2006/8/18

例えばBend奏法はこんな時に・・・・・  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。金曜第二十一回目の今日は装飾的な奏法であるベンド(Bend)の実用例についてのお話しです。

ヴィブラフォンやマリンバは、タダ叩いているだけに見えますが細部に渡って様々な装飾的な奏法を組み合わせて音色に変化を持たせています。
マリンバに比べると音の減衰時間が長いヴィブラフォンはそれらの装飾テクニックが昔からより発達しています。

ヴィブラフォン独自の装飾テクニックの一つであるマレットダンプリングの応用によるピッチベンド(Bend)奏法。その奏法については4月21日の金曜特集『余裕があれば使ってみよう!装飾的なピッチベンド奏法』で実際に解説しましたが、どんな曲で使うとより効果的であるのかを知っておくと表現がより豊かになりますね
物事、何よりもまずイメージをつかむ事から始まります。

ピッチベンド奏法を世界中に広めたのはゲイリー・バートン氏。1960年代後半の作品でマレット・ダンプリングを含めた今日広く使われている装飾的な全てのテクニックを開拓し完成させていました。ゲイリー氏の音楽が他のヴィブラフォン奏者と一線を引いていたのは、マイルス・デイビスよりもロックを早くジャズに取り入れただけではなかったのです。


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『LOFTY FAKE ANAGRAM/Gary Burton』(RCA/1967年)

半年前に録音された前作『ダスター』でロック・ギタリスト、ラリー・コリエルをメンバーに加え話題になりましたが、こちらはヴィブラフォンの装飾的なテクニックがより完成されてギッシリ詰まった注目作でした。その中で2曲(Fleurette AfricaineとMother of the Dead Man)で初めてベンド奏法を披露しています。13歳だった僕の耳には音程が故意に下がるヴィブラフォンの音色が強烈に焼き付きました。


ところが、ピッチベンド奏法を演奏に取り込んだヴィブラフォン奏者がそれよりも前にもいたのです。

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『ENSADINADO/Fats Sadi』(MPS/1966年)
ファッツ・サディ。
伝説のギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトなどとの共演もあるベルギー生まれのヴィブラフォン奏者です。このアルバムは1966年3月21日にドイツで録音されていますから、上記のバートン氏のアルバムよりも前になります。ホームページの掲示板でも2002年に投稿諸氏の間でサディ氏の事が話題になりました。当時バートン氏は24歳、サディ氏は恐らく40代半ばより上だと思われますから斬新なプレーヤーです。このアルバムはLPで発売された後ずっとオクラになっていたのですが、突然今年(2006年)になってCD化されています(掲出した写真はLPのもの)。誰かこの掲示板を見たのでしょうか(笑)。普通このピッチベンド奏法は4本マレット奏者が使うのですが、サディ氏は2本マレット奏者だったので、マレットに特色があったのではないかと想像します。(4本の場合ピッチベンド用に1本ゴムのマレットを用意する)
軽快にスイングするモダンジャズで、ピッチベンドもちょっとユーモラスに聞こえる所が面白いです。
いつごろからサディ氏がベンド奏法を使っていたのかは不明ですが60年代半ばまでには使っていたという記録ですね。


次は、

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『Love Play/Mike Mainieri』(BMG/1977年)

8月4日の特集『Independent Grip』で紹介したマイク・マイニエリ氏もピッチベンドを使っています。このアルバムでもタイトルソングのバラードでベンドが効果的に使われていますが、後半の部分を聴くと単音ではなくコードサウンドも一緒にベンドしているので、シンセヴァイブにキーボードのようにベンド装置が装着されていた可能性もあります。
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マイニエリ氏の使っていたシンセヴァイブ。ムッサーグリップにも注目

シンセヴァイブのエフェクションと相まって、とろけるようなベンド・サウンドが今聴いても「ドキドキ」します。
いやぁ、ほんとカッコいいッス
このアルバムからもう30年も経とうと言うのに、マイニエリ氏が使っていたシンセヴァイブを上回る発展がヴィブラフォン自体に無いのは少し残念ですが、、、

最後は、
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『UNDERSTANDING/Bobby Naughton』(JAPO/1971年)
これはいわゆるアヴァンギャルド・ジャズと呼ばれるシーンで活躍していたヴィブラフォン奏者のアルバム。エール大学でのコンサートとスタジオでの録音をまとめた作品です。ファッツ・サディ氏がモダンジャズの中で、バートン氏がコンテンポラリー・ジャズの中で、マイニエリ氏がフュージョン・ジャズの中でベンドを使っていたように、アヴァンギャルドのシーンでもベンド奏法が使われていた例です。

まとめると1960年代後半から70年代前半にかけてヴィブラフォンのピッチベンド奏法は世界的に広まり、装飾テクニックとして親しまれている奏法なのです。


僕のアルバムでもピッチベンドを使ったものがあります。
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どこかで見掛けたら・・・・どこで使っているか聞き耳を立ててみて下さい

おしまい



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