「ついに廃止決定!?という事で・・・別の角度から検証(果たして橋脚撤去は可能?)。」
桃花台線関連
ついに、今日読売新聞の朝刊1面(中部版)にて、愛知県は桃花台線の廃止を固めた、との話が掲載されていた。
代替バスと国に返却する高架施設建設の補助金の額が決まったためだ。
代替バスは名鉄バスおよびあおい交通が受け持ち、各高速道路を活用した高速バスも受け持つ。
国に返却すべき補助金の額は37億円前後と見られる。これは、全補助金89億から減価償却費を差し引いた額に相当するとみられる。
※80億と記入しましたが、後で確認しましたら、89億でありました。目医者いった方がいいんちゃうのか?ホンマに。
記事
桃花台線 今秋廃止 愛知県方針 バス代替にめど
さて、これからこの「廃止」に関して検証したい。
果たして、桃花台線の廃止後、本当に高架橋が撤去可能か、という事について述べたいと思う(紹介する資料は参考になるかどうかは不明だが)。
実は、桃花台線の高架橋の仕組みや構造は大きく二つに分かれている。一つは橋脚と柱が一体になっているもの。もう一つは高架橋の道路部分と柱の部分が分離してるものと、である。
これは、高速道路などでも同様であるが、一般的に言えば、名古屋等の都市高速道路もそうだが、主にRCタイプの橋脚が使われ、その橋脚上に道路が走る構造になっている。桃花台線のうち、国道区間を含む多くはこの方式である。といっても、RCの正式名称はReinforced Concret、すなわち鉄筋コンクリート・・・。そのままと言えばそのままだが。
参照
鉄筋コンクリート(ウィキメディアより)
このRC方式には、ラーメン橋や単柱橋脚、張り出し式・壁式橋脚、2連・1連BOXなど、普段生活している人にとって聞き慣れない「建築用語」がずらっと並んでいるのだが・・・。
参照
ラーメン (骨組)、ウィキペディアより
で、話を元に戻す。桃花台線で使われている建築構造のほとんどがRC方式であると言えるが、うち、桃花台周辺の区間の橋脚の大半は主にBOXと呼ばれる、箱形の形をした橋脚方式であるが、ここは柱と道路区間が一体になっている。この建設方式は道路の地下化や地下鉄等に使われる方式である「何連BOX("何"はBOXの数で、1つの箱形で連なっているものを1連BOXと言われる)」。それとは別に、国道155号線上に建設された区間は主に単柱橋脚と言われる方式を用いている。ほかにも桃花台センター〜桃花台東間で見られるラーメン構造の上下一体型や、上末駅や東田中駅などで見かける2連BOX式の上下分離型もある。
関連性はあまりないが、帯広・広尾自動車道のサンドイッチBOX方式の構造物に関連するPDF
複合構造函渠工の施工について
-新技術の活用-
書いている本人も訳が分からなくなりそうだが、また、軌道修正したい。
で、本題は桃花台線の構造物を本当に撤去が出来るのであろうか?という事がまず一つ、もう一つは、それを100億で出来るのか?ということだ。
まず、道路上の高架物を撤去する事自体はクレーン車などを用いて出来ると言えば出来るのだが、問題は高速道路に匹敵する国道155号線沿い周辺の高架橋や小牧駅付近、桃花台東付近である。
これから、あまり関連性がないかもしれないリンクの紹介が続くが、その点はご了承いただきたい。
まず、慶應義塾大学 石川幹子研究室のページの中で見つけたものであるが、東京セントラルパークに関する記事が掲載されている。
東京セントラルパーク及び周辺地区における「街路」の課題(
慶應義塾大学 石川幹子研究室のページ内より)
その中で、ソウルの清渓川のことについて述べている。ここでは、河川を都市再生の一環とし、河川の上部に架かっていた高速道路を撤去し、3年で河川を整備する、と伝えている。
一方、こんな記事もある。
神戸新聞の連載「◎連載/50年目の決算 震災で問われたもの」の中で、このような記載がされていた。
「阪神高速道路神戸線は全面的にやり直す時点で地下化すべきである」
六月二十九日、神戸市復興計画審議会は計画案の答申に特記事項を加えた。しかし、翌三十日に決まった復興計画で、この表現は消えた。神戸線は「早期復旧」としか書いていない。(略)
委員の一人は振り返る。「意見をまとめる段階では、復旧は既成事実化していた。矛盾した言い方は難しかった」。神戸市サイドからは、復旧事業は予算がつくが、地下化などは新規事業になり、何年かかるか分からないとの「現実論」も出された。産業復興、神戸港再生のために―との方向は変わらなかった。(略)
米国サンフランシスコを襲ったロマプリータ地震後、二階建て高速道路は撤去された。住民は道路より環境や景観を選んだ。
「自動車交通の見直しは世界の潮流だ」と創生研メンバーの小谷通泰・神戸商船大助教授は指摘する。「ヨーロッパでは都心から車を締め出す動きが出ている。産業優先の時代からの転換が必要ではないか」
参照
◎連載/50年目の決算 震災で問われたもの
(5)動脈の転機/高架撤去に現実論の壁(
神戸新聞より)
この記事でいろいろ面白い事が分かる。
一つは、高速道路の地下化が言われながらも結局は断念した、ということである。
