2006/7/10

イベントはハプニングの宝庫・・・後半  月曜:ちょっと舞台裏

ヴィブラフォンを担いで(実際にはバラバラに分解して車で運んでいるんですけど)右往左往する内に遭遇した裏話。本日は先週の月曜日「(ジャズフェスの上を行く)イベントはハプニングの宝庫」の続きです。前回から読んでね。

ある豪雪地帯の小さな町の船宿(この町一番の宿泊施設だったとか)の朝は早い

午前7時半、布団を片付けられて朝食が部屋に運ばれる。
旅行ならこれは嬉しいのだけど、演奏で来ていて、しかも昨夜宿中の大顰蹙(ひんしゅく)をかいながら食べた夕食は午後11時過ぎ。ボ〜っとして窓縁の椅子に座りただ海を見つめるだけで精一杯。食欲はゼロである。

コーヒーだけ飲んで着替えると迎えの車が来た。
みなボ〜っとしながら宿を出る。。。。。

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豪雪地帯は道路標識も色合いが異なるようだ

会場に向かう。。。。。。。。。

「おい、あかまつ」といつもの口調でピアノのS氏。
「ゆうべコツコツコツコツ何やってたんだ。俺の部屋まで聞こえてたゾ」
「あ、あれね。本番の演奏時間を計ってたんだよ」
「何度もか?」
「うん」
「うるさくて寝れなかったゾ」
「ごめん」

結局、初リーダーでプレッシャー攻撃に襲われているドラムのE君では冷静な判断が無理との事で、ステージ上の采配は僕が取る事になったんだ。
だから夜中にストップウォッチを眺めながら演奏時間とコーラス数(ジャズの演奏ではソロパートを何回繰り返すという単位を1コーラス、2コーラス、、と呼ぶ)と奮闘していたのに、、怒るな

とか何とか言う内に山嶺の会場に到着。午前10時前だと言うのに物凄い人出だ。

町を上げてのイベントと言うだけあって様々なアトラクションが催されている。スケジュールを見るとこの丘の上のいくつかの会場で予定がビッシリだ。
僕ら(正式にはE君のバンド)の出演は一番最後。大トリだ。

しかし、、まだお昼前。本番までは6時間はある。そこで楽屋で一眠りする事にした

3時間くらい寝ただろうか。スッキリと目が覚めてイベントの様子を覗いてみる事に。
僕らが出演する会場ではその前に出演する地元の人達の「民謡踊り」のリハーサル中。鐘や太鼓で賑やかだ。唄のリードを勤めるおじさんは声に張りがあって上手だ。
他の会場も一回りして楽屋に戻る前にへ。

トイレのドア越しにさっきの「民謡踊り」のリードを勤めるおじさんがトイレの中で発声練習しているのが聞こえて来た。

「ハァ〜〜〜〜。ウ、ウォホン。ハ、ハァア〜〜〜〜〜」

出だしの所の練習かな。物凄い張りのあるおじさんの声がトイレ中に響き渡る。

僕が入って行くと、おじさんはピタリと声を止めた。
そして僕が出て行くと、再び謡いだすのだ。

「ハァア〜〜〜〜!と、ウォホン、、ハ、ハァア〜〜〜〜!」

幾分緊張しているようだった。ま、それはよくある光景。

楽屋に帰ってしばらく談話していると、ピアノのS氏がやって来た。

「おい、あかまつ。トイレ行ったか?」
「うん」
「民謡のおじさん緊張してガチガチだったぞ。声が上ずってた」
「え〜、まだ練習してたの?1時間くらい前に行った時も練習してたよ」
「へぇ〜。あのカルキ臭い中でよく何時間も練習するなぁ、倒れるゾ」

1時間くらい経って僕らの前の「民謡踊り」の本番が始まったのでおじさんを激励する意味で見に行った。

ドンドン、ピーヒャララ〜、ドドンがドン!
勢い良くステージが始まる。地元の人が出てるので会場は満杯で2000人は軽くいるだろう。


スポットが付いて、さぁ、おじさんの登場・・・・・




あれ



隣で“間の手”を入れていたおばさんしかいない

ど、どうしたんだ〜〜〜お・じ・さ・ん

民謡のステージが終わって僕らのセッティングが始まったので袖に上がる。
間の手のおばさんがいたので聞いてみた。
「あのー、リード謡ってたおじさんどーしたんですか?凄く練習してましたけど」

おばさん曰く

「あ、あの人ね。何だか気分が悪くなって帰っちゃいましたよ」

ガ〜〜〜ン。
カルキ臭の中で歌い続けていたからだろうか、、それとも緊張しすぎたからだろうか。。

凄いねぇーーー、と言いつつセッティングも終わり僕らの本番だ。

「すいません、ちょっとアナウンス入りま〜す」

緞帳(どんちょう・ステージの幕)の裏でヴィブラフォンをセットし板付き(ステージの立ち位置でスタンバイする事)で待ってた僕らにスタッフがそう告げると、次にこのようなアナウンスが満員の場内に響いた。


「お客様にお知らせ致します。まもなく梺の駅行きの最終シャトルバスが発車致します。御利用のお客様は御乗り遅れのないように御注意下さい」


ハァ


そしてE君率いる僕らの演奏が始まる寸前、、、、、、
一斉に客席から我も我もとシャトルバス目掛けて蜘蛛の子を散らすように客が移動を始めた。。。。


残った数およそ300人。。。1/5に満たない

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「おい、あかまつ!」
とこの仕事に誘った僕の背中にSさんのイタイ視線が突き刺さる。

「僕じゃない、責任者はあっちだーーーーーーー」

リーダーE君の力の無いカウントと共に緞帳が上がり、まばらとなった客席に空しく響き渡っていたのでした。

おしまい



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