マスメデイアが沈黙した日
イタリア共和国憲法が保障する「表現の自由」を侵す危険性がある盗聴規制法案、通称「さるぐつわ法案」が上院で可決され、7月内の成立を目指すベルルスコーニ政権に抗議して「報道の沈黙の日」として、テレビやラジオニュースのジャーナリストが8日に24時間のストライキ、9日にはほとんどの新聞が休刊し、通信社やテレビ局の記者が24時間ストライキに入りました。司法省によると昨年1年間で盗聴した電話は約11万9千回線にのぼり、盗聴捜査がマフィア検挙や政治家の汚職摘発の有力な武器になっています。事実、今年だけでも盗聴捜査によって、5月、首相を支える右腕と言われる経済発展相を始め2人の次官も辞任に追い込まれました。また、首相自身が、批判報道を抑えるために国営放送局幹部らに電話で圧力をかけている様子などが盗聴で明 らかにされました。これまでの盗聴捜査は予審判事1人が「犯罪の疑い」を認定で許可されました。新法案では検察官が「明確な犯罪の証拠」を示さなければ盗聴は出来ません。さらに起訴前に盗聴内容を報道することが一切禁じられ、違反したメディアには多額の罰金、記事を書いた記者にも 最大禁固30日と最高1万ユーロの罰金が科されます。盗聴規制法案は「プライバシー保護」を建前にしながら、真の狙いはメディア規制であると、ジャーナリストたちは強く反対して「さるぐつわ法案」と命名していました。
経済緊縮策でバカンス縮小
夏物セールは15%売り上げ落ち込む
800万人の貧困層を抱え、政府が進める緊縮策の影響で消費が急速に冷え込み、イタリア人のバカンスシーズンは例年になく短い夏休みになりそうです。事実、ペンドラーレと呼ばれる日帰りの海や山へのリゾート地行楽客が増えています。イタリアのほとんどの浜辺は有料制ですが入場料、デッキチェアー、パラソルを借りると1人・1日あたり50ユーロにもなります。これではとても長期滞在は出来ません。消費者協会の調査によると、今年の夏休みの平均は10日間で、1カ月とる人はわずか1%にすぎなく、観光 業連合の調べでも、1週間しかとれない人が42%を占め、行き先も国内が昨年より6%増えています。旅行のための予算も一家族あたり72ユーロ減り、旅行代理店を通さずにインターネッ トで直接予約する人が増えています。 こうしたバカンス傾向に危機感を抱いた観光省は、国内の主要な観光名所をまとめたCMを制作し、首相が声で出演し「魅力的なイタリアをもっと知るためバカンスを使おう」と呼びかけています。
完

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