2011/1/28

スケールからコードサウンドを感じられるメロディーへ・・・  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック


毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。
記念すべき金曜第二百一回目の今日は、前回の『疑わしきオルタード・スケールが生れる時・・・くるっと回れば変化球!?』と関連したお話しです。

ココまでの金曜クリニックをご覧になりたい人は左のカテゴリー(またはこの記事のタイトル右側にある)「金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック」をクリック。この記事に続いて過去の記事全てを見る事が出来ます。チェキラ!

昨日の木曜ブログ『実はとっても面白い・・・後ろのヴァイビストは誰だ? ハービー・マンとタミコ・ジョーンズ』( http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20110127/archive )はなかなか好評だったようでフロントでスポットライトを浴びているヴィブラフォンとは違ったバックグラウンドの中のヴィブラフォンに注目してみた事がなかった人達から感想をいただきました。

実際に仕事となると、自分中心の演奏よりも他の人との共演やレコーディングであなたのミュージシャンとしての需要が生まれます。
ここでジャズ的なクリニックを行っているのも、そういう場面に遭遇した時に、どれだけ「自分」を主張せずに活かせるか、を備えてほしいのと、マレットキーボード全体の音楽的な需要とレベルを掘り起こす為です。
自分が得意な事はそればかりやっていれば誰でも上手くなりますが、音楽全体の中で自分をどのように活かすのかを知らないミュージシャンと、知っているミュージシャンでは雲泥の差があります。
ここで何度も「自分の音に根拠を持て」と述べているのも、そういう音楽の現場で「自分」を如何に「その場の音楽に同化(僕の口癖のブレンド)させる事が出来るか」を目標としてほしいからです。
「これはジャズじゃない」とか「ジャズなら得意なのに」とかという趣味的な見方で音楽に触れないことが大切だからです。

さて、とは言うものの、コードを使った演奏や発想の訓練に関してはジャズが一番体系的にまとまったセオリーを持っています。
だから、ジャズの一つも演奏してみよう的に感覚でチャレンジしてください。
アメリカのロックバンドがサウンドチェックの時にチャーリー・パーカーの曲などを演奏しているシーンがあります。「これはジャズじゃない」なんて言ってる場合ではないのです。

■リズムでメロディーを型にハメる事なかれ!

音楽の三要素と言えば、メロディー、ハーモニー、リズムです。
それぞれの音楽によってこれらの要素がせ占める度合いは変わってきます。
しかし、メロディーとリズムには「流行り廃れ」があるのに対して、ハーモニーにはそれがありません。
つまり、誰にでも聞こえる部分は何かひとつでも流行ると一気に「右へならえ」的に似たようなものが大量に噴出します。
そうすると人々は「飽きる」までそれを大同小異で繰り返しますから、少し時間が経つと「物凄く古臭く」かんじられてしまうのです。

余談ですが、今のようにシンガーソングライター的な曲作りが主流となる前は、専門の作曲家がいました。
一番わかりやすいのが「歌謡曲」と呼ばれるJ-popの世界。
1960年代、70年代、80年代頃までは専門の作曲家がタレント向けに曲や詩を作り、それを歌うというパターンでしたが、90年代以降は専門の作曲家ではなく、バンドのメンバーが作ったり、自らも演奏活動を行うシンガーソングライターが曲を提供したりするようになりました。
すると、サウンド的にはグッと洗練されて如何にもミュージシャン好みのリズムやコード進行が主流となりましたが、旋律的にはそれ以前のような「インパクト」を持ったものが減少し、音楽的にはかなり「すっとんきょう」でもあった、歌謡曲と呼ばれ誰でも知っているようなメロディーが生まれなくなってしまったのです。

僕は子供の頃からジャズばかり聴いて育ったので歌謡曲にはまったく興味がありませんが、どうにもこうにもあの「インパクト」のある旋律達は一度耳に入ってしまうとなかなか忘れられない、それだけ強い個性があったのだと、今の時代になってわかるのです。
恐らく旋律こそ命、歌詞こそ命、という徹底した姿勢があったのだろうと思います。
やはり音楽にはどんなジャンルにせよ命を懸けるだけの姿勢はほしいですね。

