近代的貿易・外国為替レート 後編から続きます。
■ 通貨供給過程
金貨(金属貨幣)が通貨として使われていた時代は、基本的に、国家が通貨発行権を持っていた。
(アメリカ合衆国は現在でも憲法上は通貨発行権を連邦議会に付与している。FRBは法律と屁理屈でのみ正当性が維持されている通貨発行主体である)
おおまかに言えば、「国家が金(金属)鉱山や戦争を通じて得た金(金属)を元に金貨(金属貨幣)を発行して統治上必要な物資や労働力を購入することが通貨供給の出発点になる。
そうして流れ出た通貨は、国内の一般経済取引にも利用され、一部は課税を通じて国家に戻り再度経済社会に出ていく。
高い信認を得た国家の通貨は、国家を超えた地域(経済的な意味での国際社会)で国際取引にも使用されるようになる」というものである。
(ローマ帝国や東ローマ帝国の貨幣は、そのような通用性を持っていた。そうなると、金含有量ではなく、表示単位そのものが信頼されるようになる。金属貨幣は磨耗するので厳密には量を減らしていく。これは、同じ表示単位の金貨であっても、金の含有量が異なっていることを意味するが、信認度が高い通貨であれば、物理的には0.97gと1.00gと違っていても、同じ経済価値を持つものとして取引で使用されていく。これは、金属貨幣が有する“紙幣性”を示唆するものである。西ローマ帝国は、この経済論理にすがって“悪貨”(金含有量を発行時から減らして同じ通貨単位表示をした貨幣)を発行したために、地域での経済覇権を失っていった。滅亡要因はそれだけはないが...)
「近代経済システム」の大きな特徴は、国家ではなく一経済主体である銀行が通貨を発行するようになったことである。
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