連日の暑気が30℃を超える日が続いていたのだが、ここ数日はやや和らいでいる。
激しい雨の日もあったのだが、気がついたら今日の天気図から不連続線がきえていた。北陸新潟県の梅雨明けはまだ聞いていない気がするのだが。
魚沼のコシヒカリは丁度12葉令となって、穂肥の時期である。生育がすすんで、出穂日は例年よりも5日も早まりそうであるから、穂肥の施用がおくれないようにとの指導情報が入っているが、この一週間、葉色の落ちは緩慢で、稲の草丈は長めとなっている。田植え日のおくれた稲ほど、この傾向が強くあらわれている。けっきょく現場対応では、出穂日が早まっても、穂肥の施用は早めないで、いつもと同じ時期がベターとの判断になりそうだ。
先日、仲間の田んぼで、あまり見かけることのない病斑の稲を見つけた。イモチ病である。
この写真の手は、指導農業士に認定されているバリバリの現役農家のたくましく鍛えられた手の平である。イモチ病との遭遇経験に乏しい彼は、たった一枚しか見つからなかった病斑葉を、自分の掌のなかで不思議そうに見入りながら、「よく見つけたなあ」とつぶやいていた。

近年はイモチ耐病のBLコシヒカリと農薬の進歩で、ほとんど見かけることのなくなった病斑葉であるから、知らない農家が多くなっている。だがこの病菌がなくなったわけでなく、県内の発病事例の報告は毎年聞いている。だからこの田んぼの病斑葉一枚だけが特例ではないのである。

今日のBLコシヒカリは、異なるいもち抵抗性遺伝子を持った複数のコシヒカリ品種群で構成されているから、イモチ病の発生があっても、異なる抵抗性遺伝子の群≠ナその広まりが抑制される仕組みとなっている。
三郎次の稲とのかかわりの60年を思い返すと、かって二化メイチュウとイモチ病を魚沼の稲の大敵として苦闘した記憶がよみがえるのである。

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