2006/7/20

今夜は邦人のアルバムから  木曜:Jazz & Classic Library

昨夜のライブ編成(Vib+Guit+Piano)から明日のヴィブラフォン vs マリンバ(いつからvsになったんだ?)へと頭の中のモードを移行中。。。。
金曜日午後7時半から大泉学園『まほうの竜』。乞う御期待

そんな前日ですから、ヴィブラフォンやマリンバの音楽かと思いきや、全然違う所がやはり天の邪鬼でしょうか。


今夜御紹介するのは、日本を代表するトランペッター日野皓正さんのアルバム。

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『ALONE ALONE AND ALONE/Terumasa Hino』(TAKT/1987年録音)

今はどうか分かりませんが、僕がジャズを聴き始めた頃は地方にいると邦人のアルバムというのはなかなか入手が困難で、一体どういう人がいるのかさえ分からないくらいでしたが、そんな中にあって日野さんは当時から別格でした。
このアルバムを買ったのもジャズを扱うレコード店ではなくデパートのレコード売り場でしたから、その人気度はケタ外れだったのでしょう。

そもそも日野さんの演奏を初めて聴いた(いや、見た)のは小学生の頃、毎朝学校へ行く前に見ていたTBS系列の『ヤング720』というセンセーショナルな番組でした。毎朝ポップスやロック(当時はグループサウンズと呼んでいました)のサイケなおねぃさんやおにぃさんが生で演奏するという革新的な番組で、ちょっと面白いバンドが出ていると、「早く学校へ行きなさ〜い」と親に言われても「ふぁ〜い」と生返事でギリギリまで見ていました。そんな中に突然レーバンのサングラスをかけて、かな〜りヒップなファッションを身にまとい、高らかとトランペットを吹く人が出て来た時には「ヘェ〜」と驚いたものでした。

それから暫くしてジャズの雑誌などを見ると、それが日野さんである事がすぐにわかり、既にジャズのアルバムを聴き始めていたのでこのアルバムに到達するのに時間はかかりませんでした。

タイトル曲の「アローン・アローン・アンド・アローン」のトランペットを聴いた時に、日本にもこんなに素晴らしいジャズ奏者がいるんだ(←生意気な小学生ですね)、と感銘し、いつもジャズ雑誌に登場しているアメリカのジャズメン意外にも興味を持つ切っ掛けとなったのです。

なぜかわかりませんでしたが、この人のトランペットには惹かれるものがありました。
それで数年後に再び、その大好きだった日野さんの曲「アローン・アローン・アンド・アローン」が収録されている、という理由だけでこのアルバムを買ってみました。

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『HINO AT BERLIN JAZZ FESTIVAL'71/Terumasa Hino』(Victor/1971年)

この時、既に高校生になっていましたから、それまでにもありとあらゆるジャズを聴きまくった耳に「こ・れ・は」と突き刺さるものがありました。
ジャズフェスティバルでの録音ですから、そんなに録音状態が良いとは言えないですが、激しい曲の後に、突然耳なれた「アローン・アローン・アンド・アローン」が静寂の中に聴こえてきた時には、正直なところ鳥肌が立ちました。
僕は激しい演奏の日野さんも凄いと思いますが、この人のバラード演奏には「鳥肌」を立てられてしまいます。

先のアルバム『ALONE ALONE AND ALONE』から数年経っているベルリンでの同曲。その間は音楽に限らず社会全体がどんどん過激になって表現者達もいろいろな事を演奏にぶつけていたのだと思いますが、このベルリンでの「アローン・アローン・アンド・アローン」を聴いて、僕は日本人としての音楽、ジャズの中に息づく日本人の個性、というものを初めて体験したような気持ちになり、何度も聴きながらなぜか涙腺が緩んでしまいました(←いかにも思春期らしい/笑)。

トランペットから吹き出されるいろんな音色(この曲で日野さんは実にいろんな音を出しているんです)、その一つ一つに自分の感性が刺激されたんです。しかもそれが海外のミュージシャンの演奏を聴いて刺激される部分とはまったく違う箇所。
きっとそれが日本人としてみんなが共有している、独自の感性なのだと思います。ある意味で武満徹の音楽を聴いて受ける刺激と同じかもしれない、と思いました。


後日(もう随分後の事ですよ)、その、子供の頃のアイドルだった日野さんのバンドに加わり演奏するチャンスに恵まれました。その時に毎回ステージで演奏する日野さんのバラード「Suavemente」はバックをやっているだけで、あの時と同じように毎回「鳥肌」が立っていました。ううん、、、これでは小学生の感性のまんまですね(笑)。でも、それは僕にとってとても貴重な体験。そして子供の頃に思った通り、この人はやはり「別格」でワールドワイドな世界感を持った人でした。


みなさんも「この人といつか巡り会いたい」と思い描く事があるでしょう。僕も子供の頃からありました。そして音楽を志した時からそれは少しずつ現実となって僕に勇気を与えてくれたのです。
ゲイリー・バートン氏、市川秀男氏、鈴木良雄氏、そして日野皓正氏。
幸いにもそうやって思い描いた人と直接会う事が出来たのは幸運かもしれませんが、継続と偶然の接点が何処かにあったからかもしれません。前進するだけじゃなく、たまには撤退も含めて継続する事は大切です。

本当にやりたい事があるのなら、絶対に諦めるな そして、時流に流されるな 今は格好悪くても気にするな

継続する勇気と自信に繋がる事を磨く。今の日本に足りないのはそういう事なんじゃないかな。

もう一人、マイルス・デイビス氏とも会いたかったけど、、、、、、、
それはもう叶わなくなってしまった。。。

御紹介したアルバムの中で一番好きな曲は、
当然ながらベルリンのライブ盤に収録された「アローン・アローン・アンド・アローン」。


おしまい



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