2012/2/23

よく分からないのが魅力・・・セロニアス・モンクで一番好きなアルバム  木曜:Jazz & Classic Library


どの世界にも「はまらない」人というのはいる。
それが自然になのか、故意になのかは、あまり詮索しないほうが良い。

「な〜んだ、フツーじゃないか」

と減滅しないためにも。

・・・セロニアス・モンク的考察・・・・

最近、天然という言葉をこの「はまらない」人の形容に使うが、テレビなどで見掛ける天然というのはほとんどの場合が故意であるから天然とは呼びがたい。

じゃ、「はまらない」人というのは特別な存在なのか・・・?

いや、全然特別ではない。
むしろ普通の人よりもフツーだと思う。

この世の中、おもしろいもので、「フツー」という言葉にはあまり重きを置かずに示される時が多いような気がする。いやはや、これは大変な損失だ。

物事「フツー」に済ませるなんて、物凄いキャリアを要求される事で、そんじょそこいらのいい加減な人間では務まらない高等技術だ。

物事を達成する為には「暑くても涼しい顔」をし、「痛くても笑顔でカバー」し、「若くても大人びた態度」で人生を生き延びて行くのだから。
だから「フツー」というのは、本当に完成されて非の打ちどころが無いものに使うべきだ。

だって、誰が見ても「フツー」に見えるなんて・・・・・一人一人顔も名前も性別も違う世の中で、成立する事自体が素晴らしいのだから。

では、「個性」という言葉はどうだ?
オリジナリティー?

ノー、ノー、ノー。

今、個性として使われている言葉が指しているのは、悲しいかな「個体」というくらいの意味しか持っていない。
靴下の左右の色を変える程度ならまだマシで、せいぜいエスカレーターに乗る時に右足から踏み出すか、左足から踏み出すか程度の事で、その先の結果になにか大きく影響を及ぼすほどのものではないもの。

でも、そのレベルでなければテレビなどで「個性的」などというキャッチコピーをレッテルに何かを成し得るなんて無理。だって、見てる人が結果を予測出来るから安心して個体差の事を「個性」などという言葉として受け入れられるわけで、本当に「個性的」なものがパッと一度見ただけで理解されるわけがない。

世の中、なんでも「パッと見て」インパクトがある・・・・とか、「パッと聞いて」聞きやすい・・・・とか、「パッとみて」笑える・・・・・とか、、、
そういうものが売れると思いこんでいる節があるから困ったものだ。

現象的傾向としては「パッと見」に人は反応するのだけど、よく理解しているわけじゃない。
出会いがしらに軽くぶつかって「えへへ・・・」と照れ笑いしているようなもので、自分に深く危害が加えられなければよしとするアレだ。
だから「えへへ・・・」と照れ笑いする事で、ぶつかった痛みの回路をどこかに挿げ変えて忘れようとする。
だから、結局は、どんどん出来事が重なる内に記憶に埋もれて忘れ去られて行く。
でも、そういうモノはそうじゃなければ存在する意味がないから決して異常な事ではない。

ただね、そればかりを繰り返していると、一体「フツーってーのは、何だっ!」て疑問が大きく立ちはだかるのよ、人生は。。。。。

「フツー」って、そんなに軽々しく使うもんじゃないんだよね。ホントは。


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『SOLO MONK/Thelonious Monk』(cbs/1965年)

ピアニスト、作曲家、セロニアス・モンクほどジャズ・ファンからミステリアスに思われたミュージシャンも珍しい。僕も最初はそう思っていた。なぜなら、僕がモンクの名前を見掛けた頃のジャズ雑誌ではすでに「ミステリーオーソ」としてのモンクの名が確立されていた1968年だ。

相当に偏屈。
摩訶不思議な振舞い。
素っ頓狂なピアノ演奏。

まぁ、こう言ったところがミステリーオーソとしてのセロニアス・モンクを演出していたのだと思う。

このモンクのソロアルバム、『SOLO MONK』に辿り着いたのは1970年に入った中学の時だった。
僕は一聴して「あれ?」と思った。

フツーなんだ。

いや、細かいところはミストーンも含めて不協和音もあるのだけど、小学校の頃から活字で目に入っていた「相当に偏屈」で「摩訶不思議な振舞い」をする人で「素っ頓狂なピアノ演奏」という僕の妄想からすれば、まったくフツーのピアノ弾きに聴こえた。

これのどこがミステリーオーソなんだ?

