2007/12/14

07年・最も注目したマレットプレーヤー  金曜:vibraphoneやmarimbaの為のジャズクリニック

毎週金曜日はVibraphoneやMarimbaをやっている人向けのお話し。第七十五回目の今日は今年最も注目したマレットプレーヤーのお話しです。

年末という事で世の中いろんな“まとめ”に入っています。
まぁ、普通の楽器なら市販されている音楽誌で「今年のベストはこれだ!」とか「07年注目のアーチスト特集!」な〜んてタイトルが踊っている頃ですが、、、、
こと、マリンバやヴィブラフォンの世界に専門誌は無く、まったく動向が掴めないのが悲しい限りです。この状況は僕が楽器を始めた頃からウン十年変わっていませんね。

しかし、確実に世の中は進化しています。
いつまでも狭い殻の中でグズグズしてるような時代じゃないので個人的に今年最も注目したマレットプレーヤーを発表しましょう。

■そのプレーヤーがいるのはロシアだ!

You Tubeという便利なツールはネットを通じて世界中のマレットプレーヤーを観る事ができます。
僕らの年代だと、今よりもむしろ過去に於いての貴重な映像に触れられる事が多いのですが、過去は過去、やはりリアルタイムにナニが世の中で起こっているのかをダイレクトにキャッチ出来た時には思わず嬉しくなります。

様々な制限から契約上の都合でこのツールを使えない場合もありますが、若いプレーヤーは制限を越えてこのツールをアピールの道具として活用しています。

この動きは今後ますます盛んになるでしょう。いや、それが音楽活動のベースとなれば、画像は「作り物」しか扱われなかったメディアの世界に様々な刺激が齎されてマンネリ化している音楽界の新陳代謝が進むでしょうから、若いマレットプレーヤーは大いに活用すべきです。ライブやコンサートという形式以外の新しい「視覚的プレゼンテーション」に繋がるでしょう。CDだけでは物足りない、ライブやコンサートに行くには時間がない、遠くで行けない、年齢制限があってジャズクラブに入れない、でも見たい!!
そんな現状の人達にも届けられるのです。

マレットプレーヤーの最大の武器は「視覚的アピールに優る楽器」だからです。プロモーションビデオのように作り込まなくても、演奏しているそのままが画像的な「アピール」に直結するからです。音だけだと埋もれてしまうマレットプレーヤーには強力な助っ人ツール。こんなツールが10代の頃にあったら僕は必ず使ってますね。

■僕が長年思い描いていたマリンバスタイルに近い

どちらかと言うと、この金曜日のコーナーではマリンバ奏者の人達には“常識にとらわれないように”という風なメッセージに聞こえる内容が多く、ヴィブラフォン奏者の人達には“そうなってたのね”的な確認に聞こえる内容が多いかもしれません。

これは先週「マリンバのCDって何処にありますか?」とCDショップの店員さんに質問すれば一般の認知度がわかる、と書いた事と繋がります。

音楽を聞くのは一般の人が大多数ですから、聞きたくなってCDショップに行ってもなかなか探せないというのは本当はおかしいんです。

「何処でマリンバのCDを買ったの?」

何人かの弟子やマリンバ奏者にこの質問をぶつけてみました。

すると・・・

「楽器を買った楽器屋さんで」「行ったコンサート会場で」。。。

口を揃えたようにこの返答が返ってきます。

それじゃぁ、CDショップに行って他の音楽を買ったり探したりする習慣が生まれません。演奏する側の人が驚くほど他の音楽を聴いて育っていないのです。
他の音楽を聴いて育てば、ある程度の年齢になった時に、自分の楽器でなにをやればいいかが決まっている筈。公の場に出てから慌てても時既に遅し、な〜んて事もあるかもしれない。

そんななので、You Tubeを観て感心するマレットプレーヤーは大半がヴィブラフォンだった。

ふう〜っ、って、随分と前置きが長くなりましたが、要するに「注目」する根拠はココに書いた事を加味して選んだという事なのです。

■発表!

2007年・最も注目のマレット・プレーヤー

Lev Slepner(Marimba & Comp)from/Russia

レヴ・スレップナーは1976年モスクワ生まれのマレットプレーヤー。
最初に彼の演奏を観たのはマリンバのソロ(含むPerc)のこの映像(以下You Tubeへのリンク)。

Marimba Solo With Improvisation/Lev Slepner

リズムが良いとマリンバは飾りがどんどん取れてシンプルになります。
シンプルになった分、そこに即興をやる余裕が生まれるわけです。
彼はインプロをどのようにやっているのか、同じ曲の別のテイクと聴き比べると、どこまでが曲のテーマで、どこからがインプロソロなのかわかります。

In the Ocean Depth/Lev Slepner

この曲がIn the Ocean Depthという彼のオリジナル曲である事がわかりました。

興味を持った僕はさらに彼の音楽を探しました。1曲だけでは本当にインプロヴァイザーであるかどうかがわからない(もっとコードの複雑な曲を聴いてみたい)と思ったからです。本当にコードについて感覚のない“にわかインプロヴァイザー”もたくさんいるからです。

探すとマリンバとフルートによるデュオがありました。

Twilight/Marimba Plus

美しい曲と演奏です。テーマの後はちゃんとコードによるインプロで、フルートのソロのバックもアルペジオとは言えカンピングです(なぜならフルートのソロとズレないから)。
こういう演奏が今の時代にあって当り前のレベルだと思っています。

Marimba Plusとは彼が組んでいるバンドの名前で、映像ではジャズクラブやフェスティバルの物などたくさんアップされています。

中でもラージ・ジャズアンサンブル風の編成にファンクビートとマリンバを合体させたこのトラックは面白い。

Apocalypse/Marimba Plus

マリンバの役割りをちゃんとわきまえて効果的です。これはヴィブラフォンでは出来ないサウンドなんですね。

子供の頃聴いてた懐かしいジャズロック風な曲で何処と無くロシアン・アラカルト的テーマから始まるジャズクラブの演奏ではMallet KATを使ってグルーヴ。

On A Golden Sands/Marimba Plus

レヴ・スレップナーがやっている事が最新の音楽とは思いません。むしろ20年くらい前の感覚の音楽です。しかし、リズムに対するビート&グルーヴ感覚を持ち、オリジナル曲を打ち出して活躍するマリンバ奏者を長年心待ちにしていたのですから、You Tubeで見つけた時には思わず嬉しくなってしまいました。

スレップナーの演奏からもわかるように、マレット奏者がこれから埋めるべきギャップ(他の楽器と比べて)は明白です。
マリンバもヴィブラフォンも同じ土壌で邁進する時期に差し掛かったわけですから、どんどんいろんな音楽を聴き手に伝えましょう!

ほらほら、そこで悩んでいるマレット奏者の人、さっさとコードの勉強をしていろんな音楽と合体しなさい!

レヴ・スレップナーに拍手

おしまい



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