「岩波新書「集団的自衛権とは何か」著者・豊下楢彦氏」
通訳者のつぶやき
集団的自衛権とは何か?
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ご無沙汰しています。
この夏は酷い暑さ、お元気ですか。
この夏、一冊の岩波新書「集団的自衛権とは何か」著者・豊下楢彦氏(以下敬称略)から送られてきた。
日本国憲法第九条の改憲が既に日程に登ろうとしている日本の政治情勢を受けて書かれその核心に迫っている。
今まで私自身の無知の部分がこの新書によて暗から明に認識を広めて呉れた。つまり、日米安保条約を結んでいるアメリカとの軍事同盟であり、その結果として日本は米国の従属国になり独立国家として主権国家の危険を招こうとしている。
私が抱く2つの疑問を書いて著者に問い合わせたところ氏からコメントがあったので合わせて掲載します。
是非、ご一読下さるようご案内いたします。
豊下は、、米国による「敵」の設定は、たえず変動し、、、「昨日の敵は今日の友」となり、その度に日本は「はしごを外され」(例71年日本抜きの頭越し米中和解)米国に振り回される。
もし、集団的自衛権が行使されれば、米国が次々に引き起こす「敵」との戦争に日本も引きずられて日本人の血が流される、、、と警告している。
ソ連や東ヨーロッパ諸国の崩壊後の世界は3圏に区分される言う。
1.新中世圏 訪米、日本、OECD加盟国
2.近代圏 中国、ロシア、東南アジア、中近東諸国等途上国
3.混沌圏 アフリカ、旧ソ連諸国、旧ユーゴスラヴィアで内戦、難民の大量発生が秩序崩壊が極めて大規模に起こっている地域。
当面している国際的危機は北鮮、アフガニスタン、パキスタン、イラク、イラン、イスラエル、パレスチナ、スーダン等いずれも上記の2.3.に属す。
豊下はかって「安保条約の成立」を著し、やはり岩波新書から出版したが今回の「集団的自衛権とは何か」では現在の具体的な国内、国際問題を解決するには日本外交は独自の立場で平和憲法を守りながら積極的外交を進めなければならない。
さもなければ間違いなく日本はアメリカの戦争に巻き込まれる。
テロ問題、核兵器の拡散、兵器製造、資源、食料、地球環境どれ一つをとっても世界はアメリカの政策に左右され、
アメリカに追従する唯一の平和国家日本の安全が脅かされている事を認識した。
正直言ってこの本は易しくない。
しかし、繰り返して読むと今の世界と日本が見えてくる。
私がもう少し説明をして貰いたかった箇所は108ページにある「ブレア外交の総括」である。
今でも何故、ブレアが4万の軍隊をイラクに送ったのか?
が、解らない。単に英国がかって宗主国だッた。だけでは納得が行かない。更に「ソ連や東ヨーロッパ諸国の崩壊後の世界は3圏に区分される言う。」冷戦後の枠組みになっているようだがその根拠はやはりアメリカが決めたのか?
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石田さん
ややこしい拙著を読んで頂いて有難うございます。
また、拙著の勘所を伝えて頂いて、感謝申し上げます。
私としては、日本の集団的自衛権論議は憲章51条を前提としているが、ブッシュはそれを時代遅れとして先制攻撃を主張していること、ミサイル防衛と核の傘の矛盾、イスラエルへの安保理決議のこと、最後を沖縄論でしめくくったこと、などを重点におきました。
ところで、新中世圏など3つの圏域の区分のことですが、これは私の書き方が誤解を生んだと思われますが、田中明彦が展開している議論です。
私はこれを根底から批判しました。つまり、彼が、2と3の圏域から紛争が起こると主張して安保を正当化しているのに対し、むしろ1の先進諸国が紛争を助長していると主張して、田中の3区分論をひっくり返したつもりです。
ブレアのことはむつかしいですが、彼がイラク戦争にのめり込んだ理由は、米欧の仲立ち、パレスチナ問題でのイニシアの野心に加えて、彼自身本気で「45分でフセインは攻撃してくる」と信じていた、というように説明されています。ただ、イギリスの専門家でも分析が難しいらしいです。
以上、不十分ですが、よろしくお願いします。
豊下 楢彦

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