2007/11/16

究極の練習その3:メロディーターンとダブルストロークの設定  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。第七十一回目の今日はインプロヴァイズと手順の連動のお話しです。

今日は第六十九回目の“究極の練習のスタートは・・・その2”からのステップアップです。

コードに沿ったインプロヴイゼーションを行う時にヴィブラフォンやマリンバでは手順の改革が必要な事を解説していますが、それはコードの縁取りとも関連します。単旋律の即興演奏ではハーモニー(コード)との連動はあまり重要視されていませんが、リズム(ビート)とコードの流れに「のる」事が大切なコード・インプロヴィゼーションでは奏法上でネックとなる手順をコードの流れに沿いやすい工夫が必要となります。

やみくもに音を出してもコードの流れにのれるわけではありません。音には正解と不正解があるのです。
コードミュージックはコードの流れに沿える事が正解で、この流れから逸脱すると不正解という結果がはっきり見えます。さらにビートに沿って演奏出来るかも同じ比重で重要になります。すぐに「結果」が見えるので慣れないとイヤになったりします。

まぁまぁ、そう焦りなさるな。

これまでに説明している事を何度も読み返して下さい。
最初は誰でも同じなんですから。

コードを見ながらメロディーを作るには、まずコードが持つサウンドの縁取りを考えてみると良いでしょう。コードにはいろんな響きが隠れています。コードネームの表記が親切であればソコにあるべきコードの仕組み(設定された音階/コードスケール)が明白です。この“親切”というのがテンションの表記なのですが、最初の内はこのテンションにイジメられてるような感じを持つ人も多いですね。
調性の中で12個の音の中から選ばれてる音を示しているだけなのですが、9とか11とか13とか言われると「音楽は数学ではない!」などと開き直ってしまう人もいます(笑)。
数学ではなく音程の事を示しているのですから、そこは冷静に頭に入れて下さい。「短気」は音楽に禁物です。

さて、キーがAb Majorの曲で次のコードが並んでいるとしましょう。

|AbMaj7 |F7(b9) |Bb7 |

まずこの中にメロディーを描く時に楽器の奏法と連動しながら作る例を書きます。

それぞれのコードスケールはテンションで示されていると過程して下さい。
(b9)が示された二小節めはHMP5、特に何も示されない三小節めはV7/of Ebという一時的な転調になります。

それぞれに半音で解決するシンプルなパターンを作ります。
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(クリックで拡大/以下同じ)

1小節めはコードトーンの中にある半音(これなら誰でも見つけられる)、2小節めはコードスケールの中にある半音、3小節めはコードトーンDに対するアプローチノート(↑)を設定してみました。それぞれに1小節めはメロディーを上行させる予想、2小節めは下行させる予想、3小節めは再び上行させる予想で音の向きを設定しています。
Bb7の時のアプローチノートC#は元々の調にあるDbの異名同音なので曲全体の流れとしては違和感が少ないので選びました。偶然にもこれはブルーノートになります。

さて、、、

この段階で奏法を連動させましょう。
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自分の身体を中心軸として左側から始まる音符は左手のダブルストローク、右側にある音符は右手のダブルストロークとします。この動きはおおまかに上行は左、下行は右という手順の基本と一致します。

これをベースとしてメロディーの動きを作ります。
この辺りの事は『レパートリーで学ぶジャズマリンバ&ヴィブラフォン』(ヤマハ)にベーシックなやり方を載せているので詳しくはそちらを参照して下さい。

作ったメロディーの断片を繋ぐ音を設定するわけです。
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この時に手順を考えると、挿入した繋ぐ音は次の音で使う手と反対の手を想定します。
これには次に現れるダブルストロークがメロディーの方向を変える(向きを変える)要として意識する為の準備です。(コレ、重要です!)

ではこれらのポイントを含んだメロディーを作ってみましょう。

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先程のポイントを大きな山とすれば、その山の中に小さな山をいくつも挿入します。

音が1方向だけに向かないように1小節めは最初にコードスケールにある反対方向の音を付け加えて上行させました。

2小節めは一気に下降するのを避けて小さな山を挿入しています。この時にターン(反動)させる箇所は半音によるアプローチノートを使って上行させています。小さなジャンプと言って良いでしょう。

3小節めも1方向に向かないように最後の音の前に反対方向のコードトーンを挿入して小さな山を作りました。

さて、このメロディーのターン(音の進む方向の変わり目)の箇所をダブルストロークとすると、以下の手順で演奏する事になり、この方法であればシングルストロークでは厄介な音列も身体のバランスを崩す事なく演奏出来る事がおわかりいただけるでしょう。
テンポが早い場合はシングルストロークだけでは冷静さを欠いてしまいがちで出来ないという無駄なプレッシャーを持ってしまいます。

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メロディーのターンはダブルストロークで。

発想の転換ばかりか音の動きに対するレスポンスの向上に繋がります。
音楽と連動する事が奏法テクニックの開拓にもなるのですね。

おしまい



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