2007/8/17

グリップの違いは持ち方の違いだけではない・・・  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。第六十一回目の今日は手順のお話しです。

昨日も書きましたが現在最終校正中のコード演奏ガイダンス付きの曲集、『レパートリーで学ぶジャズ・マリンバ & ヴィブラフォン/監修:赤松敏弘』(ヤマハ・ミュージックメディア出版)どうぞお楽しみに。発売は9月中旬〜10月上旬の予定です。
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もうすぐ完成!只今最終校正で連日徹夜中。。。

さて、本日はマリンバやヴィブラフォンを演奏する時に誰でも考える手順のお話し。
これらの楽器は左右の腕を使って演奏するもので、手に持つマレットの数はともかく、基本動作はこの左右の動きをコントロールする事から始まります。

よくブログやホームページでマレットの「持ち方(グリップ)」に関する話題を見掛ける事がありますが、僕は「持ち方」は大雑把に言えばどれでも良いと考えます。
グリップによって音色が違う、とか、細かい事はそれぞれのグリップに長短あるので完璧な持ち方というのは左右1本ずつの2マレット以外には存在しないように思うからです。

但し、左右に2本ずつの4本マレット奏法が完璧ではない、と言っているのではありません。要するに、2本奏法には2本奏法の良さがあって、4本奏法には4本奏法の良さがあるという事なんですね。

しかし、2本奏法と4本奏法では、左右の腕の組み合わせを同じ動きで考えるわけには行きません。4本奏法を自分で修得する場合には、2本奏法とは明らかに「違う」発想を必要とするのです。

レッスン生達を見ていても、その奏法の「違い」について自分で開拓しているかどうかを見極める一つの指針に「手順」があります。これがみんな様々で、時には無茶な手順を「気合い」で乗り切ろうとするツワモノもいて面白いのですね。確かにスポーツのように「気合い」で乗り切れれば良いのですが、やはりいろんな表現に結び付ける準備というのは「気合い」だけでは乗り切れないのです。

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4本マレットで上の一段目のメロディーを弾く時に、黙って見ていると大半の人が下のような手順で演奏する傾向があります。「ほう〜」と思うのですが、ううん、、これは本当に4本マレットを持って演奏する時の利に叶っているのでしょうか?

ゴールデンベルグ辺りの教則本(僕も初期にやりました/笑)ではこの手順になるのでしょうが、あれはもう随分昔の本だし、実際に自分が練習で使っていた頃でさえ「この面倒な手順でわざわざ身体のバランスを崩す意味はあるのだろうか?」と疑問に思ったものです。
身体に合わせて考えれば「おへそ」の右側と左側というのが手順を考える場合の基準になるのですね。メロディーが向かう方向と出発点を「おへそ」を軸に考えれば身体のバランスを崩す事がありません。
軸が揺れるとそれだけ冷静さを失います。
ヴィブラフォンの場合はペダルという固定されたポジションがあるのでなおさらです。

そこで同じメロディーを弾く場合次のように演奏してみると良いでしょう
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ダブルストロークを使いますが、メロディーに使わない右手内側のマレットが左のマレットと干渉する問題は解決します。
これは2本マレット奏法の人も応用出来るでしょう。
演奏中は常に身体の軸がブレない事と、(4本の場合は)使わないマレットが邪魔にならない、という二本柱で左右の組み合わせを考える必要があるのです。特にインプロヴィゼーションが重要なジャズ等では、手順によって自分の描くアイデアが演奏出来ないという事はあってはならないのです。

これはマレットのグリップと大きく連動しています。
トラディショナル・グリップの人は左右内側のマレットを使ってメロディーを弾くのが基準(2本奏法とまったく同じ)なので僕が示した手順を発想する人は少ないでしょう。左右内側がメロディー担当なのでお互いの干渉が無いからです。

バートン・グリップを使う人は僕と同じ発想になるはずで、それは先に書いた右手の内側のマレットが左のマレットの邪魔にならない事を考えるからです。
但し、トラディショナル・グリップでも、右手の外側のマレットでメロディーを演奏している人はバートン・グリップと同じ発想を持つ必要があります。

インディペンデント・グリップの人は基本的にはトラディショナルと同じですが、右手外側のマレットをメロディーに使う人はバートン・グリップと同じ用法に至るはずです。

もう一つの例。

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今度はメロディーが跳躍しています。
レッスン生の演奏を黙って見ていると、大半の人が次のような手順で演奏します。

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どうも三連符のところになると入った手から順次交互に演奏したくなるようですが、その次の跳躍でみんな苦労します。中には跳躍した音は右手内側のマレットを導入して切り抜けるツワモノもいて、その必死加減が微笑ましく、ついつい笑ってしまいました。軽〜く演奏する部分なのに「気合い入りまくり」なんです(笑)。

それじゃ身体の軸がブレブレで不安定でしょー?

こうすれば無駄に力を使わないでしょーよ。

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ダブルストロークに若干慣れない為か慎重に演奏しているものの、さっきまでブレブレに揺れていた頭がピタリとブレなくなったのを見逃すはずがありません。

おしまい



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