2006/8/17

たまにはBigBand Jazzの事など・・・・・  木曜:Jazz & Classic Library

ヴィブラフォンという楽器をやっているとビッグバンド・ジャズを聴く機会が少ないのですが、今までに好んで聴いたビッグバンドがいくつかあります。とは言え、いわゆるビッグバンド・ジャズの王道と呼ばれるカウント・ベイシーやデューク・エリントンとは少し趣きの違ったバンドが多くなってしまうのは、
片手に2本もバチを持っている事に免じて許して頂きたい(←なんのこっちゃ!)

まず今日のビッグバンド・ジャズの基準と呼ばれるのは、やはりこのバンドではないかと思います。

クリックすると元のサイズで表示します
『CONSUMMATION/The Thad Jones & Mel Lewis Orch,』(SS/1970年録音)

いわゆる“サド=メル”のネーミングで親しまれているビッグバンドで、世界中の学生ビッグバンドが必ずお手本とする軽快で都会的なモダニズムに溢れたアレンジが好印象。実際に彼らはビッグバンド・ピースを全米のカレッジバンドに放出し全米をくまなく回ってビッグバンド・ジャズの普及に大きな功績を残しています。今では全米のハイスクールにまで浸透し、多くのミュージシャンのジャズと出会う切っ掛けが“サド=メル”であったりします。彼らのサウンドの口当たりの良さが支持されているのでしょうね。このアルバムではジャズ&ロック的な曲もあって、なかなか70'sなグルーヴがイカシてると思いますよ。

クリックすると元のサイズで表示します
『FELLINI712/Kenny Crake & Francy Boland Big Band』(MPS)

アメリカの“サド=メル”に対してヨーロッパにはこの“クラーク=ボーラン”ビッグバンドがありました。ケニー・クラークは元々アメリカのミュージシャンでしたがフランス人のピアニスト、フランシー・ボーランとこのビッグバンドを組んでからはヨーロッパを拠点に活躍しました。音楽というのは面白いなぁ、とこのバンドを聴いた時に思いました。同じコードをどの様に組み立てるかでバンドのサウンドカラーが出ますが、“サド=メル”がどちらかと言えばマイナーセカンド(短2度)の響きを随所に目立つように使ってソリッドな音に仕上げるのに対して、“クラーク=ボーラン”は同じマイナーセカンドでもずっと後方で響くようにバランスして中低音をくっきり浮かび上がらせるのです。“サド=メル”が陽気なアメリカ人のお喋りとすれば、“クラーク=ボーラン”はちょっとおすまししてファッショナブルなフレンチ風とでも言いましょうか、こんなにお国柄がスコアに反映されるとは面白い対比です。同じ12個の音の組み合わせなんですけどね。


さてココからはガラリと変わって、ググッとスピリチュアルなビッグバンドですゾ

クリックすると元のサイズで表示します
『Let My Children Hear Music/Charles Mingus』(CBS/1971年)

その行動自体がスピリチュアルだったベーシスト、チャールス・ミンガスが残した大編成作品の中のビッグバンド作品。別にオーケストラ作品もある。僕がミンガスの音楽に初めて触れたのはビーバップの終焉として名高い“ジャズ・アット・マッシーホール”がLPに復刻された時で、実はこの時マッシーホールは客がガラガラで、演奏者も諸事情で完全に「オカシク」なっている中で一人真面目に演奏していたが耐え切れずに途中で帰ってしまった、という記述を見て「いいなぁ」と思ったのでした。マッシーホールの録音は後日ベースをオーバーダビングして発売した、というからその辺りいかにも終焉的で「ますますいいなぁ」と。その後の作品もいくつかは聴いたものの、演奏の途中で演説が始まったりでイマイチ、ミンガスという人がわからなかった。ところが、スコアリングされたこの“Let My Children Hear Music”を聴いた途端に、「あ!」っと今までの伝説が一つの糸となって繋がった気がしました。即興演奏が一番個性を売り物にしているはずなのに、譜面に書かれた音の中にヒントがあったなんて。以来ミンガスの音楽はとてもカラフルなんだと僕は思っています。

僕はギル・エバンスも大好きですが、今回はスピリチュアルという事で書いていますのでちょっと違うように思います。

で、どうしたものでしょう、、、、、、この人のビッグバンドは完全に僕をノックアウトしてしまったのです。

クリックすると元のサイズで表示します クリックすると元のサイズで表示します
左/『OTHELLO BALLET SUITE/George Russell』(Flying Dutchman/1967年)
右/『LIVING TIME/Bill Evans & George Russell』(CBS/1972年)

ジョージ・ラッセルを初めて聴いたのはピアニスト、ビル・エバンスに夢中になっている時だった。だからビッグバンドを聴くつもりで買ったわけではないのだけど、発売当時「エバンスの異色作品」と盛んに雑誌に書かれていたので迷わず購入。それが“LIVING TIME”だった。
そして、それは見事にハマッタ
このLIVING TIMEではスタジオにほぼ二つのビッグバンドを配し、ラッセルが提唱する「リディアン・クロマチック」のコントラストを見事に実践している。オクターブを分割し同時に二つの調を演奏するビッグバンドをバックにソリストが行き来する壮大でまるで大河のうねりのよう。これはホントに凄い。

何を隠そう、このアルバムを聴いてからビッグバンドにも興味を持つようになったのです。

そして最後は、一番最近買ったBig Band Jazz。

クリックすると元のサイズで表示します
『NONSEQUENCE/Mike Gibbs』(PVC/2001年)

ドイツ組とアメリカ組に分かれて録音されたギブスの二つのビッグバンド。時を超えてもこの人のスピリチュアル・サウンドは健在。何も言う事はないですね。

おしまい



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