『先代旧事本紀大成経』は江戸時代に作られた偽書とされてしまいました。
この文献をめぐって大成経事件が起こりました。
延宝七年(1679年)、江戸の書店で『先代旧事本紀大成経』七十二巻本・三十巻本と呼ばれる書物が発見されました。この大成経の内容が公開されると大きな話題となり、学者や神職、僧侶の間で広く読まれるようになりました。
しかし、大成経の内容は伊勢神宮別宮の伊雑宮の神職が主張していた、伊雑宮が日神を祀る社であり内宮・外宮は星神・月神を祀るものであるという説を裏づけるようなものであることがわかり、内宮・外宮の神職がこの書の内容について幕府に詮議を求めました。
天和元年(1681年)、幕府は大成経を偽書と断定し、書店にこの書物を持ち込んだ神道家・永野采女と僧 ・潮音道海、偽作を依頼したとされた伊雑宮の神職らを処罰しました。後に大成経を始めとする由緒の明らかでない書物の出版・販売が禁止された。
しかし、幕府の目を掻い潜って大成経は出回り続け、垂加神道などに影響を与えています。
『先代旧事紀大成経(一)鷦鷯本』 東宮孝行解読 新日本研究所 昭和51年
『鷦鷯伝先代旧事本紀大成経』 宮東斎臣編、 先代旧事本紀刊行会、昭56年
『先代舊事本紀大成経』全9巻 須藤太幹解読 先代舊事本紀研究会 平成13年

1