地下化するには、まず高架物の撤去がなされる必要がある。その後、道路を掘り起こした後にBOXと呼ばれる半地下型もしくは地下型の構造物を造った上で、出入り口をつくりながら一般道部分のみを「現状復帰」する作業が求められる。撤去ならまだ知らず、地下化までするとなるとどれだけの年月を有するかわからない、と述べているのだ。
二つ目はサンフランシスコの高速道路撤去の話が触れられている。が、その後の記事で「道路交通よりも景観を選んだ」と大学教授のコメントが添えられている点だ。
何か気付かないだろうか?そう、高速道路の構造物の撤去の原因は「景観」である。しかも「道路」の撤去であって「赤字」路線の「公共交通」の施設の撤去ではないのだ。
つまり、都市型の「赤字廃止」路線の大型連続高架施設を「撤去」するという「前代未聞」の事を行おうとしている、ということである(景観からの鉄道高架施設の撤去後、再建築したケースは多いし、鉄道線等の連続高架化や道路再構築のための道路橋の撤去やローカル線の橋脚撤去といったことも例にあるが)。
実は、私が一番述べたかったところがこの点である、という事だ。確かに赤字で経営がなりたたない、地元の人からも「無駄じゃないか、廃止しろ」。この二つの意見は確かに理解出来るのだが、じゃあ、確かに建築技術が優れている日本とはいえ、これは桃花台内の道路平行区間ならともかく、国道155号線の上の構造物を本気で撤去するおつもりですか?現実論にぶつかりやしませんか?というところが述べたかったのである。
確かに、上末付近に空き地があることは了承しているが、かりに撤去を実施した場合、実はどのような工法でどこの周辺地を買収しどのような機材を入れどの時期に道路を通行止めにするか(現実問題として昼間に行うのはほとんど無理)、さらに撤去がうまくいくかいかないか、周辺住民の万が一にどう対処するか、といった問題が重なって生じる。
関連性が若干あるかな?PDF紹介
第3回
高速道路の夜間工事連載企画............真夜中の技術者たち
(
社団法人土木学会HPより)
一晩で高速道路を一またぎ 〜大型自走台車による長支間プレビーム橋の夜間一括架設(松任連絡横断橋)〜(
川田工業株式会社のHPより)
これはHTML方式。
第二名神高速道路 四日市ジャンクション(
鴻池組HPより)
これらは、高架橋の建設および撤去に関する記事になるが、読むだけでいっぱいになりそうな話ばかりである(最後は紹介かな?)。ただ、自分でも「撤去するなら即断を」と述べたのはいいが、これを見る限り、桃花台内の大半はまだしも、道路上の敷設物はかなりの年月が経ちそうだ(そういえば、南方貨物線の完全撤去はまだでしょうか?)。
で、最後に結論として、「ほんとに100億で撤去が可能か?」という疑問に関して言えば、国道区間の事を考えると、無理、の一言を想像せざるを得ないのかな(というか、大型自走台車の額っていくらするの)?ま、周辺住民を無視して撤去を行うなら安く出来そうだが、現実からあまりに離れすぎて話にならない。
で、今回の結論。
「桃花台線の廃止が施行されても、その後の撤去云々でまた一悶着おきそう」
この一言だろう。
追伸
大成建設HPにて、
高速高架道路の急速リニューアル工法なるものがニュースにて公開されているが、架け替えに10ヶ月(実質工事実施期間40日)で1kmの高架橋が架け替えられるという。廃止後の桃花台線の場合は純粋な「撤去」になるわけだが、小牧から桃花台西まで、高架区間が国道区間を中心に約4kmぐらいあるから、これらの区間を完全撤去するのに40ヶ月(!?)かかる、というわけですか・・・・ってこと?(しかも、暫定の補修期間や予算施行を含めるともっとかかりそう)。ちなみに、桃花台東駅付近以外の桃花台地区での道路へ移行区間の撤去は比較的容易そうですが、桃花台東駅付近もかなり日程を使いそう・・・・。
追伸2
確か、高架施設を有する路線の廃止は名鉄三河線碧南〜吉良吉田間に続くものと思われますが(その間ございましたら、認識不足故、申し訳ございません)、過去、部分的に高架施設を有する鉄道が廃止された事実は多数ございました。ただ、連続のものになりますと、有名なものとしては姫路のモノレール(かつて親戚が姫路におりました。本来ならこのことを記入すべきだったと思いますが、そのことを忘れておりました、申し訳ございません)、他にも数件モノレール系統の廃止がございましたが、姫路のモノレールも若干かつての軌道が残ったりしており、不完全な撤去の姿を物語っております。モノレールの場合は軽量な軌道のため、撤去が比較的容易(といっても安全を守るための難しいしごとであるが)であるにもかかわらず、姫路の場合は一部区間が現在まで残っております。
現在撤去がなされている南方貨物線も河川区間や高高架の区間があったりと苦しい箇所があるなど、撤去に関しては完全には順調には進んでいないようですが、山崎川橋脚を中心に徐々に行っているようです。この路線は断続的に高架基盤があるにもかかわらず、300億(一時200億との認識も私にはあったようですが、誤認でした)の撤去費を「国」の国鉄精算事業として行っております。ちなみに、大府〜笠寺間はJR東海道線の予備軌道(現軌道として使われている大高付近の高架橋の例もある)として用意されております。

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