2006/7/27

たまにはFUNK JAZZ回想・・・・・DONALD BYRD(tp)  木曜:Jazz & Classic Library

僕の文章からはあまり“ファンク”という言葉は出ないと思うんだけど、70's JAZZを成長期と共に体感していたのだから「ECM」以外に「FUNK JAZZ」も当然ながら興味を持っていた。

ではなぜFUNKという言葉を自分であまり使いたくないかと言うと、それは小学生の時からジャズの雑誌を見ていたら、やたらとFUNKという言葉が出て来て、それを最初は(素直に)信じて音楽を(ジャズを)見ていた。でも、それは子供には「大人の物真似」でしかなく、自分にはまったくFUNKという実感が無かったし、そんな色眼鏡で音楽を区切ったところで、やがて自分が本当に満足するモノには辿り着けまい、と感じたからだ。

そんな僕でもFUNK JAZZに遭遇し、大いに心惹かれた時がある。
何を隠そう、大好きなマイルス・デイビスがその切っ掛けを「怒濤の如く」このアルバムで放出してきたからだ。

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『IN CONCERT /Miles Davis』(CBS/1972年録音)

この木曜特集の記念すべき第1回目に紹介した1964年録音のライブ盤『My Funny Valentine』とまったく同じニューヨークのフィルハーモニックホール(72年にはエイブリー・フィッシャーホールと改名されているが)のライブ録音。
しかしココにはもうコールマンもハンコックもウィリアムスもいない。溢れんばかりのポリリズムとアンビエント・パルスの連続。高校生の僕は最初何が起こっているのか正確にキャッチ出来なかった。が、そんな事はどうでもよく、とにかく驚いた そして、嬉しくなって笑った

これが現代のジャズ(当時)のあるべき形だと、聴く内に共感とも興奮とも言えない賛同を呼び、それがFUNKと呼ばれる音楽に自ら急接近する糸口へと繋がって行った。怒濤のポリリズムとハーモニーが生み出す興奮はストラヴィンスキーと同列の「仕掛け」に感じた。
「音楽は爆発だ」
既製の音楽をぶち壊しているのが痛快に心地良かった。思春期真只中の高校生である

この翌年、僕は初めて生のマイルス・デイビスの演奏を見る事になる。1973年のマイルス・デイビス広島公演(郵便貯金会館)だ。後の75年の来日公演は偶然にも大阪フェスティバルホールで体験したそのままが「アガルタ」「パンゲア」という2枚のアルバムとして記録されているが、このデイブ・リーブマン(sax)の入った公演は記録こそないものの凄まじかった。

直後に2度目の来日となった「ウェザーリポート」(この時はドラムが元スライ&ファミリー・ストーンのグレッグ・エリコが急きょ参加した珍しい編成)も同じ広島の郵便貯金会館で見たが「ブキウギ・ワルツ」という曲で明らかにマイルス・デイビスと同じ方向(つまりはFUNKをベースの音楽)にシフトしつつあるなと実感した。

その先にはハービー・ハンコック(p)が「ヘッドハンターズ」を始動し、チック・コリアのRTFも当初の編成からFUNK叉は後のFUSIONサウンドへとシフトしつつあったのだから、マイルスとウェザーリポートによって世の中の大きな流れを先に体感させてもらった事になる。

この時代はリズムが音楽の中で一際目立った存在となっていて、やがてそれはさらに緻密に整理整頓されて80年代のフュージョン・ブームへと繋がって行く。

完全なフュージョンとなってしまうと天の邪鬼な僕はハーモニーのインパクトが欠けてしまうように思えて興味は失せるのだけど、その一歩手前まではリズムと等しい重量のハーモニーやメロディーの面白さがあったと今考えても思う。

そのバランスがポップに向くと、ブラック・コンテンポラリーと呼ばれるヒットソングになり、ジャズに向くと、マイルスやウェザーリポートの音楽になる。

いくつかのファンクを感じさせるアルバムを購入した中には珍しくヴォーカルもあり、その中でもシャウト唱法が印象的だったジョー・リー・ウィルソンが好きだった。

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『Hey Look At You/Joe Lee Willson』
ファンク・ビートものではないが、彼の唄そのものがFUNKだった


そして、、、やっと、、、、本日御紹介するアルバムに到達

それはコレ
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『Black Byrd/Donald Byrd』(blue note/1972年録音)

ドナルド・バードと言うとハードバップと呼ばれる硬派な音楽のトランペッターという印象が強く、僕もジャズ喫茶などではそういうアルバムの印象しかなかった。
ところが、このアルバムでは彼が教鞭を取る大学の学生達と共に結成したファンク・バンド(後にBlack Birdsとして独立)との共演マテリアルで、ハードバップの印象は無い。メンバーには当時のスタジオ・ミュージシャンがズラリ。Joe Sample,Wilton Felder,Harvey Mason,,,,,等。
当時のティーンエイジが等身大に出来る音楽、つまりはそれがFUNKなんだけど、時にはコーラスやヴォーカルまで登場し、とてもファミリアな雰囲気がする。

隅々まで聴くと(当時もそうだったが)若干リズムの甘さもあるので、シリアスに語るアルバムではないが、その「よじれ具合」が独特のレア・グルーヴを生んでいるし、どことなくペーソスも感じるので、きっと夏の夜の70'sフリークのBGMとして「クルセイダーズ」等と並んで最適ではないだろうか。

たまには、こういうアルバム、いいんですよ〜

一番好きな曲はトップの「Flight Time」と言いたいところだけど、なぜか“いなた〜い”感じの最終曲「Where Are We Going?」が当時からこのアルバムの印象として頭の中で流れるんだなぁ。ひょっとしてとてもいい時代だったのかなぁ。まるで昔の恋人に会ったような気分。


おしまい



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