九尾(きゅうび)の狐は文字通り尾が九本ある妖狐(ようこ)で、「金毛九尾の狐」とも言われます。
為政者〈王様など政治を司る人)の妻に化けて為政者を堕落させ、悪政を行わせて国家を滅亡させるという妖怪です。
インドに発祥したとされ、斑足王(はんぞくおう)の妃・華陽(かよう)夫人となり、斑足王を操ったと言われています。
その後、中国の殷(いん)の紂王(ちゅうおう)の妃・妲己(だっき)、さらに周(しゅう)の幽王(ゆうおう)が寵愛した褒娰(ほうじ)となって、王朝を転覆させてから日本にやってきました。
『下学集(かがくしゅう)』によると、近衛(このえ)天皇の時、九尾の狐は玉藻前(たまものまえ)と言う絶世の美女となって天皇に近づき、寵愛を得ました。丁度その頃から天皇が病気となって寝付くようになり、医者も病気の原因がつかめなかったと言われています。
そこで、陰陽師によって病気の原因占いが行われることになりました。
陰陽師の安部泰成(あべのやすなり)が玉藻前は恐ろしく歳を経た九尾の狐が化けており、病気の原因も玉藻前にあると占い、泰山府君(たいざんふくん)の祀りを行うと玉藻前は本性を現し、正体を見抜かれた九尾の狐(玉藻前)は、現在の栃木県那須町へと飛び去りました。
那須野に逃れた九尾の狐は三浦介義明(みうらのすけよしあき)・上総介広常(かずさのすけひろつね)の二人の射手に狩り立てられて、安倍晴明によって調伏され、殺生石になったとされています。
殺生石からは有毒ガスが激しく噴出し、石に近づくものを殺し続けましたが、それも九尾の狐の衰えを知らぬ毒気の仕業であるとされていました。
殺生石にむやみに近づいたり、石を持って帰るなどは絶対にしないで下さい。
後代になっても九尾の狐は祟りがあると恐れられています。
狐を祀るお稲荷様は、商売繁盛や稲作の神として日本中に浸透していますが、実は非常に恐ろしいことであり、九尾の狐の祟りを思えば、安易にお祀りすることは絶対に止めた方がよいでしょう。
狐を祀ることで、様々な悪影響が後を絶たないからです。
けれども一度お祀りしたものを止めることは、もっと恐ろしいことです。
靖国神社でA級戦犯の分祀問題が騒がれていますが、靖国神社が「一度合祀した御霊を分祀することは技術的に出来ない」と言っているのは事実です。
実際、一度祀ったものを止めることは、普通の神主さんには絶対に不可能なのですから。
神道祭祀に無知の人間が、勝手に分祀などと騒いで、万が一便宜上の分祀などしようものなら、その後、何が起こるか・・・。
考えただけでも恐ろしいことです!
私は会員の方が、稲荷を自宅でお祀りされていたことで、多くの不幸が重なっていたことから、稲荷を元の場所へ返すという神事を斎行致しました。この神事を行えるのはごく限られた方術師〈陰陽師)だけなのです。


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