2006/7/28

Chamber"Jazz"music とヴィブラフォン&マリンバ  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

一時的にサーバー障害があったようでこんな時間にアップしています。御迷惑をかけたみなさん、ごめんなさいm(_ _)m

さて、毎週金曜日はヴィブラフォンやマリンバをやっている人向けのお話し。金曜第十九回目の今日はヴィブラフォンやマリンバがメインとして使われる“音楽”のお話しです

クラシック教育の中ではマリンバが一つのカテゴリーとして存在していますが、そこで教わる音楽に「古典」はありません。語弊を避ける意味で書きますが例えばマリンバの為に書かれた古典が存在しないという事で、他の楽器の為に作られた古典音楽(例えばバイオリンとかチェロ等)を通じて古典音楽の表現を体験する、という事は出来ているのです。それだけ「新しい」分野の楽器でもあるので、歴史を作り上げている現役の演奏者から直接指導を受けられるという、他の楽器では決して体験出来ない利点がある事を念頭に置いておきましょう。

さて、地味でマイナーだと言われるマレット・キーボードの世界ですが、特に近年マレットプレーヤー同士が盛んに取り上げる傾向のある“Chamber Jazz music”についてまとめた文献や記事が少ないのでショート・ヒストリーを書いてみます。
参考に掲出したアルバム等を一度聴いてみると良いでしょう。

■Chamber"Jazz"music

まずChamber"Jazz"musicの定義ですが演奏するにあたって譜面に書かれた音符以外にコードネームによって作られる即興演奏が魅力となる音楽とします。

■私的Chamber"Jazz"musicの歴史考

この歴史はひとつのジャズバンドから始まったとしても過言ではないでしょう。

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『Fontessa/Modern Jazz Quartet』(Atlantic/1956年)

モダン・ジャズ・クァルテット(MJQ)はジャズ・ヴィブラフォン奏法の創始者の一人であるミルト・ジャクソンが1946年に結成したMilt Jackson Quartet(これもイニシャライズするとMJQになりますね)が母体となって1952年のメンバーチェンジを切っ掛けに誕生(改名)したジャズの歴史の上で重要な成果を残したバンドです。モダン・ジャズ・クァルテットになってからはバンドの音楽監督がピアノのジョン・ルイスに集約され古典的なクラシックとジャズのサウンドをミックスした洗練されたスタイルが特徴となり世界に多くのファンを持つようになりました。紹介したアルバムはそのようなMJQ独自のサウンドが確立された最初のアルバムだと思います。この作品をChamber"Jazz"musicの出発点として紹介しておきます。

■近代Chamber"Jazz"musicの始まり
クラシックで古典、ロマン、と歴史的な音楽分野が名称されているのでChamber"Jazz"musicにもそれを当てはめてみました。その始まりは、

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『Crystal Silence/Gary Burton & Chick Corea』(ECM/1972年)

MJQの作り上げたChamber"Jazz"musicが古典派とすればゲイリー・バートンとチック・コリアによるこの作品はフランス近代以降の音楽に形容すると歴史的な位置付けが明確になるでしょう。取り上げられた曲の大半はゲイリー及びチックのそれぞれのバンドで演奏されていた曲ながらヴィブラフォンとピアノだけという事もあって普段とは違う表情を見せます。この二人は1968年の短い期間にゲイリーのバンドにチックが入る形での共演をしていましたが、その時はVib+G+B+Dsというゲイリーのバンドのコンセプトにチック(と言うよりもピアノという楽器)が上手くブレンドしなかった事を理由にチックは退団しています。ドラムとベースがいなければこんなにブレンド出来るとは不思議ですが、その後のChamber"Jazz"musicではドラムレスの編成が多く見られる事からも、このアルバムが与えた影響の大きさが計り知れます。

■近代ジャズマリンバの登場
ジャズの創成期には“ラグタイム”等で大いに活用されていたマリンバ(当時はシロフォン)。しかし、この楽器は他の楽器とのアンサンブルで非常にブレンドするのが難しく、なかなかジャズやポピュラーのバンドに登場する機会がありませんでしたが、上記のゲイリーの門下生からこの楽器をChamber"Jazz"musicに取り入れた奏者が登場しました。

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『Winter Love,April Joy/David Friedman』(East Wind/1975年)

奇跡的にもこのアルバムは日本のレーベルによって誕生しました。デヴィッド・フリードマンとデイヴ・サミュエルスの二人のマレット・プレーヤーにヒューバート・ロウズ(fl)ハービー・シュワルツ(b)という編成。フリードマンとサミュエルスはこの後「ダブルイメージ」というユニットを組みます。
いわゆるシロフォン的なイメージを払拭したマリンバがジャズで初めて聞こえてきたアルバムです。

■・・・その後のChamber"Jazz"music

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『Quiet Songs/AISHA DUO』(Obliq Sound/2003年)

このヴィブラフォンとマリンバのデュオ(Andrea Dulbecco & Luca Gusella)は偶然にもCDショップの店頭で見つけたもの。曲によってはチェロやフレームドラムも入っているが基本はマレットデュオです。アンドレアはフリードマンの門下生のようです。
長年マリンバ奏者でコードによる即興演奏が出来るプレーヤーの登場を待ち望んでいます(実に25年!)。Chamber"Jazz"musicは確かに「聞きやすい」方向にあると思いますが「小奇麗」なだけのものは何も感動を受けないのです。Chamber"Jazz"musicから"Jazz"を外せば良いのですけど、それじゃ面白くない。

この分野の今後の発展を大いに期待しています。
そろそろみんなで何かを起こそうぜ

おしまい



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