スキー場跡地のヒラを開いて、種を播いた昨年のコスモスは不発に終わってしまった。
今年はなんとしてもと、雪のあるうちに相談して計画をたてる。
昨年は種まきがおそすぎたこと、種まきしたすぐ後の大雨、やっと芽が出そろったと思ったら日照り続き、こんなことが災いしたのかなと考える。
県の農業関係の機関のアドバイスも受けると、この土は排水が悪いから、まず畝たてをしましょうであった。西日のあたるあの斜面で、しかも砂質地なのだから、単純な排水不良ではあるまい。山肌、表土を剥いて裸地にした跡だから、よく考えて花を咲かさねばならない。
この斜面に緑の植生をとりもどすには、荒れた土地を改善しなければならないのだからと、今日は土壌改良の作業である。石灰をまいて、堆肥をいれることなのだが、あの山の斜面である。人力で500sの資材を運び上げるにまずひと仕事となった。疲れたのは三郎次だけか、若い人たちは元気にこなしていた。
資材を等間隔に配置して作業にかかる。

えっ、これ石灰と堆肥を一緒に撒いていいの?。不具合なことは承知しているのだが、皆で作業できる日が限られているので、この仕儀となった。でも択んだ石灰はクドを含んだ炭酸石灰、反応は緩やかだから、あとは早めの撹拌混和の作業をしてほしい。
うーん、これでひとまずか。でも去年の雨で流れ出した表土の跡が気にかかる。
畝を縦にと指導があったが、それでいいのかな。この土質・地形では、畝は等高線に沿って横畝であろうと思案する。

(
遠景を横切っているのは、関越自動車道)
今度は山頂への道も点検しておかねばならない。
でも三郎次の目は、やはり横道にそれてしまう。昨年の立野(
萱野、ススキ)が倒れたままの斜面では、どこを道としていたのか分からなくなっていた。他の植生も見えないのだが、このスミレだけが二かぶ・三かぶ目をひき付ける。こんな荒地の酸性土壌にも強いのであろうか。昨年の枯れ立野を掻いて見ると、毎年の枯れた萱ススキが重なって、下のほうでは腐植化している。自然の営みは、こんな形でも自らの力で緑を育てようとしているのである。それにしても、このスミレ、やはり健気である。
山頂に立って、いつも見慣れたとは云え、ふるさとの眺望に快哉を唱える。そして今日の笑顔の面々・・・。
そして、その背後の脇に覗ける赤い屋根は?。
私たちは、ただお花畑に遊んでいるのではない。ふるさとを深く見詰めようとしている集いである。
あの赤い屋根の施設とふるさとが、どのように調和出来るのかと、その道筋を確かめようとしているのである。この頂への道付けは、単に山道を拓くことだけではないのである。ここに立って、ふるさとの足下に泉を見出そうとしているつどいなのである。
スキー場開発のブルの入らなかった斜面には、山桜が艶を競っていた。コブシも花を開こうとしている。

0