コシヒカリBLのことは、昨年の7月8日の「 川口町パソコンクラブBBS 」で、広井さんがとりあげていた。三郎次もこれに反応して、7月9日から13日まで、
「 コシヒカリとイモチ病 」・
「 剛と柔 」・
「柔″рノ克つコシヒカリ」 と、
「 BL稲、導入初年度で 」(←クリック)のブログで触れていたので参照していただきたい。
以後、BL稲の生育や流通の反応についても継続的に触れるべきが本意であったのだが、地震復旧と、とりあえずの秋の収穫に安堵して、BL稲のその後のことまでに配慮がおよばなかった。
ところが、5月15日からにわかに昨年のブログへBLのことで、アクセスが増えたのでどうしたことかと思ったら、朝日新聞の記事があった。
昨年の県内コシヒカリは一斉に、
イモチ病に強いとされるBL種子に切り替えられた。
特性も味も普通のコシヒカリと同じと云うことで栽培にのぞんだのだが、何か変だの声は聞こえていた。
それが出荷・検査の段階で品種名はこれまでの「
コシヒカリ」 では不可となり、「
コシヒカリBL」になったのである。
ところが、「
魚沼産コシヒカリ 」
の表示は、同じそのままなのである。
コシヒカリの弱点を改良するために別の品種と交配を繰り返す。その結果で育成された改良品種は、もとのコシヒカリでなく
新しい品種であるから、農産物の検査には「コシヒカリ」とはならなかった。それが流通では「
新潟県産コシヒカリ」「
魚沼産コシヒカリ」となることの問題を、新聞は報道したのである。
「特徴や味が変わらない」「見た目にも区別しがたい」と云うことで、同じ銘柄名での流通を、新潟県はすすめたのである。食味や特性に変わりがないとしても、
科学的には同一でないものを 「 同じ 」 とすることの疑問が取り上げられた。
後日、新潟県の立場を擁護するかのような、新大農学部教授の記述が、新潟日報紙上に発表されたのであるが、それは
BL稲が耐病性を強めて、農学上の優れた成果であることの主張であって、朝日新聞の報道とは、問題がかみ合っていないようである。
BL稲は品種の育成・改良と云うことでは科学的に優れた成果であることに相違ないかも知れない。しかし問題は
その成果を正しく世に問うたかと云うことである。新潟県などの関係機関は県産米の販売政策の上で、
ブランドとしての「新潟県産コシヒカリ」「魚沼産コシヒカリ」などの銘柄にこだわるあまりに、交配による改良品種が、あたかも従前のコシヒカリと同じであるかのようにして市場流通に乗せたことの是非が、問題として問われるのである。
今日のような情報社会において、BL稲のことが
一般消費者にどれだけ周知されて流通にのったのであろうか。はたまた
生産農家においても、コシヒカリ ブランドとBL稲のかかわりに、どれだけ関心が持たれていたであろうか。残念ながら、三郎次の周辺からはこのことへの関心の声をほとんど聞かない。ここにもBL稲と流通の問題は見えてくるのである。
コシヒカリBLが真に優れた品種ならば、これまでの「
コシヒカリ神話 」を
乗り越える挑戦で世に問うべきでなかったのか。
はたしてコシヒカリBLに、天は
市場評価の優位性と、
耐病の優位性の二物を与えるのであろうか。

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