未来の息子に、会ったことがある。
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1928年のチャップリンの映画に、
なぜか携帯電話で話す女性が映りこんでいると
話題になっている。その携帯はまさに現代のもの。
ある評論家は「この女性はタイムスリップしてきた人だ」と言った。
ところで池袋西武のペットショップ「池田牧場」には
売り物でないウサギがいる。その名も
「池田うさ男」肩書きはショップの営業部長。
もともと売り物として入ってきたけど、店員さんになついちゃって
「店で飼おっか」ってことになったらしい。
いわばお店のマスコットウサギである。

うさ男くん いまも元気よ
茶色のたれ耳うさぎで、来た客が小屋越しに「カワイー」と萌えたり、
店員さんにお願いして抱っこさせてもらえたりする。
その場でエサを買って貢ぐこともできる。
あれは2007年の出来事だった。
友人と訪れた私。うさ男の前には先客がいた。
すっごいキモくてオタクっぽい30歳くらいの男性で、
髪は犬みたいに肩まで伸び、
のそのそと太い動きであからさまに挙動不審だった。
店員さんにおねがいすれば、
うさ男くんを抱っこできる、ということは余り知られていないので、
彼は小屋の周りを熊のようにウロウロと周っていた。
顔は、昔わしが描いたこの絵に似てます。
友人は「未知子になにか変なことするんじゃないか」と思って
危機すら覚えていたそうだ
で、彼が少し離れたので・・店員さんにお願いして
出してもらうと、無言のすごい「興味ある」オーラが私たちを襲った。
チラチラチラチラこっちを見てくるのだ。
勇気を出して言ってみた。
「・・・・・・・・うさぎ、お好きなんですか?」
「飼ってマス!!」(声裏返り気味で)
これ以上ない得意そうな顔で
この瞬間のために生きていたみたいな顔で
待ってましたみたいな顔で
彼はそう答えたのです。
「ええー!どんなうさちゃんを!!(このキモオタが)」
「ホーランドロップの!ブロークンオレンジです!!」
(訳:垂れ耳の、きつね色のブチ模様のうさぎです)
と急にイキイキして・・ドドドって近寄ってきて
毛深くて肉付きのいいドラえもんみたいな手で
うさ男の頭をごりごりなではじめたのである。
それから数日後、その友人が
「ドラゴンボールの、ブルマの息子のトランクスって知ってる?」
知らない
その後友人はいくつかの仮定を述べました。
確か東條家って、男子はわりとブサメンの家系なんだよね?
うん。どんなお嫁さんをもらっても男子はかなりの確率で顔が不自由だよ
未知子はうさぎ大好きだよね?将来子供が生まれても、
たぶんうさぎと一緒に育てていくよね?
うん 情操教育としてうさぎは欠かせないもん・・・・・・
あれ?
「気づいた?あの日のウサギ好きキモオタは、未来の未知子の息子だよ」
「やめてえー」
「あきらめなよ、間違いないよ。
キモオタだけど、背もそんなに低くはなかったよ。未知子の遺伝だよ」
んなわけない
あんなキモオタ・・・・・かっこいい子を生んでイケメンラッパーにする予定が・・・・・・・(←それは嘘)
そのうさ男くんのファンたちは根強くて、例のペットショップに行くと大体また再会できたりする。
しかし、あれから何度そこへ行っても、
あのキモオタと再会することはなかった。
「そりゃそうだよ、彼はあのあとタイムマシンで帰ったんだから。
きっとローザが死んだばかりで、(2007年)未知子落ちこんでるから
未来の誰かが「会ってこい」って指令を下したんだよ」
「やめてえー」
まぁ確かに 個人的にひっかかることはひとつだけ。
うさぎの種類を聞いたとき、
「ホーランドロップの!ブロークンオレンジです!!」
と言ったことだ。
普通は、
「は?」となる。
この色や種別の表現は、単にうさぎが好き、とかうさぎ飼ってる、とかでは
通じにくいセリフだ。
キツネ色のうさぎを、「オレンジ」と表現することは、
わりとうさぎに詳しい人でないと通じない。
まさに「何のコトですか?」となってしまう。
だけど・・私は飼っているとも言ってない。
あのキモオタは、私がうさぎに詳しいことを知っていた?
あのキモオタは・・・わたしがコアなうさぎ狂いであることを知ってるから
試す意味もこめてあの言葉を言ったのだろうか。
「はたから見てて、とても他人とは思えないような
妙なつながりが見えた気がしたの」
言われてみれば、キモさの中にもどこか親しみを感じるような・・・
ってやめてエー!
「きっと未知子は、息子にうさぎのことをずっと教えて育てて、
本当に若き日の未知子がうさぎに詳しいのか専門用語を言って試したんだよ」
未来から来たキモオタ(うさぎ好き)。
「しかもああ見えて実は15歳なんだよ」
やめてエー

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