中学生ながらこのあまりにも「フツー」さ加減にかえって親しみが沸いた。

もちろん器用なピアノじゃないよ。

でも、僕はこの「ソロ・モンク」がセロニアス・モンクのアルバムの中で一番好きだ。

偏屈なピアノはユーモアに変換。
居た堪れない不協和音は知らない世界の入口に変換。

「セロニアス・モンクを聴いてみたいんだけど」と問われたら、迷わずにこのアルバムをレコメンドする。

そして今回、その僕らが擦り切れるほど聴いたLPアルバムの収録曲に加えて9つもボーナストラックがくっついたCD盤「SOLO MONK」を入手した。
元々の収録曲が12曲しかないのだから、それに9曲も足したらまったく別モノじゃん。

笑ってしまうが、それがリイシューCDの定め。
まぁ、そのおかげで、まったく聞き覚えの無いモンクが聴けるなら、サイコーだ。

で、実際には追加された9曲中新たな曲はオリジナルの“Introspection”とスタンダードの“Darn that dream”の二曲で、残りは本編の別テイク集、つまりボツ・テイクだ。

ただ、嬉しいのはLPはすり減ってしまって、また、中学生では扱いも粗雑でプチプチとノイズが入っていたアナログLPがCDになったおかげで不快なノイズもなく、また再生ピッチも修正されているので快適に聴こえる。
まぁ、CDでも音飛びが100%無いわけではないが、アナログLPよりも格段にその点でのストレスが無いのはよい。

で、

深夜にヘッドフォンを介して本編の演奏を聞きながら何か書こうとしたら、冒頭のようなセロニアス・モンク的考察がスラスラと出て来た。
音楽にインスパイアーされたのかもしれないが、曲毎のコメントよりも、セロニアス・モンクというピアニストの事を僕がどのように捉えて、どのように愛好しているかはわかりやすいと思う。

追加されたテイクについて記すと、スタンダードの“Darn that dream”は本編の他のスタンダードと比べるとやや面白味に欠け、演奏の所々転びながらなのでこれでは没になるな、と思える演奏とアレンジ。

しかし、オリジナルの“Introspection”は違う。
物凄く極端な言い方をすれば、これはモンクの作品の中ではずば抜けて先進的で近未来を向いた曲だと思う。
ソロで示しているスペース感はトリオやクァルテットなどのバンドで表現すると、ともすれば平凡な世界に置き換わってしまう危険性があるが、ピアノ一台で演奏する限りこんなに未来を感じさせるモンクも珍しい。
クラシックを聴く時にオーケストラ版で聴くよりもピアノ・ソロ版で聴いたほうがイメージが広がるのと一致する。
これがなぜ没になったのか、不思議でならないくらいだ。

最後に、セロニアス・モンクは素晴らしい作曲家であったと思う。
僕の2005年のアルバム『FOCUS LIGHTS』(vega)はオリジナル曲以外は「昔のジャズはかっこよかった?」をコンセプトとして選曲が進んだ。
オリジナル4曲以外の最終ラインナップは、ペ二ー・ゴルソンの“Stable Mates”、ヴィクター・フェルドマンの“Seven Steps to Heaven”、ヴァン・ヒューゼンの“Here's That Rainy Day”、アントニオ・カルロス・ジョビンの“All That's Left”、そして僕自身長年の懸案だったセロニアス・モンクの“Ruby, My Dear”だった。

どのように料理するかに着手して、最後のモンクの「ルビー、マイ・ディア」に取り掛かった時の事だ。
それ以外の曲はスラスラとアイデアが出て来たのに、モンクのこの曲だけはどうにもアイデアが出て来ないのだ。
大したものではないが、僕のスタンダードに対するアプローチには大なり小なり着目してくれるコチラ側の人もいる。ビブラフォンという楽器の特性かもしれないが、バンドとブレンドさせるにはある程度の加工が必要なのだ。

しかし、、、構想を練るために一人で弾くピアノではセロニアス・モンクが自分のすぐ傍にいるのに、これをベースとピアノとヴィブラフォンとドラムで・・・・・・

う・・・う〜ん。。。

なんか違うんだよなー、何かがバンドにする事で失ってしまうような・・・・

僕にしては珍しく一週間ほどアレンジを放棄、放置して再び着手しようとした時に“ふと”。。。

「無理にモンクっぽくする必要はない。自分らしくやればいいじゃないか」

この“Ruby, My Dear”は四拍子のバラード。
しかしバラードと言ってもけっこうドンジャカしている。
そのドンジャカしている部分がバンドに置き換えようとすると不自然に曲を威嚇してしまうのだ。まるで虚勢を張っているように。

