + 2.3%
水道水 + 6.2
ゴミ収集料 + 6.4
鉄道料金 +14.9
郵便料金 +11,2
保育費 + 4.2
教育費 + 5.3
強制自動車保険料 + 7.0
何れも全国平均値です。地域によって大差があり、筆者が住む市のゴミ収集料は20%もあがっています。鉄道は日本と違って雇う主が交通費を支給しませんので、通勤者の経済的負担は大きいです。更に新幹線建設を優先しています。
こうした経済危機の嵐の中で イタリア人は何を考え、どのように生き延びようとしているのでしょうか?
2009年11月中旬Demos社が行った世論調査15歳以上のイタリア市民1300人のサンプル調査結果を基に現在のイタリア社会とイタリア人の意識を筆者の一言コメントを付けて描いてみました。%は2009年( )内は2008年である。
1861年にイタリア国家が統一されて150年になります。
あなたにとって統一国家は。。。。
全国 南部・北部同盟
良かった 84,2% 12,9%
悪かった 10,4
*北部同盟支持者もほとんど統一国家建設に満足している。
良くも悪くも無い 1,7%
答え無し 3,7
イタリア人の誇りは。。。。
全 国 北部同盟
大いに持っている 51,3% 52,4%
かなり持って居る 36,3 27,5
少しだけ持っている 10,3 ====
まったく無い 2,1 20.1
* ご承知の通り北部同盟LEGAはイタリアを3つに分割しようと考えている。
イタリア人として恥じる時が、、、、、
まったくない 57,0%
少し有る 17,3
有る・大いに有る 25,6
* 年齢の若い層がイタリア人として恥じる時が34%を占めるが具体的にどんな事、どんな時にが、不明であるが、若い頭脳が大量に国外に流出している事を考えると、この国に将来性を見出せないからとも言えましょう。
イタリア人として誇りを感じる自覚とは、、、、、
美しい自然に恵まれた大地 83,0% (+4,5%)
歴史的芸術・文化 80,4 (−0,2)
郷土料理・食材 78,2 (−0.5)
イタリア国旗・国歌を聞くとき 63,4 (質問なし)
*最近になって国旗・国歌、ローマ市の首都が法制定された。
ファッション・モーダ 51,7 (同 上)
歴史の統一国家期とレジスタンス 50,0 (−1.3)
* 共和国建設の制憲政党が消滅し、レジスタンス時代の国民意識合意
が風化される今日、尚、50%が保たれている。
スポーツ界の国際的な高いレベル 44,5 (+0,5)
イタリア共和国憲法 43,1 (+6,6)
*共和国憲法は労働と国際平和に依拠した憲法である。
国の経済状態 14,3 (−0.5)
民主主義政治にあなたの考えは、、、、
諸政党の不参加は民主主義ではない 45,5% (−6,8)
民主主義は諸政党の不参加でも機能する 41,9% (+4,1)
* 15―34歳までは53,2%に達し、政党政治への不信と危機を増長させている。連邦制で2院政は必要ない。憲法改正を主張している。
回答なし 12,6% (+2,7)
首相は市民から直接選挙で選ぶ方が良いか?
はい、より良い政治が行われる 67,9%
* 右派系は84,25/中道63,8/ 左派系55%
特にベルルスコーニ自身が首相の権限の拡大を強調している。
現行の憲法を改定しなければならないが、中道も左派系でも首相の直接
選挙を主張する人が多いので将来の課題と言える。
いいえ、自由と民主主義が危険 26,8%
回答無し 5,3%
あなたにとって、国会の任務とは、、、、、
政府の政策に対し、国政調査コントロール権を強化する 52,8%
政府の政策に条件付けられる 33,1%
回答なし 14,1%
わが国の民主主義は機能しているか?
2002年 2009年
良く機能している 8,6% 7,9%
限定的だが機能している 55,3% 46,4%
機能は悪化し崩壊の危機 36,1% 45,7%
* 政党不信が拡がっている
回答無し 4,6% 7,9%
市民が信頼している諸制度について信頼度の高い順に列記
治安組織(警察・軍隊) 70,5% (−3,9%)
大統領 70,3 (−1,1)
*旧共産党員だった大統領は就任時とほぼ同じ信頼度をたもっている。
教育制度 57,5 (+2,0)
*教育課程に品行方正制度を導入!
カトリック教会 52,7 (−5,4)
*教会の影響力の低下原因は高聖職者による小児愛と法王の不人気
UE連合 49,3 (−8,2)
*イタリアは最も高い欧州統一主義者であったがついに50%を割った。
市町村行政 43,6 (−0,4)
*共和国行政は中央、州、県、市町村の順番に4層からなっているが市民の信頼度は居住地から遠く離れるほど行政信頼度も低くなる。
司法官制度 40,9 (+3,7)
*治安制度に高い不信頼度を置く。裁判に時間がかかり過ぎる。裁判官の資質が問われている。特に、対マーフィア裁判にて信頼を失っている。
州政府 34,8 (−4,0)
国家中央政府 33,4 (−3,4)
CGIL イタリア労働総同盟 26,9 (+0,2)
* 3大労組はCGIL イタリア労働総同盟が微増で、CISL−UIL 労働連合
は約2%の減少、結果として労働戦線を分断していて、政府に対して有効な経済政策を迫る事ができない。
企業家同盟組織 25,9 (−4,5)
CISL−UIL 労働連合 21,4 (−1,9)
銀行制度 19,2 (+2,2)
*市民は基本的に銀行は合法的な盗人だと考えている。
国会 18,3 (−2,7)
*国会不信が拡大して議員数を削減しようしている。憲法の改正が必要である。
諸政党 8,6 (−1,2)
* 政党不信を増進させている。例えば左派の拠点にあるボローニャ市長が愛人であり秘書の女性から公金横領で訴えられ辞職した。
つづく

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