話がやや脱線しましたが、コードスケールという「コード」と「スケール」によってハーモニーをメロディーに変換する「尺」を持つようになるととても便利なのですが一つだけ注意しなければならない点が出て来ます。

それは・・・

「演奏がただのスケール練習になるな!」

コードスケールの中で「アヴォイドノート」だけを上手く飛び越える事ができれば、とてもセーフティーな音が手中に入ります。
しかし、これが「スケール」の危険なところで、どんな楽器でも最初にスケール練習から入るように「楽器に慣れる為の手段」としてのスケール練習が、コードに慣れる為のスケール練習として存在してしまう事に気付かないと、音楽的に発展や展開のない音の羅列をズルズルと垂れ流してしまう事があるのです。

これまで「他人のフレーズで演奏するな!」と述べている上に今度は「スケールで演奏するな」とは!?

いえいえ、禁則を増やしているのではないのです。御安心を。

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題材は先週までと同じ、クリフォード・ブラウンの“DAA HOUD”の冒頭の部分。

さて、先週は質問があったので後半の部分がリハーモナイズされたコード進行の事に触れましたが今週は元のコード進行のままです。

こういうコード進行に対して、ひとつの音程の動きとリズムを伴うフレーズを当てはめながらコード感を出す練習というのがあります。主に和音の出ない管楽器の練習方法で「リック(Lick)」奏法といいます。
この方法にはコードスケールの分析を前提とした場合と、やや強引にどこかの曲の一部分をパネルのように当てはめる場合があります。
手っ取り早く「動く」ことに入る入口であるのは利点ですが、ヴィブラフォンやマリンバの場合はコードも出せる楽器という点で表現方法にやや偏りを感じてしまいます。

ところが、同じコード楽器のピアノと同じように「自らのコードサウンドを左手で鳴らしながらスリリングなメロディーを奏でる」という事が出来ません。最大4つの同時発音で全てを語るには、ピアノと同じやり方では無理があると言うもの。

そこで、ビブラフォンやマリンバ奏者がまずやらなければならないのは、自らのソロのメロディーラインにコードサウンドを取り込め、という事です。

先ほど述べたコードスケールの弱点は、隣り同士の音を並べ過ぎると「単なるスケール」にしか聞こえない事。
メロディーの中にコードサウンドを反映するには、それぞれのコードのキャラクターとして強い印象を残す音を意識する訓練を始めなければなりません。

また、“DAA HOUD”は速いスイングリズムの曲ですが、リズムに乗る事を考える前にハーモニーに乗る事を先に習得すべきです。
従って、最初は目まぐるしく変化するコード進行に「茫然」とする前に、如何に「楽」に「コードサウンド」を自分で出すか、を考えてみましょう。

先々週の金曜ブログでこの曲のこの部分のコモントーンの事に触れました。
「Ab」又は「Gb」が有効であるのを割り出していましたね。
これをメロディーの最初に据えて、コードサウンドをアルペジオで奏でてみましょう。

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焦らず確認も行う為にコードの長さを倍に伸ばしました。
原曲の倍の時間、一つ一つのコードに触れられるのでプレッシャーにならないでしょう。
前半に続いて、後半も同じようにアルペジオで続けます。

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これらのアルペジオを弾きながら、矢印(↓)の部分の音を強く意識してください。
これらはコードのキャラクターを示すトライトーン(3rd,7th/各フラットも含む)で、コード伴奏が無くてもこれらの音をメロディーに使っているとコード進行が感じられるようになります。

スタートの音を例えば「Ab」がアヴォイドノートとならない限り固定してアルペジオを弾くと、さらにコード進行による音の変化をアルペジオで確認できるでしょう。

最後の4小節を試しに「Ab」に固定したアルペジオで弾いてみると・・・

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平行移動のように「型」を当てはめて奏でるよりも、一つの音(この場合はスタート音)を軸に定めて奏でると「変化」がより明確になるのがわかるでしょう。
ソロのメロディーラインで一番聴き手の印象に残るのがこういう動きなのです。


(続く)


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