2007/11/1

不可思議な魅力・・・・Brad Mehldau(p)  木曜:Jazz & Classic Library

今日は最初にお知らせから。
九州地区に限定されますが僕の友人のマリンビスト田代佳代子さんがコンサートを開きます。
題して“マリンバナイトカーニバル”
■日時:2007年11月2日(金)19:00開演(18:30開場)
■会場:福岡銀行大ホール
■出演:安倍圭子・田代佳代子・ 九州マリンバ合奏団2005
■チケット:大人4,000円 高校生まで3,500円
■詳細・問合せ:アヴァンティ編集部 TEL/092-724-3226
お近くの方は是非生のマリンバのサウンドに触れてみて下さい。
何やらもうマレット族が集結して楽しそうですよ

さて、本日紹介するのは今やジャズピアノ界のニューゼネレーション代表格と呼んで差し支えのないピアニストの
コレ
クリックすると元のサイズで表示します
『ANYTHING GOES/Brad Mehldau』(Warner Bros/2000年)

ブラッド・メルドーに初めて注目したのはそんな昔ではありません。ごく最近の事です。サキソフォンのチャールズ・ロイドのアルバム“The Water Is Wide”(ECM/2000年)を聴いていて「おや? このピアニストは誰だろう?」とジャケットのクレジットで名前を探したのが最初でした。
リーダー格のミュージシャンの名前は覚えていてもサイドメンの名前は自分が気にならなければなかなか覚えないという昔からの悪い癖ですが、ジャズも多様化しているのでこういう無頓着に接して初めて自分の触手が動くものを聴き続ける、というくらいの姿勢じゃなきゃ。(と、自己弁護)

そのロイドのアルバムでのメルドーがあまりにもツボにハマッてしまったので、しばらくして「そうそう、ブラッド・メルドーっていたなぁ」とCDショップで見つけたのがこのアルバム。

世間の評判はどうなのかわかりませんが、とにかくロイドのアルバムの好印象からすると、このアルバムの第一印象は「何ともヘンテコなピアニスト」(笑)。
完成されてるんだか崩壊してるんだかわからないギリギリのところを行ったり来たりするんですね。
その昔ではセロニアス・モンクが同じ第一印象のピアニストです。小学校の頃でした。
ただ、その後も僕の個人的な「第一印象がヘンテコモード」のピアニストはけっこうたくさんいます。突然カルト的とも言える背筋も凍る「オープン・トゥ・ラブ」でショッキングだったポール・ブレイ、初期のパット・メセニー・グループを聴いてギリギリのところを行き来していると感じたライル・メイズ、、、しかしこのモードで聴き続けたピアニストはその後大好きになるのですね。なにしろみんな個性的。

ピアノ・トリオの演奏というのは(まぁ、ヴィブラフォンもそうですが)、ホーン奏者やギター奏者のアルバムに比べると、ごく常識的な配慮の元に作られています。
ビル・エバンス、キース・ジャレット、チック・コリア、ハービー・ハンコック、、、その根底には「洗練」という二文字が最初に触れた瞬間から物語りの水先案内人としてあるのです。

ところが・・・・・

このメルドーのピアノトリオは「洗練」という壁をまるでホーン奏者のアルバムの手法のように壊して始まるんですね。
そう、とても粗い主張が先行して、しばらくの間はピアノトリオ・モードの耳を捨て去るのに時間が掛かりました。

やがてピアノトリオ・モードが外れてメルドーが「選ぶだろうなぁ。。」という音を先読み出来る耳になると、これはとても面白いジャズだと楽しめてくるんですね。
メルドーの世界にはスケールの大きなものはありません。でも、一種ストイックとも言える独特の言葉が聞こえてくるんですね。ペーソスと言ったらいいでしょうか。

このアルバムの前半はかなりコアな世界が展開されます。ココにホーン奏者がいても成立するほどピアノトリオ・モードを粗く大胆に裏切ってくれます。
それが6曲目の“Nearness of You”辺りからメルドーにしか出来ないピアノトリオ・モードに切り替わるんですね。続くポール・サイモンの“Still Crazy After All These Years”ではいよいよメルドー・モードが華を咲かせ彼の持つ美学にどんどん惹かれて行きます。あのロイドのアルバムで聴き慣れたメルドーの印象が支配するのです。

8曲目“Everything In Its Right Place”のエキゾチックな美学、続く超有名曲“Smile”のヘンテコモードな美学、そして最後の“I've Grown Accustomed To Her Face”の美学中の美学。

ここにはビル・エバンスが作り上げたピアノトリオ・モードに新しい隙間を加えたメルドー・スタイルがあります。
何と言うのでしょうか。ううん、、、、そう、きっとこの隙間は今のニューヨークの溜息でしょう。東京にはない、あの街独特の空気やスチームの香りを音で久し振りに味わったのでした。ニューヨーク・スタイルという形容がピッタリのピアニストなんです。

でも、、この美学。
僕はどこかで触れた気がします。。。。。


それは・・・



エリック・サティ。

メルドーが「ヘンテコ・モード」な美学を出せば出すほど、僕はなぜかサティを連想するのでした。もしもサティが現代にいてジャズピアノを弾いたら・・・・メルドーかもしれないな。

おしまい



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