2007/2/16

インプロヴィゼーションの考え方と奏法  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。金曜第四十二回目の今日は奏法にまつわるお話しです。

ヴィブラフォンの多くの奏法はジャズセオリーと密着しているんです。
楽器の姿形が似ているマリンバの人が安易にヴィブラフォンに手を出すと火傷する(笑)のはセオリーと直結した操作を理解していない場合が多く、実際これまであまり詳しく述べられた参考書も少ないので無理もありません。

今回はその一部分を解説してみますから、ヴィブラフォンをこれからやろうと思う人はもちろんん、これをヒントにマリンバでもセオリーと直結した奏法について考えるとよいでしょう。独自の奏法開拓に繋がりますよ。

■コードに沿ったインプロヴィゼーションの考え方と奏法

よくジャズの入り口はブルースから、と言われますが僕はちょっと違う意見を持っています。
というのも、ブルースに使われる独特のブルーノート・スケールはセオリーを始めようとする人間にとっては“例外”だらけなのです。例えばブルースの最初の小節にあるコードは、トニックであるのに「一見」ドミナント・セブンスコードのような形をしています。

★よく見られるブルースの冒頭4小節のコード
Key of F

|F7|Bb7|F7|F7|〜

通常Fのキーの音階はFーGーAーBbーCーDーEーFですから1小節目のコードネームにあるEb(Fのb7th)の音は調性上の音階には存在しません。さらに2小節目はサブドミナント(IVMaj7=BbMaj7)のはずなのにBbのb7th=Abを含むコードが書かれてあります。

なんじゃ、コリは!
大概の人はここで理論書をおっぽり出して「わからん!」と嘆いてしまいます。

これらは機能和音ではなくサウンドを表記しているわけで実際には|F(I)|Bb(IV)|F(I)|F(I)|という基本的なT−S−T−Tの機能を持つコードが並んでいるだけなのですが、ブルースという特殊な音階を持つ音楽なのでコードにb7thがくっついているんです。
Fのキーのブルースはその気になってザックリと演奏しようとすれば、F7とBb7とC7の三つのコードだけで演奏出来てしまうんです。
するとこの三つのコードと本来Fのキーで出来るダイアトニック・スケールコードを照らし合わせるとブルーノートという特殊な「音」が浮かび上がってきます。

通常の場合→FMaj7(IMaj7)、BbMaj7(IVMaj7)、C7(V7)。

浮かび上がった「音」はEbとAbですね。
簡単に言ってしまうと、これらの「音」がブルーノートという事になりブルースを演奏する時に通常の音階にプラスしてブルース「らしさ」を出すわけです。(ホントはもっと奥が深いのですがココでは基本的な考え方を記しておきます)

僕がちょっと違うと書いたのは、この事を理解しないでジャズのセオリーに手を出すと「混乱」するからです。中にはブルースの説明にI7などと言う事を書いた理論書もあるので要注意。もちろんブルースはブルースとしてジャズに多大な影響を与えている音楽である事を「違う」と言ってるのではありませんから、誤解のないように。


さて、ブルーノートもそうですが、ジャズのインプロを聴くと、いくつもの特徴的な「半音」に遭遇します。

ブルーノートよりも簡単に使える「半音」を出してセオリーと奏法を直結してみましょう。

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★Passing Toneはコードトーンに対して調性とは関係なく「半音」下、又は上、の音をコードトーンに向ける装飾音です。ココではCMaj7のコードトーン(root、3rd、5th)に対して半音下の音を使った例を示します。
単純なコードトーンに「向かうアクセント」が出来ます。
この場合、半音の響きが重なるとメロディーとしては「ダッサ〜イ」音になってしまうので演奏する時にPassing Toneを素早くマレットでミュートすると、より「向かう」音が強調されます。

★Approachi Noteはコードトーンと隣り合わせに並んでいるダイアトニック・スケール上の音をコードトーンに「向かうアクセント」として用いた音の事です。便宜上Passing Toneと区別する為にコードトーンの上隣りの音を例として示します。
これも隣りの間隔が半音だったり全音だったりするので素早くマレットでミュートすると、より「向かう」音が強調され、メロディーっぽく聞こえます。

★Mixはこの二つの「アクセント音」をコードトーンに対して上及び下から設定したもので、単純なコードトーンにメロディーっぽい「動き」を演出します。奏法練習ではヴィブラフォンのペダルを踏んだままアプローチノートとパッシングトーンを「叩いたマレット」でミュートし全体にスラー効果を出します。これがマレット・ダンプニングの基礎なんですね。


■ダブルストローク
ヴィブラフォン(特に4本マレット)ではダブルストローク(二つ打ち)をメロディー演奏で多用します。
上記のアプローチ&パッシングの形を早いテンポで演奏する場合の演奏例を示します。
この場合、マレットによるダンプニングは不可能ですからペダルを使って音が濁らないようにそれぞれのコードトーンを一区切りとしてミュートします(ぺダリング)。Lは左手、Rは右手のマレットで演奏する事を示します。

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どれがコードトーンなのかを意識しながら演奏&ぺダリングするのが重要なんですね。
やると組合せに法則のようなものが存在するのに気付くでしょう。自分なりにそれをまとめておくと良いですね。やがてインプロで自分がイメージする音を演奏するようになると無意識で組み合わせるようになります。音を出す何コンマ秒前にその状態が出来ればインプロへの道が拓けます。
面白いと思いませんか?


おしまい



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