二十代の殺人地図(小説)
第一章「貧乏くじ」
生きたい死にたい殺したい
うちは二代にひとり、必ず天才が出て
そしてかならず自殺する家系
私がおそらく引いたのは
二代に一度の貧乏くじ
じいちゃんを支配してたであろう神が
私のなかを どんどん占めてきたのさ
もう 死神でいっぱいで
息も出来ないの
お前はこうやっておじいちゃんを殺したんだな
死ぬのがわかっているならば
殺すことすら怖くない
自殺を控えた奴だけが
世界で一番強い奴
自分を殺めるくらいなら
恨んだ奴をぶっ殺す
自殺をほのめかすか弱いメンヘルちゃんなんかじゃねえ
俺は世界で一番強いんだ
死ぬぞ 殺すぞ
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おだやかな性格だね、と良く言われる。
いつでも人殺しをする準備が出来ているからだ。
毎日の楽しみは、殺人事件をチェックすることだ。
事件が発生し、大体何日で犯人が検挙されるか
県警ごとにグラフを作っている。
この県は優秀
この県はちょっと遅い
私が死ぬ時は自殺なんだろうな、
それも、もう長くない・・と気づいたのはいつごろだったろうか
それではただの精神病ちゃんなのだが、
残念なことに変なところで気が強いので、
今まで本当に腹立った奴を全員道連れにしようと思っている。
いかに効率よく途中で逮捕されずに
多くの奴を殺していけるか、
毎年計画地図を更新している。
調布→青梅→小平→茨城→・・
毎年誰がどこに引っ越したかもちゃんと把握してある。
この順番でいけば、証拠隠蔽や特別なトリックを使わなくても
警視庁や県警の逮捕・出動のペースとうまく組み合わせて
二日で連続殺人完了の、ゆったり自殺できる
なんて計画が、年ごとに完璧なものになっていく
年末、紅白よりも私はこの地図を見て高笑いしている。
鼻を整形してすっかりキレイになったあいつ、
私の恋人を略奪しようとして大失敗したあいつが、
地方の旧家に嫁いだと大自慢していたが、
ご愁傷様 あそこの県警は日本一腑抜け
大した恨みじゃないけれど、アイツを最初に殺すか・・
続く(ていうかここには出さない)
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※注意書き
東條の作品上、いろんな描写がありますが
殺人、傷害、放火、薬物使用を容認・賛美するものでは
ありません。また、殺人予告でもありません。

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