新年二作目の東條ポエム。
二年ほど前に、友達にでも贈ろうかと
「部屋とYシャツと私」みたいな
明るいかわいいウエディングソング?を書こうとして
こんな仕上がりに・・・・
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「お嫁に行くとき読む本」
いたいのかな くるしいのかな
そんなことが待ってるなんて 少しも思えない朝もやの海辺
母の母は 母が小五のときに
結核で亡くなりました
一人娘の母親は 女の生き方を誰にも聞けず20代
一冊の本だけを嫁入り道具に 父のもとへ嫁ぎました
”お嫁に行くとき読む本”
昔の本てすごいのね
良人(おっと)に心中を切り出されたときの心得まである
”お嫁に行くとき読む本”
昔の本てすごいのね
止めるでも逃げるでもなく いっしょに死ねって書いてある
あしたお嫁に行く朝に 私もこれを持って行く
同じ時代にあなたと生まれたことに これ以上ない感謝
来世であなたに会えるとは 到底思えない
私とあなたの骨は この広い土に散らばり同じ土になり
この空をいずれ彩る わたしとあなたの果てしない魂
いたいのかな くるしいのかな
そんなことが待ってるなんて きっと少しも思えない朝もやの海辺
女は二番目に好きな人と結婚するとうまく行くという
一番のあなたと結婚できたわたしは
八つ裂きにされてもしょうがないのよね
ある朝あなたは言うかもしれない
ある朝わたしはあなたの車に乗せられ
もう一度お嫁に行くような気持ちよ
いたいのかな くるしいのかな
そんなことが待ってるなんて きっと少しも思えない朝もやの海辺
いたいのかな くるしいのかな
明るいあなたは言わないけれど 私は隠して それだけの覚悟
いたいのかな くるしいのかな
その夜満天の星空を見て 世界中の恋人を照らすわたしたちのたましい
あなたに手を握られただけで
倒れそうになる小心な私が
いたいのかな くるしいのかな
そんなことが待ってるなんて きっと少しも思えない朝もやの海辺

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