いや、この曲が中学校の時お気に入りだったのは、そんなトコが気に入ってたんじゃないゾ!
この曲のドラマチックなメロディーの動きだ。
バックはどうでもいい。

そこで、このメロディーを単旋律で何度も弾いている内に、「あ!」と気が付いた。
モンクのあの武骨な伴奏は自分が一番落ち着ける伴奏形態だったって事。
譜面だって、(たぶん)メロディーにコードが振ってあるだけだ。伴奏形態なんてそもそも何も決められていないのに、モンクのあの武骨な伴奏が強烈な印象を持つものだからつい伴奏であるのを忘れてこの曲にアプローチしようとしていたのだ。
だから僕がこの曲に求めたものは、モンクの武骨な伴奏ではない、という結論で後はスラスラと。(笑)

自分も作曲するからわかるのだけど、ジャズで本当に良い曲というのは、自分以外のいろんな楽器のプレイヤーが好んで取り上げてくれる曲だと思う。
自分の楽器でしか出来ない曲だとか、どこにでもありそうな曲だとかは、作曲ではなく練習曲でしかない、と。

そうすると、やはりこのセロニアス・モンクという作曲家は相当な完成度を持った作曲家であった事を実感させられた。

良い曲とは、、、、誰がやっても、どんな楽器で演奏しても、どんな演奏であっても失われないものがあるもの。
この楽器で演奏するのはいいが、こちらの楽器で演奏したらちっとも良くなかった、、と言うのは・・・

「パッと見」レベルって事で、そんな曲は旅の恥はかき捨ての如く、自分の中から一度放出してしまわないとその先へ繋がらない。

セロニアス・モンクは生涯にたくさんの曲を残している。
だから、「パッと見」レベルのモンクの曲と、そうじゃないレベルのモンクの曲が混在しているのは、ごくフツーの事なんだ。





『2011年ベスト・ライブ(動画)』公開中!


2011年11月24日ブログ『超・満員御礼! 赤松敏弘(vib)meetsハクエイ・キム(p)25-25プロデュース第六弾』http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20111124/archive

TOSHIHIRO AKAMATSU(vib) meets HAKUEI KIM(p) w/TARO KOYAMA(ds) & KUNIO OINUMA(b) @ 25-25Presents Special Live Vol.6

25-25プレゼンツ・スペシャルライブVOL-6。
『“赤松敏弘meetsハクエイ・キム”with小山太郎+生沼邦夫』

・当日のセットリストは以下の通り

[1st set]

1.Trisoniqe......(by Hakuei Kim)
2..White Forest......(by Hakuei Kim)
3.Sound of Focus.....(by Toshihiro Akamatsu)
4.[duet] Newtown......(by Hakuei Kim)
5.Ruby, My Dear.....(arr Toshihiro Akamatsu)
6.Axis.....(by Toshihiro Akamatsu)

[2nd set]

1.The Gleaner.......(by Toshihiro.Akamatsu)
2.[Tribute to 1964's Miles]......So What
3.[Tribute to 1964's Miles]......Stella by Starlight

4.[Tribute to 1964's Miles]......Walkin'
5.[duet] Silent Butler.....(by Toshihiro Akamatsu)
6.Kuala Lumpur......(by Hakuei Kim)

[Encore]

1.Dear Old Stockholm
2.O Grande Amor

Toshihiro Akamatsu(vib)
Hakuei Kim(p)
Kunio Oinuma(b)
Taro Koyama(ds)

Recorded live at KAMOME in Yokohama. Nov/23/2011

・セットリストの赤文字の演奏をアップしています。
・動画は従来通りMySpace版と、プラグインの関係でMySpaceビデオがご覧になれなかった人向けにYouTube版もアップしています。
・MySpace版YouTUbe版とも、どちらも同じ内容です。


[YouTube版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部1曲目



★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]




[MySpace版]※画像をクリックすると別窓で開きます

★第二部二曲目[Tribute to 1964's Miles-vol.1]



★第二部1曲目



★第二部三曲目[Tribute to 1964's Miles-Vol.2]






ガンバレ東北!

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CDレビュー→http://www.jazzfusion.com/cd2010/axis.htm

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