2007/11/2

究極の練習のスタートは・・・その2  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。第六十九回目の今日は先読みとダブルストロークの関係のお話しです。

ツアーで10月はお休みが多くなりましたが今日からはレギュラープログラム。第六十七回目(9月28日の)「究極の練習のスタートは・・・」の続きになります。

何度も触れますがヴィブラフォンやマリンバは左右交互のシングルストロークの組み合わせで演奏が成立つ特種な楽器です。ピアノと同じ鍵盤でも奏法の基礎の部分では大きく異なります。この事が自由に楽器を演奏してごらん・・・と言われて「ひゃ〜っ」と楽器の前でフリーズする原因だと気付いている人は案外少ないようです(って、ソコで今ごろ冷汗出してる人、ダレ?/笑)。

第六十七回目で一つの練習方法を提唱しました。
ピアノと大きく違うのは“片手”という意味である事がおわかりでしょう。
なので、これからインプロヴィゼーションをヴィブラフォンやマリンバで行おうと思っている人はピアノと同じ状態にリセットする事をお薦めしました。
ある意味で“打楽器的には大いなる邪道”なのですが、左右交互の基礎トレーニングが完了した段階での話しです。最初からこの方法では「組み合わせ」の技術が足りませんから誤解のないように。

さぁ、そこで今度は演奏するコードの仕組みを分析しなければなりませんね。基礎的な事は「メロディー」と「コードネーム」と「調号」の整合性をコードスケールという形で理解する必要があります。これは自らの音感を頼りに整合性を分析する事も出来ます。その辺りの自分の経験から自力で分析するポイントは新刊の『レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン/監修:赤松敏弘』(ヤマハ・ミュージック・メディア Amazon.co.jpなどで発売中)にまとめてあります。

リセットした“片手”と、曲の構造を分析した“コードスケール”。コードネームを見てインプロヴァイズに挑戦してみましょう。

多くの場合、ダブルストロークは合理的に、よりスピーディーに演奏するテクニックと受取られがちですが、それは大きな誤解です。
自分がコードの流れにインスパイアされた時に、より自然に、よりダイレクトに自分の印象を左右の腕(手)に伝達する方法の一つなのです。
この部分に気付かないでダブルストロークを使うと、タダの早弾きの道具でしかありません。それでは人を「ビックリ」はさせられても感動させられる事はないのです。
まぁ、パフォーマンス性がまったく必要ないとは思いませんが、せっかく「ビックリ」して注目されているのに「内容が無い・・・」なんてまるで不発の花火みたいな情けない事になってはダメです。

音楽の流れには起伏がありますね。音が大きくなったり小さくなったりするダイナミクス、音程が上がったり下がったりする動き。感情表現として音楽にある方法は実はこの二つしかないんです。たった二つですよ。
その内の上がったり下がったり、という部分に着目してみましょう。

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(クリックで拡大/以下同様)

早いテンポの曲はコードの流れの中を上手く上下の起伏で駆け抜けるのが似合います。例え音符が書かれてあったとしても、自分が想像したイメージとしても、何かポイントが無ければ「動き」は出てきません。

「動き」は流れであると同時に感情表現です。
ヴィブラフォンやマリンバで演奏する時に、一番の「壁」となるのが、基礎として奏法が複合的である事。複合的というのは単純な音階を弾く場合でも左右の腕に分散された組み合わせという「大きなアクション」を伴うという意味で、ピアノや管楽器のようにどちらかの腕の先にある指の組み合わせとは基礎的なアクションに違いがあるのです。

この部分を補正するのが先に述べた「片手による演奏訓練」であり、「ダブルストローク」の導入なのです。

「片手による演奏訓練」を最初は1コーラス、次に左右どちらかから初めてハーフコーラス、次は4〜8小節毎に左右をチェンジする練習。さらにチェンジのサイクルを2小節、あるいは1小節と縮めて行くと、そこで初めて「なぜダブルストロークを推奨するか」の答えが待っています。

譜面に於いても、そのメカニズムを説明する事が出来ます。

このメロディーは早いテンポで駆け抜けるわけですが、左右交互のシングルストロークで無理矢理押し切って練習してしまうと、音楽の起伏を表現するチャンスを逃してしまいます。

起伏の分岐点は譜面に書くと↓で示す位置にあります。

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インプロヴァイズの時はもちろん譜面はありませんから先程まで演奏している事とコードの流れから受ける「この先」のイメージを脳からの指令に基づいて左右の腕を組み合わすわけです。しかし譜面に書かれて何度も同じ事を演奏する場合でも心理はまったく同じなんです。
まず、演奏中であれば1〜2拍、叉は一つ先のコードの動きを予測して自分でメロディーの起伏のポイントを決めます。下から上に上がったメロディーが今度は下に向かう時のポイント。
音符にするとこの譜面の↓の部分がその分岐点で、演奏中にソコの手順を考えてる暇はないのですね。

そこで自分の身体を中心軸として中心よりも右(高音)で下がる時は右手、中心よりも左(低音)で上がる時は左手でポイントを定めます。
このターンするポイントをよりダイレクトに脳からの指令を反映する時に「片手」訓練の意味が出てきます。

もうおわかりだと思いますが、その部分で「片手」+「片手」。つまりそれが「ダブルストローク」という事に繋がっているわけです。

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先読みの分岐点は「ダブルストローク」。
演奏では、その精度を上げるトレーニングが大切という事なのです。

シングルストロークではダメですか?

そうですねぇ。。
音は出せるでしょう。
ミストーンも少ないかもしれません。
最初は音色もいいかもしれません。

でもね、いくら音が出ても、ミストーンが少なくても、音色が綺麗でも、、、
伝わるものと伝わらないものがありますからね。
僕はダブルストロークは自分の感情表現の一つとして使っています。

おしまい



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