2006/9/28

This Is Jeremy・・・・・  木曜:Jazz & Classic Library

ジャズを聴き始めた小学校5年の頃の、アイドル的な楽器と言うとフルート、ギター、トランペット。
Jeremy Steig ?
え〜っと、誰だっけ?
そんなジャズファンも増えたと思いますが、このアルバムならご存知では?

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『What's New/Bill Evans with Jeremy Steig』(Verve/1969年)

ピアニスト、ビル・エヴァンスがフィーチャリングした数少ないアーチストの一人。他にもヴィブラフォンのデイブ・パイクなどもその中に入るんですが、一般的にはステイグやパイクがその後どのような音楽を展開させたかなんて殆ど知られていません。

僕が「What's New」を聞いた(つまり購入した)のは意外と遅く中学2年の時なので、このジャズ誌曰くの「名盤」以前にジェレミー・スタイグを知っていた事になります。
それは偶然にも街の書店の中古レコードコーナーにあったコレ

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『Jeremy Steig First Album/Jeremy Steig Quartet』(CBS/1965年)

ステイグは若い頃自動車事故によって顔面に麻痺をおっていますが、それを克服して独特の演奏スタイルが確立されました。
後でわかった事なのですが、このアルバムは一度日本で発売されたものの(当時は)刺激的過ぎてすぐに廃盤となってしまい、その後「What's New」が話題になった時に再発されたもののようです。だからジャケットもオリジナル盤とは異なるわけで、ステイグがフラワームーブメント(68年当時流行の)ファッションで写っているのも理解できます。
さて、このアルバムのステイグは本当に凄まじく、ハミング奏法を駆使してフルートという楽器の極限に迫ろうとしています。よく知られたジャズ・スタンダード・ナンバーをフルートでこんなにワイルドに表現出来るんだ、と感動してしまいます。
雰囲気だけでワイルドに演奏してしまう人もいる中で、確かな技術を持つ奏者だけにしか感じられない一種の“オーラ”に溢れています。

このステイグの演奏を知ってしまった耳でジャズ誌が名盤と称する「What's New」を聞くと「ホントにそう思ってるの?」と(生意気にも)当時疑問を持ってしまいました。

モンクのストレート・ノー・チェイサーやスタンダードのラヴァー・マンなど、二つとものアルバムに収録されている演奏を聴き比べてみてほしいなぁ。。
このファーストアルバムではもう一人、デニー・ザイトリン(Denny Zeitlin)という本業は精神科医というピアニストがこれまた素晴らしい演奏をしている。

天才的なリーダーには、完璧なサイドメンはいらない、というのが僕の持論なんですが、ステイグは正にその典型と言えるでしょう。

さて、その後のステイグ歴です。

1970年代に入ろうとする頃は子供の僕が見ていても「面白い時代」でした。その面白さの裏側には定石を引っくり返すパワーがうごめいていたのです。ロックミュージックが市民権を得た背景と重なります。

ステイグのソリッドステートの3作は他の先進的なミュージシャンと同じように定石を覆す意欲作だったと思います。

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『This Is Jeremy Steig』(SS/1969年)
フルートの可能性を多重録音を交えて作った作品。アルト、テナー、バス各フルートを駆使して意欲的な演奏が続きます。最後のインディアン・フルートを使ったMAC Dという短いユーモラスなトラックが印象的でした。この人の演奏技術が並ではない事を立証したアルバム。

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『Leg Work/Jeremy Steig』(SS/1969年)
一転してストレートなフルート・トリオ w/エディー・ゴメス(b)ドン・アリアス(ds)に、曲によってサム・ブラウン(g)が加わる演奏。従来の激しいハミング奏法に加えてフルートのタンギングをパーカッションのように使ったりと、アコースティックな楽器の開拓を押し進めています。

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『Wayfaring Stranger/Jeremy Steig』(SS/1970年)]
メンバーは不動、この時期ステイグはフルートによるトリオという表現に独自の演奏スタイルを結び付けてよりワイルドなジャズを目指していたのだと思います。サックスでさえコードレスのトリオはよっぽどの自信が無い限りやりませんから。曲によってサム・ブラウン(g)が加わるのも前作と同じ。ブラウンはこの時期にゲイリー・バートンのクアルテットやリチャード・デイビスのバンド等で活躍していましたが残念ながらこの後ピストル自殺してしまいました。

この3作の後、比較的小さなレーベルだったソリッドステートから大手レーベルのキャピタルに移籍してステイグの音楽はワイルドからロック、アシッドジャズへと転換して行きます。

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『Energy/Jeremy Steig』(Capital/1970年)
当時最新のサウンド・クリエーター、ヤン・ハマー(kb)他一部にGene Parla(el-b)が加わるもののゴメスとアリアスという不動のメンバーが参加。しかしサウンド・クリエーターやレーベルが替わるとこうもサウンドが一転するものか、と思う作品。きっと今のクラブでは絶対にウケる音楽。最初は2曲目のCakesなど気に入って中学の同級生に聴かせていたんだけど、、、、、なんか飽きるんよねえ。

それが切っ掛けか、それとももっと軽快なチック・コリアやキース・ジャレットの登場の時期でECM指向が目覚めたか・・僕の中でのステイグの音楽はここまでで追跡を終了しているんです。


おしまい



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