2007/5/31

音楽に永遠は無かった。でもこれは!・・・Pat Metheny Group  木曜:Jazz & Classic Library

我が家のリビングには大切に飾っている1枚の写真がある。

三人が並んだ写真で、一番右側は我が師匠であるヴィブラフォンのゲイリー・バートン氏、真ん中に僕、そして左側に今夜の主役パット・メセニー氏。

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ちょうど1年前の今日5月31日、東京ブルーノートの楽屋で撮ったショットだ。バートン氏が32年振りにギターを加えたクァルテットで来日(偶然にも32年前の同日に大阪サンケイホールでバートン・クァルテットの来日公演を見ていた)し、しかもその相手がメセニー氏という事で何をおいても駆付けた。終演後、師匠に挨拶に行った時のひとコマだ。

バートン氏のアルバムは12歳の時から聴いている。時系列的にメセニー氏の音を聴き始めたのはその5年後にバートン氏のグループにメセニー氏が加わった時からだから、どちらにしても30年以上になる。

70年代から80年代に掛けてのパット・メセニー・グループ(PMG)は正に僕らのアイドル的な存在として当時周りのミュージシャンもPMGの新譜が出る度に話題にしていた。ECM〜GEFFENにかけての黄金時代だ。
その辺りの事はこのブログの06年6月1日同6月15日同8月3日に詳しく書いた。
ところが、僕が実際に買ったパット・メセニーのアルバムは1996年録音の『QUARTET/Pat Metheny Group』(Geffen)以来途切れてしまった。
もちろん周囲の人が聞かせてくれて内容は把握している。でも自分で買う事は無かった。

あれだけ新譜が出る度に迷わず購入し、まるで永遠の伴侶のように思っていたPMGの音楽から自分が遠ざかるなんて想像もしていなかった。それと同様に周りのミュージシャンの口からPMGの話題を聞く機会もめっきり減った。
前出の『QUARTET』はPat Metheny Groupのクレジットだけど、どちらかと言えばイレギュラー的な作品で主流の作品となるとその前の『We Live Here/PMG』(Geffen/1994年)になる。

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このアルバム、僕らミュージシャンは新しいメセニー・グループの形として大歓迎だった。打ち込みを取り入れたサウンドは時代の鏡、音楽そのものもメセニー・サウンドがそこかしこに見えて好きだ。
しかし、僕は信じられなかったが、メセニー・ファンの一部の間では「これは打ち込みのドラムじゃないか」などと言う保守的な意見も飛出したそうだ。
確かにGEFFENに移ってからの二連作に比べれば叙情味には多少欠けるとは思うが、そんな事をその時代(1990年代)に言い出してどうする。まったく、もう、、、である。

しかし、それが本人達の耳に届いたのかどうかはわからないけど、正直なところその後PMGの音楽からは何も新鮮な感じを受けなくなってしまった。それどころか『We Live Here』よりもずっと時代を後戻りしてしまったような印象があって、ぼくがいつも新譜を聞く時に期待を寄せる「わくわく」「どきどき」する音楽ではなくなってしまった。

そんなわけで、僕のPMG Libraryは1995年頃を境に縮小するかに見えていた。



12年の時間が過ぎた先日、自分のアルバムの制作も落ち着いたので音楽を聞きたくなった。ふと、PMGの事を思い出して、その後を少しずつ揃えてみた。やはり時系列的に購入するのがいいだろう、、、

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左『IMAGINARY DAY/PMG』(Warner Bros/1997年)
右『SPEAKING OF NOW/PMG』(Warner Bros/2002年)

確かに僕の知っているPMGのサウンド、しかしここには「わくわく」するような展開も「どきどき」するようなスリルも感じられなかった。古くはECMの初期の『Pat Metheny Group』や『American Garage』、『Offramp』、前期PMGの集大成と言えるライブ盤の『Travels』、ECM最高傑作と言われる『First Circle』、GEFFENに移った名作『Still Life(Talking)』と『Letter from Home』。そして再びアメリカン・ミュージックとして前進した『We Live Here』。このどれもに一度好きになったら何度も聞きたくなるような、あのドラマチックで感激するとちょっと胸が熱くなるようなPMGのサウンドの魔力があった。でも、今、目の前にあるこの二つのアルバムにはそれがない。一度聞き通した後に何も残らないのだ。
原因は肥大した打楽器パートにあるのかもしれない。僕はこれなら打ち込みのほうがまだ良いと思った。シンプルに印象的なメロディーも少ない。
僕が少しずつ離れて行ったのは決して耳の錯角ではなかったようだ。

数日後に、もうこれが最後になるかもしれないと思って最新作を買った。

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『The Way Up/PMG』(Nonesuch/2005年)

お!これは


そう、これこそが久し振りにPMGを聞いた実感。予想する方向に音が進むのだ。
肥大化したパーカッションはもはや必要なくドラム一本に絞られて2005年という時代の空気がそこにはある。正直言って安心した。
Part Oneなどはまるで70年代ECMのエバーハード・ウェーバーのサウンドのように聞こえる瞬間も。そう、僕らがジャズとして描く時に絶対に外せないサウンドがそこにある。そして今らしく軽快なジャズとして蘇っている。『We Live Here』から11年。遂にPMGの新しい一歩が示された。僕は本当に嬉しいなぁパットさん。1年聴くのが遅かったけどね。

おしまい



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