「番外編:SUN RA ARKESTRA UNDER THE DIRECTION OF MARSHALL ALLEN "Music for The 21st Century"」
Sun Ra
Marshall Allen来日記念!
…って、もう随分時間が経ってしまいましたが、折角なのでAllenさん率いる現行Arkestraの2枚目のアルバムをレビューします。

Music for The 21st Century (El Ra Records)
2003年5月、スイス Uncool Festival in Poschiavo でのライブ録音。
前作が
Sun Ra 晩年の
Arkestraを継承した親しみ易い内容だったのに対し、今作は60年代を思わせるような混沌とした部分が前面に出てきております。
しかし60年代ほどの緊張感はなく、全体的にまったりムード。1曲目の
"Century 21 / Tomorrows World"における気の抜けた合唱からして妙に和やか。この曲、作曲者はSun Raとなってるんですが、例の
ネタ本のSecond EditionのIndexには載っていません。未発表曲かな?
2曲目以降はAllenさんの作品が続きますが、正直何処まで作曲されてるのか良くわからない曲ばかり。ゆる〜い即興演奏に適当なキメがたまに入るようなのがしばらく続きます。マニア以外の人はこの辺でギブアップの可能性大ですが、前作で強く感じられた御大の不在感を払拭すべくAllenさんのEVIが大暴れするのは大きな改善点と言え、筆者としては高く評価したいところです。
6曲目くらいから徐々に曲らしくなってきます。7,8曲目では
Art JenkinsのユルユルVoもフィーチャー。
9曲目はSun Ra作の
"Reflex Motion"。62年録音のSutarn盤
"Secrets of the Sun"(未CD化)収録曲
"Reflects Motion"と同一曲と思われますが真相は如何に?各楽器がパルス的に押し寄せる激しい曲です。
と、ひとしきり盛り上がったところで
"When You Wish upon A Star"(星に願いを)に突入。またしてもまったりムードに逆戻り。このへんが良くも悪くも現行Arkestra。老人集団ですからねえ。温かく見守りましょう。
そしてシメはSun Raの古典スペース・チャント
"We Travel the Spaceways"。やっぱりお馴染みの曲が聴けると安心します。この曲もやはりユルユル。お約束の行進退場も最後まで収録されてます(つまり、殆どオフマイクということですね)。
おそらく参加メンバー中、最もソリストとしてのポテンシャルが高いと思われる
Michael Rayのソロが少ないのが大いに不満ですが、不定期参加と思われるRayさんよりレギュラーメンバーを尊重した結果と好意的に解釈。
Charlse Davis(今作ではテナーのみ)と
Luqman Aliは参加してくれるだけで嬉しい。
とまあ、全体的に緊張感に乏しいこのアルバムですが、何だかんだ言ってよく聞いているわたくしです。イイ感じの枯れ具合を楽しみましょう。

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