2006/9/8

モダン・ジャズヴァイブの巨人の1/2・・・・  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はヴィブラフォンやマリンバをやっている人向けのお話し。金曜第二十四回目の今日はヴィブラフォンの演奏スタイルを確立したモダン・ジャズヴァイブの巨人のお話しです。

コンテンポラリー・ジャズヴァイブの創始者はゲイリー・バートンと今までにも紹介していますが、コンテンポラリー・ジャズも含めた今日の全てのヴィブラフォン奏者に影響を与えているモダン・ジャズヴァイブの巨人はミルト・ジャクソン(Milt Jackson)です。

このブログを見ている人には、根っからジャズヴィブラフォンが好きな人もいれば、他のジャンルからヴィブラフォンに興味を持ってみている人、打楽器のひとつとして見ている人、何となく通りかかってみている人、、、と様々。
ジャズのヴィブラフォンと言ってもいろんなスタイルが演奏にはあるので紹介しているアルバム等を是非聴いてみて下さい。

さてミルト・ジャクソン氏の事を紹介する時に、大きく二つの説明をしなければなりません。

ひとつはジャクソン氏が参加し解散後数十年経った今日でも世界的な人気を博するグループ“Modern Jazz Quartet”(通称MJQ)。このグループについては、沢山のサイトやブログで説明されているので僕が今さら何か付け加える事はありません。一言だけ加えるとすれば、このグループはChamber"Jazz"musicの原点にある、と言う事です。このChamber"Jazz"musicについては7月28日のブログでも触れていますから参照して下さい。

もうひとつはMJQ以外のジャクソン氏。自らのリーダー作からセッションまでこれも多数あります。僕はヴィブラフォン奏者としてこちらのジャクソン氏が好きです。MJQは音楽監督兼ピアニストのジョン・ルイスが描く世界で統制の取れたサイズの中でのジャクソン氏がいますが、MJQの枠が外れたジャクソン氏の演奏は自由奔放。

実はヴィブラフォンを始めた頃からしばらくの間はジャクソン氏の演奏に興味がありませんでした。自分は4本マレットだし、ブルースよりもロックやボサノヴァにより親近感を持っていたからです。高校を卒業する頃になって、地元の松山に長期滞在で演奏していたヴィブラフォンの藤井寛さんを紹介してもらい初めて自分の知らないスタイルの演奏を見る事に。藤井さんが出演しているライブハウスや“ハコ”に出掛けては時に一緒に演奏させてもらったり大変お世話に。ある日「ミルト・ジャクソンを聴いた事がないのですが、何かお薦めはありますか?」と生意気な高校生の質問に応えて推薦してくれたのがこのアルバムでした。
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『PLENTY,PLENTY SOUL/Milt Jackson』(Atlantic/1957年)

クインシー・ジョーンズのアレンジによる5管編成3リズム+ヴァイブというもので、早速レコード屋で買ってきてターンテーブルに乗せて聴いたものの、、、、エレクトリック・マイルスやリターン・トゥ・フォーエバーに馴染んだ高校生の耳には、さっぱり理解出来ませんでした。録音もヴィブラフォンの音色がやや硬質で、好みではなかったというのも馴染めなかった理由かもしれません。

しかし、それから数カ月後に再びジャクソン氏の演奏をFMで聴き「これ、これ!」と思って購入したのがこのアルバム。

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『The Milt Jackson Big4 - Montreux Jazz Festival』(Pablo/1975年)
ジャズフェスのライブ盤なのに、不思議と耳に馴染みやすいサウンド、その頃始めたジャズ・スタンダードの数々、心地よいジャクソン氏の打撃音、、、、この時に思いました。
録音は新しい方が良い

「プレンティー〜」の時は録音の好みが合わずジャズ喫茶でよく耳にしていたMJQのヴァイブの音とも違う事で「耳」が拒否してしまったのですが、このライブ盤に聴こえる音は普段自分の周りから聴こえる耳慣れたサウンド。すると不思議な事に、それまで興味を持たなかった事が嘘のようにジャクソン氏の演奏を楽しむ事が出来たのです。

続いて買ったのも同じレーベル
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『Feelings/Milt Jackson and Strings』(Pablo/1976年)
ストリングスとの共演として好きなのが(録音は良く無いけど)チャーリー・パーカーのストリングスものです。それを言うと「ふん、君はパーカーをわかっとらんナ」と言われた事がありますが、なぜか好きなんですね。ジャクソン氏のこのアルバムもそんなに注目されたものではありませんが好きなのです。

他にもジャクソン氏のアルバムを購入し、この頃になって自分でもヴィブラフォンのファン(プロペラ)を回してヴィブラートをかけて演奏してみました。プロペラの回る速度、ハーフ・ダンプリング、打撃音、ブルーノート、、、、それはとても短い期間でしたが、ノン・ヴィブラートで始めたヴィブラフォンが別の楽器のように響くのでびっくり。ジャクソン氏が如何にヴィブラフォンの機能をフルに使っていたのかを検証してみたのです。プロペラもあの速度以上の回転では細かいニアンスが付けられない絶妙のバランスとどんなテンポの曲でも対応出来るなどよく考えられている事がわかりました。
その耳で再び「プレンティー〜」を聴くと、前とは違ってジャクソン氏が何をやっていたのかがハッキリ。

しかし、少し耳がヴィブラートに馴染んだ時に、ふと止めて演奏した瞬間、とても不安にかられたのです。全てのニアンスが消えてしまった、、、錯角なんですが。
その不安を感じてから、ノン・ヴィブラートでも「あのようなニアンスのある音を作ろう」と開眼させてくれたのです。

一番好きなのはライブ盤の「ステラ・バイ・スターライト」。炎のソロリレーが痛快。

おしまい



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