「資産デフレ」が及ぼすマインド効果:デフレの論理と「資産デフレ」罪悪説の問題点 4から続きます。
■ 「資産デフレ」はどういう問題をもたらしたか
このようなことを書いてきたからと言って、「資産デフレ」が何も問題を起こしていないわけではない。
銀行が陥っている財務上の苦境は、まさに「資産デフレ」に起因するものである。
[銀行経営者の独白]
ある会社に10億円の担保価値があると思って“無理矢理”10億円貸し付けたのに、返済は“永遠に”できなそうにないし、担保物件も現在では5億円の価値しかない。
今展開している銀行業務で厖大な利益を上げてはいるが、どこもかしこも返済が滞っているし、あらゆる担保物件が同じように価格を下落させているから、新たに上げた業務利益で不良債権を処理しようとしても処理し切れない。
さらに、蓄積してきた利益で不良債権を処理してきたために、自己資本比率がBIS規制ぎりぎりまで落ちている。
これ以上利益を不良債権処理に回すと、BIS規制をクリアできないから、実質は不良債権だけど建前は通常債権にしておこう。
ちょっと前までだったら、利子だけでも返済してもらってかっこを付けてもらうために“追加融資”をしてきたんだが、自己資本比率が下がってしまうし、そんなことをしなくても金融庁も通常債権だと黙認してくれるから止めておこう。
日本経済全体の不況が長いから、正常債権だったものまで不良化している。これじゃあ、新規に貸し付ける相手はよほどの優良企業か、よほどいい担保を提供してくれる相手で差し出す担保価値の半分までにしておくしかないな。
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